運動耐容能力の評価方法について

KAZU
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この記事はこんな人にオススメです!

  • 理学療法士を目指している人・現役理学療法士の人
  • 心臓リハビリテーション指導士取得を目指している人
  • 心不全療養指導士取得を目指している人
  • 運動耐容能って何なのか、どのように評価するのか知りたい人

運動耐容能の評価について

運動耐容能とは、身体が耐えられるだ最大の運動負荷(全身性の持久力)であり、呼吸、心血管および骨格筋機能などの総合的な機能のことです。

運動耐容能の低下は、心不全患者に共通する病態の一つです。心不全患者の運動耐容能低下の主要な機序は左室収縮機能ではなく、骨格筋の筋肉量減少や代謝異常、血管拡張低下、エルゴ受容体反射亢進などの末梢因子である。また、過度の安静や長期臥床により生じる運動時心拍数上昇、起立性低血圧などの血圧調整障害、呼吸機能低下、窒素・カルシウムの負のバランス、循環血液量低下、血清蛋白の減少などの身体的デコンディショニングより運動耐容能がさらに低下します。

運動耐容能の評価の目的は、心不全の重症度、侵襲的治療に際してリスク評価、生命予後の推定、日常生活動作の許容範囲内の評価、復職や身体活動の内容の選択における指導など非常に多岐にわたります。

心不全患者の運動耐容能の評価方法として、NYHA心機能分類などについての問診、Specific Activity Scale(SAS)などの問診票、心配運動負荷試験、6分間歩行試験などがあります。

運動負荷試験は心不全患者においても臨床的な有益な情報を得られますが、最大もしくは最大下の運動負荷を伴う検査であるため心配運動負荷試験における適応と禁忌についてはしっかりと把握しておく必要があり適切に実施しなければなりません。運動負荷試験の禁忌を下記に記載します。

 絶対的禁忌

  • 2日以内の急性心筋梗塞
  • 内科治療により安定していない不安定狭心症
  • 自覚的症状または血行動態異常の原因となるコントロール不良の不整脈
  • 症候性の重症大動脈弁狭窄症
  • コントロール不良の症候性心不全
  • 急性の肺塞栓または肺梗塞
  • 急性の心筋炎または心膜炎
  • 急性大動脈解離
  • 意思疎通の行えない精神疾患

 相対的禁忌

  • 左冠動脈主幹部の狭窄
  • 中等度の狭窄性弁膜症
  • 電解質異常
  • 重症高血圧症
  • 頻脈性不整脈または徐脈性不整脈
  • 肥大型心筋症またはその他の流出路狭窄
  • 運動負荷が十分行えないような精神的または身体的障害
  • 高度房室ブロック

心配運動負荷試験(CPX)について

運動耐容能の最も客観的な指標は最高酸素摂取量(Peak Oxygen Uptake:VO2)であり、自転車エルゴメーターやトレッドミルなどの運動負荷装置ならびに呼気ガス分析装置を使用して実施される症候限界性多段階漸増負荷法による心肺運動負荷試験(Cardiopulmonary Exercise Testing:CPX)で評価することができます。

心配運動負荷試験により心機能、心筋虚血、末梢循環、骨格筋機能、血管内皮細胞機能、貧血、自律神経活性などの状態を把握することができます。そのため、心配運動負荷試験から測定される最高酸素摂取量は、心機能、心筋虚血、肺機能、末梢機能及び肺・体循環能からなる全身の機能を統合された指標とも言えます。

心肺運動負荷試験において、有機的代謝に無機的代謝が加わる寸前の酸素摂取量を嫌気性代謝閾値(Anaerobic thresh -old:AT)と呼ばれます。ATは、最高酸素摂取量と同様に心不全患者の運動耐容能や重症度を示す指標です。ATはPeak VO2のおおよそ50〜55%に相当し、AT以上の身体活動ではアシドーシス進行、カテコラミン分泌亢進、代謝性過換気が生じるため、安全な運動処方や身体活動の指導を実施する上でATを知ることは重要と言えます。ランプ負荷による心肺運動負荷試験により有酸素運動を処方する場合は、AT1分前の仕事率で運動処方を実施するといいと思われます。

また、Peak VO2は年齢や性別により標準値は異なるため、絶対値により心不全重症度を評価することは困難いなることが多いため、Peak VO2は標準値に対する相対値で分類することができます。

最高酸素摂取量による心不全重症度分類

酸素摂取量の年齢別標準値に対する予測率と心不全重症度

標準値の80%以上        正常

標準値の60=80%       軽症

標準値の40〜60%       中等度

検査実施不能、

または標準値の40%未満     重症

6分間歩行試験(6MWT)

6分間歩行試験(6-minute walk test:6MWT)は、心肺運動試験とは異なり特別な設備などが必要ない運動耐容能評価方法です。原則、30mの歩行路を使用し最大努力による6分間の歩行距離を測定することで最大運動負荷試験になります。

日本人の正常値は『454-0.87×年齢(歳)-0.66×体重(kg)』±(2標準偏差)に身長(m)を乗じた式が推定式として提唱されています。

6分間歩行試験で得られた歩行距離と心肺運動負荷試験で評価した最高酸素摂取量との間には中等度の関連性があり、また、心不全患者の予後予測にも有用であることが報告されています。

当然のことながら、高齢心不全患者では6分間歩行試験の結果には呼吸・循環・代謝機能だけでなく、下肢筋力やバランス機能など高齢者特有の制限因子が関連します。また、運動負荷中の呼吸循環動体の継続的な測定が困難であり、最大努力下で実施されたかどうかを確認する方法がないため、結果の解釈には注意する必要があります。

運動療法前・中および終了後のチェックポイント

運動療法前

・安静時呼吸困難がない

・労作時呼吸困難の増悪がない

・体液貯留を疑う7日間で2kg以上の体重増加がない

・下腿浮腫の出現・増加がない

・倦怠感がない

・食欲不振がない

・過度の血圧・脈拍の変動がない

運動療法中

・運動強度漸増時の収縮期血圧20mmHg以上の低下

(末梢冷感などの末梢循環不全症状や徴候を伴う)

・目眩、倦怠感などの心低拍出徴候

・同一運動強度での胸部自覚症状の出現

・同一運動強度での10拍/分以上の心拍数上昇

・同一運動強度でのBorg指数2段階以上の上昇

・経皮的動脈酸素飽和度90%未満への低下

・安静時経皮的動脈酸素飽和度から5%以上低下

・運動誘発性の新たな不整脈の出現もしくは増加

・心電図上、ST低下1mm以上

・筋肉痛、関節痛などの整形外科的初見

運動療法後

・運動終了後の安静時レベルまでの速やかな血圧・心拍の回復

・運動終了後の持続する倦怠感・呼吸困難がない

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