心リハ指導士試験対策:問題形式で勉強しよう! 3

問題1 正しいものはどれか。

  • 1 右反回神経は大動脈弓に下をくぐるようにして走行する。
  • 2 食道は左房の後方を下降するため経食道エコー検査で左房を評価しやすい。
  • 3 心膜は前後で肋骨、下方で横隔膜に強く付着する。
  • 4 気管分岐部は左房の下方にあり拡大があると圧排される。
  • 5 横隔神経は胸神経から分岐し縦隔内を心膜に沿って下降し横隔膜に分布する。

問題2 刺激伝導系について誤っているものはどれか。

  • 1 刺激伝導系の全ての細胞は自動能を有している。
  • 2 洞結節は上大動脈開口部近くの右房前壁にある。
  • 3 心房と心室の固有心筋を繋いでいるのは房室結節ただ一ヶ所である。
  • 4 固有心室調律は1分間に30〜40回のリズムを作る。
  • 5 洞結節と房室結節は動脈の二重支配を受けている。

問題3 正しいものはどれか。2つ選べ。

  • 1 イオンチャネルはATPを使ってイオンの取り込みなどを行う。
  • 2 静止膜電位は約-90mVに維持されている。
  • 3 固有心筋細胞で活動電位は0相、第1相、第2相、第4相に分かれる。
  • 4 心筋の収縮・弛緩にはNa+が大きく関与している。
  • 5 興奮していない状態の生体細胞では細胞膜を隔てて外側が負(-)となっている。

問題4 身体的脱調節の状態を表すのは次のうちはどれか。

  • 1 ミトコンドリア容量の増加
  • 2 速筋Type IIbの割合の減少
  • 3 解糖系酵素活性の上昇
  • 4 圧受容体反射の上昇
  • 5 毛細血管密度の増加

問題5 正しいものはどれか。2つ選べ。

  • 1 ショックの症状は蒼白、虚脱、冷汗、呼吸不全の4Pが特徴的である。
  • 2 ACSでの心原性ショックは中心静脈圧が上昇する。
  • 3 ACSでの心原性ショックは心拍出量が増加する。
  • 4 ショックの診断基準に大項目、中項目、小項目がある。
  • 5 心原性ショックは一次性と二次性に分類できる。

問題6 聴診について誤っているものはどれか。2つ選べ。

  • 1 I音は半月弁の閉鎖に由来する。
  • 2 心尖部では僧帽弁閉鎖音が大きく聴取される。
  • 3 聴診器には高音を聴取しやすい膜型と低音を聴取しやすいベル型がある。
  • 4 健常人ではI音とII音とIII音が聴取される。
  • 5 IV音は健常人では聴取されない。

問題7 心電図に関することで誤っているものはどれか。2つ選べ。

  • 1 PQ間隔の基準値は<0.12秒である。
  • 2 QT間隔の基準値は補正QT間隔(QTc)が0.24〜0.36秒である。
  • 3 I、aVLは左室高位側壁を反映する。
  • 4 V1、V2は右室・心室中隔の電気活動を反映する、
  • 5 QRS波の基準値は<0.10秒である。

問題8 心臓エコー検査について誤っているものはどれか。

  • 1 Mモード法は経時的変化を評価する。
  • 2 ドプラー法は血流の方向と速度を可視化できる。
  • 3 断層心エコー法は壁運動を抽出できる。
  • 4 心尖部四腔断面像では肺動脈弁が見える。
  • 5 胸骨左縁長軸断面では右房は見えない。

問題9 抗不整脈薬で心機能抑制作用のあるものはどれか。2つ選べ。

  • 1 リドカイン
  • 2 ジルチアゼム
  • 3 ジゴキシン
  • 4 ATP(アデホス)
  • 5 プロプラノロール

問題10 抗不整脈薬でTdP誘発作用のあるものはどれか。2つ選べ。

  • 1 アミオダロン
  • 2 プロプラノロール
  • 3 ATP(アデホス)
  • 4 リドカイン
  • 5 プロカインアミド

問題1の解説

解答 2

  • 大動脈弓の下くぐるのは左反回神経である。
  • 食道は左房後方を下降するため、経食道エコー検査で左房を評価しやすい。
心エコー検査の種類
  • 経時的な動きを見る:Mモード法
  • 断層増である:Bモード法
  • 血液の反射波から血液の流れる方向と流速を知ることができる:ドプラー
  • 通常用いられるのは経胸壁心エコー図
  • 心房内血栓などを精査するためには経食道心エコー図が有用である。
  • 心臓を胸腔へ固定しているものが心膜である。
    • 心表面を覆う臓側心膜は、壁側心膜と閉鎖腔を形成して心膜腔と呼ばれる。心膜腔には心膜液と呼ばれる体液が15〜50mL存在し、心拍数変動に伴う臓側心膜と壁側心膜との摩擦を防ぐ潤滑油の役割を持っている。心膜は底面が横隔膜の中心に、前面は胸骨柄と剣状突起、後面は脊椎に付着し心臓はこの中に緩やかに固定されている。
  • 気管分岐部は左房の下方に位置し、横隔神経は頸神経から分岐する。

問題2の解説

解答 

刺激伝導系について
  • 刺激伝導系(特殊心筋)は、右心房の上大静脈との接合部付近に存在する洞房結節心房筋と心室筋の唯一の連絡路である房室結節、それに続くHis束、左室と右室に分岐した左脚と右脚、心室筋に網目のように分岐する Purkinje線維からなる。
  • 刺激伝導系全ての細胞は、電気的興奮を繰り返して発生する能力、自動能を有している
  • 固有のレートは、洞結節で100〜120拍/分房室接合部調律40〜50拍/分、固有心室調律30〜40拍/分。上位の刺激伝導系が障害された場合は下位の伝導系が遅いレートで補充調律を形成する安全機構が備わっている。
  • 洞結節と房室結節は動脈の二重支配を受け、動脈間吻合ができやすい。洞結節動脈は55%が右冠動脈から、45%が房室結節動脈から分岐する。房室結節動脈は90%が右冠動脈から、10%が左回旋枝から分岐する。

