はじめに
心臓リハビリに関わるには切っても切り離せないのが薬の話。そのため心臓リハビリテーション指導士の試験にはほぼ100%と言っていいほどの確率で出題されると思われます。今回はシリーズ2つ目になります。
今回は問題形式で記載し、後に詳しく解説しています。
少し文章が多めの勉強記事にはなりますが、内容としてはしっかり書いています。参考になれば幸いです。
問題1 不整脈と治療の組み合わせで正しいのはどれか。
- アトロピン ー 完全房室ブロック
- リドカイン ー 上室性期外収縮
- ジギタリス ー 徐脈性心房細動
- 二フェジピン ー 上室頻拍
- アミオダロン ー 心室頻拍
問題1の解説
アトロピンは抗コリン薬であり、洞房結節に分泌する副交感神経の遮断により脈を増加させ、症候性徐脈に対する治療薬である。房室伝導が完全に遮断されている完全房室ブロックでは効果がない。口渇、尿閉、眼圧上昇があり、前立腺肥大や緑内障には禁忌である。
リドカインはIb群抗不整脈(Naチャネル抑制薬)であり、心室性期外収縮に対する治療薬である。中毒量では中枢神経症状がある。
ジギタリスはV群抗不整脈であり、頻脈性心房細動に対する治療薬。中毒量では食欲不振がある。
二フェジピンはジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬であり、血管拡張薬作用に伴う反射性交感神経活性化が高まり頻脈傾向となる。副作用として顔面紅潮、歯肉肥厚等がある。一方、上室頻拍にはIa群抗不整脈薬(ジソピラミドやプロカインアミドなど)や心拍抑制薬(IV群抗不整脈群:ベラパミルやジルチアゼム、β遮断薬など)を用いる。
アミオダロンはIII群抗不整脈薬であり、心室頻拍に対する治療薬である。副作用として間質性肺炎、甲状腺機能異常、アミオダロン網膜症などがある。
問題2 薬剤と副作用の組み合わせで最も起こりにくいものはどれか。
- ロサルタン ー 空咳
- スタチン ー 筋肉痛
- スピロノラクトン ー 女性化乳房
- プロプラノロール ー 喘息
- ニコランジル ー 頭痛
問題2の解説
- エナラプリル等のアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)が咳などの副作用で使用できない時は、ロサルタンなどのアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が用いられる。ARBともに高カリウム血症に留意する必要がある
- スタチンは、副作用として横紋筋融解症による筋肉痛や血尿(ミオグロビン尿)がある。
- スピロノラクトンやエプレレノンといった抗アルドステロン薬のうち、スピロノラクトンはアルドステロン受容体だけでなく性ホルモン受容体にも作用するため、副作用として女性化乳房がある。一方、エプレレノンは選択的アルドステロンブロッカーであり、女性化乳房の発現率は低い。
- 気管支にはβ2受容体があり、β2受容体を刺激することによって気管支拡張作用が得られる。このため、逆の作用をするプロプラノロールなどの非選択的β遮断薬は気管支喘息患者に禁忌である。一方、ビソプロロールなどのβ1選択性の特徴は、心臓にだけ選択的に作用し気管支への影響が少なく喘息を誘発する危険性が比較的低いとされる。
- ニコランジルは硝酸薬(ニトログリセリン:NTG、称賛イソソルビド:ISDNなど)と同様、血管拡張作用による頭痛がみられる(頻度3.6%)。特に投与開始時期に強くある程度の期間、服用を続ければ軽減することもある。
問題 3 心血管薬についての説明で誤りはどれか。
- モルヒネには肺静脈収縮作用がある
- フロセミドには利尿作用がある。
- カルペリチドには血管拡張作用がある。
- ノルエピネフリンには血圧上昇作用がある。
- カルベジロールには心拍抑制作用がある。
問題3の解説
モルヒネは、静脈拡張作用によって前負荷を軽減し肺うっ血を改善する。
フロセミドはループ利尿薬であり、ヘンレループの上行脚に作用し、NaーKーCl共輸送系を阻害しNa、Clの再吸収を抑制してNaや水の排泄を促進させる。副作用としては低カリウム血症をきたす。
a型ヒト心房性ナトリウム利尿ポリペプチドの受容体に結合し、膜結合型グアニル酸シクラーゼを活性化させることにより細胞内のcGMPを増加させ、血管拡張作用、利尿作用等を発現する。
ノルエピネフリンは、末梢血管のa受容体に作用し強力な血管収縮作用を示す。
カルベジロールはα・β受容体遮断薬であり、「α受容体:β受容体=1:8」とβ受容体の阻害が主体であり、その補助としてα受容体阻害作用を有している。β受容体阻害によって心拍を抑制しα受容体阻害によって末梢血管を拡張させ末梢血管抵抗を低下させる。
最後に
心臓リハビリ指導士試験対策のブログにお越しいただき、ありがとうございました。皆さまの合格に向けて共に頑張りましょう。どうぞよろしくお願いいたします。