サプリメントの飲みすぎ、実は5人に1人が該当?
過剰摂取のリスクと”注意すべき人”の特徴
実は最新の研究で、日本人成人の約5人に1人(18.5%)がメーカーの推奨量を超えてサプリメントを摂取していることが明らかになりました。さらに、推奨量を超えて飲んでいる人のうち約6割が、栄養素の耐容上限量(安全な摂取量の上限)すら超えていたというデータも……。
「サプリは食品と同じだから安心」は通用しないかもしれません。どんな人が過剰摂取しやすいのか、一緒に確認してみましょう。
そもそもこの研究、何を調べたの?
この記事でご紹介するのは、2024年11月〜12月に日本国内で行われた大規模なオンライン調査です。購入履歴データを活用して、より正確なサプリメントの摂取実態を把握しようとした点が特徴的です。
| 調査概要 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 18〜74歳の日本人成人 2,002名 |
| 対象製品 | 主要サプリメント25製品のいずれかを購入・直近1ヶ月使用している人 |
| 調査方法 | 自己申告によるアンケート+パッケージ記載の推奨量との比較 |
| 分析方法 | 多変量ロジスティック回帰分析(複数要因を同時に考慮した統計解析) |
「自分はどのくらい飲んでいるか」という自己申告の量を、パッケージに記載されたメーカー推奨量と比較することで、実際の摂取状況を可視化しました。さらに、厚生労働省が定める日本人の食事摂取基準における「耐容上限量(UL)」を超えていないかどうかも確認しています。
研究結果① 過剰摂取の実態はどのくらい?
摂取していた割合
製品利用者の超過率
ULも超えていた割合
調査参加者2,002名のうち、371名(18.5%)がメーカーの推奨量を超えてサプリメントを摂取していました。約5〜6人に1人という計算です。
さらに、耐容上限量(UL)が設定されている栄養素を含む製品を使っていた1,705名のうち、17.4%(297名)が推奨量超過。そのうちの61.9%(184名)は、実際に1種類以上の栄養素でULを超えていたというデータが示されました。
厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」の中で設定されている、健康障害が起こるリスクがないとされる習慣的な摂取量の上限値のことです。ビタミンやミネラルなど、過剰に摂ると体に悪影響を与えるものに設定されています。ULを超えた摂取が続くと、肝臓への負担、神経障害、骨への影響など、栄養素によってさまざまな健康リスクが生じる可能性があります。
研究結果② 過剰摂取しやすいのはどんな人?
統計解析によって、推奨量を超えてサプリメントを摂取することと有意に関連していた要因が明らかになりました。
① 中年層であること
若い世代や高齢層と比べ、中年層(40〜50代が中心と推定される層)で過剰摂取が多い傾向が示されました。健康への関心が高まり積極的にサプリを活用する一方で、「多めに飲めば効果が上がる」という意識が働きやすいのかもしれません。
② フルタイムまたはパートタイムで働いている
就労中の方(正規・非正規を問わず)では、無職の方と比べて過剰摂取のリスクが高い結果となりました。仕事によるストレスや体調管理への意識の高さが、サプリへの依存度を高める可能性も考えられます。
③ 錠剤(タブレット)タイプを使っている――特に水溶性ビタミン単品
錠剤タイプのサプリメントを使用している方、とくにビタミンCやビタミンB群など水溶性ビタミンを単品で摂っている方で、過剰摂取との関連が強く見られました。
錠剤は1粒あたりの量が視覚的にわかりにくく、「もう1粒くらいなら…」となりやすい可能性があります。また「水溶性ビタミンは尿で排出されるから安全」という思い込みから、多めに飲む心理的ハードルが低いことも一因として考えられます。しかし、摂取量によってはULを超えるリスクがあります。
④ 6ヶ月以上の長期利用者
使用期間が6ヶ月以上になると、推奨量超過との関連が強くなりました。「慣れ」によって量の感覚が鈍くなったり、効果が感じにくくなって量を増やしてしまうケースが考えられます。
⑤ 意図的に推奨量を超えている
「効果を高めたい」「念のため多めに飲んでいる」といった意図的な摂取超過も、当然ながら関連因子として挙げられました。「自己判断での増量」は、特にリスクが高い行動といえます。
過剰摂取と関連する5つの特徴をまとめると:
- 中年層(40〜50代)である
- フルタイム・パートタイムで働いている
- 錠剤(タブレット)タイプのサプリ、特に水溶性ビタミン単品を使っている
- サプリメントを6ヶ月以上継続して使用している
- 意図的に推奨量より多く飲んでいる
「水溶性だから安全」は本当? ビタミン過剰摂取の意外なリスク
「ビタミンCは水溶性だから余分な分は尿に出る。飲みすぎても問題ない」――こう思っている方は多いのではないでしょうか。
確かに水溶性ビタミンは脂溶性ビタミン(A・D・Eなど)と比べて体内に蓄積しにくいですが、過剰に摂り続ければ無害ではありません。
| 栄養素 | 過剰摂取時の主なリスク |
|---|---|
| ビタミンC(水溶性) | 消化器症状(下痢・吐き気)、腎結石のリスク上昇 |
| ビタミンB6(水溶性) | 長期過剰摂取で末梢神経障害(手足のしびれなど) |
| ナイアシン(水溶性) | 皮膚紅潮、消化器症状、肝機能障害 |
| ビタミンA(脂溶性) | 頭痛・吐き気・骨の脆弱化、妊娠中は胎児への影響 |
| ビタミンD(脂溶性) | 高カルシウム血症、腎臓への負担 |
| 鉄(ミネラル) | 消化器症状、酸化ストレスの増加 |
特にビタミンB6はサプリメントで摂取しやすく、長期的な過剰摂取で神経障害が起きた報告が国内外で複数あります。「水溶性だから大丈夫」という思い込みは、見直す必要があるかもしれません。
サプリメントを安全に使うための4つのポイント
「多めに飲めば効果が増す」わけではありません。メーカーが設定した推奨量は、安全性と有効性を考慮した上での目安です。自己判断での増量は避けましょう。
1種類ずつは問題なくても、複数のサプリを飲み合わせることで特定の栄養素が積み重なることがあります。特にマルチビタミン+単品ビタミンの組み合わせには注意が必要です。
この研究では、6ヶ月以上の長期使用者で過剰摂取が多い結果でした。飲み始めた当初と比べて量が増えていないか、今も本当に必要かを定期的に確認しましょう。
持病がある方、薬を服用している方、妊娠・授乳中の方は特に注意が必要です。「サプリだから安心」ではなく、専門家に相談した上で使用することをおすすめします。
まとめ:サプリは「飲む量」が大切
今回紹介した研究の結果を振り返ると、以下のことがわかります。
- 日本人成人の約5人に1人(18.5%)がサプリをメーカー推奨量超で摂取している
- 推奨量を超えた人の約6割が耐容上限量(UL)も超えていた
- 中年層・就業者・錠剤タイプ利用者・長期使用者は過剰摂取のリスクが高い
- 「水溶性ビタミンだから安全」という思い込みは見直す必要がある
サプリメントは上手に使えば頼もしい味方ですが、「適量」を守ることが最も大切です。ぜひ今一度、自分の飲み方を見直してみてください。
Prevalence and Associated Factors of Excessive Dietary Supplement Use Among Japanese Adults: Cross-Sectional Study(2024年11〜12月実施、オンライン調査、対象者2,002名)
※本記事の数値・データは上記研究論文のアブストラクトおよびレポートに基づいています。
※本記事は情報提供を目的としており、医療上のアドバイスに代わるものではありません。個々の健康状態については医師などの専門家にご相談ください。
