【2026年最新】理学療法士・リハビリ職の養成校が相次いで廃止──地域医療崩壊の危機と現場PTが知っておくべきこと

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【2026年最新】理学療法士・リハビリ職の養成校が相次いで廃止──地域医療崩壊の危機とPTが知っておくべきこと

【2026年最新】理学療法士・リハビリ職の養成校が相次いで廃止──地域医療崩壊の危機と現場PTが知っておくべきこと

公開日:2026年5月26日 | 対象:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・リハビリ管理職
2026年5月25日、厚生労働省の「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会(第2回)」が開催されました。
そこで示されたデータは、リハビリ職の未来に深く関係するものでした。過去5年で理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の養成課程が計65課程廃止──。
単なる教育機関の減少ではありません。「地元で育ち、地元で働く」という人材の循環が静かに壊れ始めていることを、このデータは示しています。
本記事では、現役PTとして知っておくべき現状の課題と、今後の動向を整理します。

1. 養成校廃止の実態──5年で65課程が消えた

2020〜2024年度の5年間で、リハビリ三職種の養成課程がどれだけ廃止されたか、まずデータを確認しましょう。

28
課程廃止
理学療法士(PT)
2020〜2024年度
20
課程廃止
作業療法士(OT)
2020〜2024年度
17
課程廃止
言語聴覚士(ST)
2020〜2024年度

合計65課程。これは少子化の影響を直接受けた結果であり、私立専修学校を中心に経営が成り立たなくなっているケースが増えています。

看護師分野では状況がさらに深刻で、過去5年で177課程が廃止され、今後6年間でさらに94校の廃止が予定されています。また、看護師等の養成校の約1割(123課程)で定員充足率が40%未満という現状も明らかになっています。

⚠️ 「過剰供給」から「構造的不足」へのシフト
少し前まで「理学療法士は飽和している」という議論が盛んでしたが、今起きているのはその逆の動きです。都市部ではいまだ競争が激しい一方、地方では人材の供給源そのものが消えつつあるという二極化が進んでいます。

2. なぜ「専修学校の廃止」が地域医療の危機なのか

廃止が相次ぐ養成校の多くは、私立の専修学校(専門学校)です。ここが重要なポイントです。

データは、私立の専修学校こそが地域の医療人材を供給する「中核」であることを明確に示しています。ある県のデータを見てみましょう。

📊 県内高校出身率・県内就職率の比較(ある県のデータ)
職種 設置区分 県内高校出身率 県内就職率
PT(理学療法士) 私立専修学校 94% 81%
国公立大学 50% 50%
OT(作業療法士) 私立専修学校 90% 83%
国公立大学 40% 33%
ST(言語聴覚士) 私立専修学校 89% 77%
国公立大学

このデータが示すのは、私立専修学校が「地元の高校生を入学させ、地元の医療機関に送り出す」という循環を担っているという事実です。

国公立大学の県内就職率が50%以下にとどまる一方、私立専修学校は80%前後を維持しています。卒業生数の面でも、あるデータではPTの全卒業生の89%が私立専修学校の出身者であったとされています。

つまり、地域のリハビリ人材の供給は、圧倒的に私立専修学校に依存しているのです。その学校がなくなることは、地域の人材供給ラインが途切れることを意味します。

3. 職種別の固有リスク──STと歯科技工士の深刻な現状

言語聴覚士(ST):養成校がない県が12県

言語聴覚士の状況はとりわけ深刻です。現時点で全国12県に養成校が存在しません。その結果として起きているのは、以下のような現実です。

  • 医療機関が求人を出しても応募がなく、求人自体を取り下げるケースが発生
  • 人材を確保できないために言語聴覚療法のサービス提供を断念する施設が出ている
  • ある県では35市町村のうち20市町村でSTが1人もいないという地域偏在が加速

また、県外に進学した学生はそのまま県外で就職する傾向があり、地元への帰還率が低いことも課題として指摘されました。養成校がなくなることで、この「県外進学→非帰還」のサイクルが加速します。