問題3の解説

解答 2 3

心筋の収縮・弛緩にはCaイオンが大きく関与している。イオンチャネルは幕内外の電位差に基づいてイオンを通すためATPは不要である。興奮していない状態の生体細胞では細胞膜を隔てて外側が正(+)となっている。

問題4の解説

解答 

身体的デコンディショニング(身体的脱調節)に関する知識を問われる問題である。

身体的デコンディショニングとは、長期にわたる不動により、身体が本来備わっている様々な調節機能が低下し、呼吸・循環機能が低下、骨格筋の変化、それに伴う運動能力が低下した状態をいう。

身体的デコンディショニング
  • 骨格筋変化
    • 骨格筋量の低下
    • 特にTypeI線維の萎縮 ー 初期1週間に顕著
    • 速筋TypeIIα減少とTypeIIbの割合の増加
    • 筋を取り囲む毛細血管数や毛細血管密度の減少
    • ミトコンドリア容量の減少
    • 解糖系酵素活性の(相対的)上昇
    • 最大随意筋力の低下:初期は神経系調整による動員筋線維数の減少、その後、骨格筋量減少に起因する。
  • 循環動態変化
    • 体液移動による循環血漿量減少
    • 圧受容体反射の低下
    • 交感神経活動に対する血管反応性の低下
  • 呼吸筋変化
    • 呼吸筋力の低下
    • 運動呼吸循環応答の低下

問題5の解説

解答 2 5

ショックとは、組織の酸素需要の不均衡による全身の循環障害を特徴とする臨床症候群であり、原因は様々である。知識としてしっかり押さえておく必要がある。ショックの臨床症状は、顔面蒼白(Pallor)、冷汗(Perspiration)、虚脱(Prostration)、微弱な脈拍(Pulselessness)、呼吸促迫(Pulmonary insufficiency)の5Pと言われ早期診断・治療に役立つ。

ショックの分類

臨床の現場では病因分類も有用とされてきました。末梢の血流が増えるウォームショック、末梢が虚血になるコールドショック分類されます。

  • ウォームショック
    • 神経原性ショック
    • アナフィラキシーショック
    • エンドトキシンショック
  • コールドショック
    • 出血性ショック
    • 敗血症性ショック
    • 心原性ショック:一次性と二次性がある。
ショックの診断基準
  • 大項目:血圧低下(必須)
    • 収縮期血圧90mmHg未満
    • または、通常の血圧より30mmHg以上の血圧下降
  • 小項目(3項目以上)
    • 心拍数100/分以上または60/未満
    • 微弱な頻脈・徐脈
    • 爪先の毛細血管のrefilling遅延(圧迫解除後2秒以上)
    • 意識障害(JCS2桁以上またはGCS10点以下)または不穏・興奮状態
    • 乏尿・無尿(0.5m/kg/時以下)
    • 皮膚蒼白と冷汗、または39度以上の発熱(敗血症性ショックの場合)

問題6の解説

解答 1 4

聴診に関する問題である。I音は房室弁の閉鎖に由来し、II音は半月弁の閉鎖に由来する。健常人ではI音とII音が聴取される。

問題7の解説

解答 1 2

心電図の正常時に関する問題である。

正常の心臓調律は、正常洞調律であり以下の特徴を持っている。

  • 洞結節から発生する。
  • P波の頻度は、成人安静時では50〜100/分である
  • PP感覚は一定で短時間内(5〜10秒)に0.16秒の変動をみない。
  • PとQRSは常に1:1であり、PQ時間は成人では0.12〜021秒で心拍ごとの変動はない。
  • 心室内伝導が正常であり、QRS時間は成人では0.12秒以内である。
  • QT間隔の基準値は補正QT間隔(QTc)が0,36〜0.44秒となる。

問題8の解説

解答 

心エコー検査についての問題である。

心尖部四腔断面像では右房、右室、左房、左室、三尖弁、僧帽弁がみえる。

問題9の解説

解答 2 5

不整脈に対する薬物治療に関する問題である。過去15年間あまりのうちに大きく変化している。これまでは心室性期外収縮などの不整脈を抑制することにより生命予後が改善されると信じられていたが、この仮説は必ずしも正しくないことが示されるようになってきた。心室性不整脈にむやみに抗不整脈薬を投与することはもとよ利、抗不整脈薬治療の考え方も変化している。現在、生命予後改善が証明された抗不整脈薬はアミオダロン等に限られ、近年進歩している植え込み型除細動器(ICD)mカテーテルアブレーションといった治療法の出現もあいまった、抗不整脈薬を用いた治療は慎重に行われるようになっている。

心機能抑制作用を持つ薬剤一覧
  • キニジン
  • プロカインアミド
  • ジソピラミド
  • プロパフェノン
  • フレカイニド
  • ピルジカイニド
  • プロプラノロール
  • ベラパミル(ワソラン)
  • ジルチアゼム(ヘルベッサー)

問題10の解説

解答 1 5

Torsade de pointes(TdP)誘発作用のある薬剤一覧
  • キニジン
  • プロカインアミド
  • ジソピラミド
  • シベンゾリン
  • ピルメノール
  • アミオダロン
  • べプリジル
  • ニフェカラント
  • ベラパミル
  • ジルチアゼム
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