歯科技工士:他職種に先行した深刻化

歯科技工士はリハビリ職種以上に深刻な状況にあります。養成校がピーク時の約7割にまで減少し、都道府県の約40%で養成校が存在しない状態です。担い手不足の先行事例として、今後のリハビリ職種が辿りうる未来を示しています。

義肢装具士:8校のみ、実態把握も困難

義肢装具士に至っては、全国に養成校が8校しかありません。有資格者の実態把握すら困難な状況とされており、養成の絶対数が少ない職種の脆弱性を示しています。

4. 現場PTへの影響──見えにくいが確実に進むもの

🧑‍⚕️ 現場視点で考える
「自分の病院は人材が確保できているから関係ない」と思うかもしれません。しかし、この問題は10〜15年単位で現場に影響が波及してきます。今見えにくいからこそ、構造を理解しておくことが重要です。

現場PTへの影響として考えられることを整理します。

  • 新卒採用の競争激化:地方を中心に「採れない時代」が到来しつつあります。都市部への人材集中が加速し、地方病院の確保難が深刻化する恐れがあります。
  • 業務負荷の増大:スタッフが確保できなければ、既存スタッフへの業務集中が起きます。チームでこなせていた業務が、個人負担になるリスクがあります。
  • 多職種連携の空洞化:STが1人もいない医療圏でリハビリの質を担保することは困難です。PT単独では補完できない領域で、サービス品質の低下が起きる可能性があります。
  • 後輩・学生教育の機会喪失:養成校が減れば実習先としての関わりも減少します。次世代育成に貢献する機会自体が構造的に失われていきます。

高知県のデータでは、養成校が集中する県庁所在地付近(中央医療圏)では人材が確保できている一方、医療圏をまたいだ就職は限定的であることが示されています。「近くに学校がある地域は守られ、ない地域は加速度的に困窮する」という二極化は、今後さらに鮮明になるでしょう。

5. 検討されている対策と今後の展望

検討会では、養成体制を維持・再編するためのいくつかの方向性が議論されました。

① 教育の柔軟化(文科省「地域アクセス確保特例制度」)

大学間で科目や教員を共有したり、オンライン授業の単位上限を緩和したりする制度の活用が進められます。学生数が少なくても学校を存続できるよう、教員配置基準の見直しやサテライト教室の設置も検討されています。

② 人材確保プラットフォームの構築

介護分野の事例を参考に、都道府県単位で養成校・医療機関・行政が連携する枠組みの構築が検討されています。計画的な人材確保と養成校の再編を行うための「プラットフォーム」を作るという方向性です。

③ 経済的支援の拡充

社会人経験者の再入学を促進するため、給付型奨学金への切り替えや新たな財政支援制度の創設が提案されました。人材を「育てる側」への支援を手厚くすることで、供給量を維持しようという考え方です。

④ 2040年を見据えた地域医療構想との整合

今後は職種ごとの詳細な需給データの整備を進めながら、2040年を見据えた地域医療構想との整合性を図りつつ、具体的な支援策が議論されていく予定です。事務局は「民間経営主体の把握と連携」「地域ごとの需給把握と計画的対応」「国の役割(メニューと環境整備)」の3点を今後の論点として提示しました。

📌 注目ポイント:「PTの過剰供給」論との整合性
以前から「PT・OTは過剰供給だ」という指摘があります。しかしこれは全国集計での話。地方・郡部レベルでは、すでに確保困難が始まっています。国全体の数字で語ることの限界が、今回の議論でも明確になってきています。

6. まとめ:現場PTとして今できること

  • 養成校の廃止は「地域の医療人材が育つ場所」を失うことであり、10〜15年後の現場環境に直接影響する問題です。
  • 私立専修学校は地元出身者が80〜90%を占め、地域定着率も高い。その廃止は「地元で育ち、地元で働く」循環の喪失を意味します。
  • STが1人もいない市町村が増えているように、職種によってはすでに地域偏在が深刻です。リハビリの質を守るためにも、多職種の供給体制は他人事ではありません。
  • 国の対策は議論段階。現場の声が政策を動かすためにも、学会・職能団体の動向に関心を持ち続けることが重要です。

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