心リハ指導士試験対策 : 問題形式で勉強しよう!1

問題1 急性心筋梗塞(AMI)の合併症で誤っているものはどれか。

  • 1 房室ブロック
  • 2 たこつぼ心筋症
  • 3 心不全
  • 4 左室瘤
  • 5 ドレスラー症候群

問題2 うっ血性心不全の診断基準の小項目でないものはどれか。

  • 1 頻脈(≧120bpm)
  • 2 肝頸静脈逆流
  • 3 労作時呼吸困難
  • 4 胸水貯留
  • 5 肺活量最大量の50%以上の低下

問題3 心不全の原因として可能性の低いものはどれか。

  • 1 弁膜症
  • 2 慢性閉塞性肺疾患
  • 3 筋ジストロフィー
  • 4 妊娠
  • 5 体液量減少

問題4 弁膜症について正しいものはどれか。2つ選べ。

  • 1 弁膜症の多くは僧帽弁疾患や大動脈弁疾患であり三尖弁疾患は近年減っている。
  • 2 三尖弁疾患は他の弁膜症に合併した連合弁膜症として見られることは少ない。
  • 3 現在、心疾患系の外科的手術は弁膜症が最多となっている。
  • 4 肺動脈弁狭窄症と肺動脈弁閉鎖不全症はほとんど後天性である。
  • 5 抗菌薬の普及によりリウマチ性弁膜症は激減した。

問題5 NYHA分類について正しいものはどれか。

  • 1 NYHA IV 通常以下の身体活動で呼吸困難が生じる。
  • 2 NYHA I 心疾患なく身体活動に制限はない。
  • 3 NYHA III 中等度の身体活動で呼吸困難が生じる。
  • 4 NYHA II 安静時には症状は出ない。
  • 5 上記4つの分は全て正しくない。

問題6 新しい心不全治療薬について誤っているものはどれか。

  • 1 イバブラジンはHCNチャネル阻害薬で心拍数を低下させる効果がある。
  • 2 ARNI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)はHFrEF患者に対する治療薬である。
  • 3 SGLT2阻害薬はグルコースがNaと一緒に血管に再吸収されるのを抑制する効果がある。
  • 4 SGLT2阻害薬はHFpEF患者への使用承認されている。
  • 5 ACE阻害薬とARNIの併用は禁忌となる。

問題7 弁膜症の聴診所見について正しいものはどれか。2つ選べ。

  • 1 僧帽弁狭窄症(MS)は拡張期ランブルを聴取する。
  • 2 僧帽弁閉鎖不全症(MR)は全収縮期雑音を聴取する。
  • 3 大動脈弁狭窄症(AS)はI音が減弱する。
  • 4 大動脈弁閉鎖不全症(AR)は収縮期駆出性雑音を聴取する。
  • 5 大動脈弁狭窄症(AS)は拡張期灌水様雑音を聴取する。

問題8 先天性心疾患でチアノーゼが出現しない疾患はどれか。2つ選べ。

  • 1 心室中隔欠損症
  • 2 Fallot4徴
  • 3 完全大血管転位
  • 4 心房中隔欠損症
  • 5 Eisenmenger症候群

問題9 心筋症について正しいものはどれか。

  • 1 肥大型心筋症(HCM)の確定診断として心エコー検査にて10mm以上の左室壁肥厚が重要所見である。
  • 2 肥大型心筋症(HCM)での症状は安静時にも出現しやすい。
  • 3 拡張型心筋症(DCM)は拡張不全が認められる。
  • 4 肥大型心筋症(HCM)は心筋肥大が特徴であり心腔の拡大は伴わない。
  • 5 DCMはHCMと比較し予後が良好である。

問題10 次の血管疾患で手術適応となるものはどれか。2つ選べ。

  • 1 直径4.5cmの腹部真性大動脈解離
  • 2 直径5.5cmの胸部真性大動脈解離
  • 3 直径4.5cmの胸部仮性大動脈解離
  • 4 偽腔閉塞型のStabford A 大動脈解離
  • 5 瘤直径が6ヶ月で0.5cm以上の増加がある胸部大動脈瘤

問題1の解説

解答  

たこつぼ心筋症は急性心筋梗塞と類似した心電図変化を認める。壁運動異常は1〜2週間で正常化する。ドレスラー症候群(心筋梗塞後症候群)は心臓発作の10日後から2ヶ月後に発生する心膜炎のこと。発熱や心嚢液貯留、胸膜炎、胸水、などがみられます。

性心筋梗塞における合併症と対処
  • 不整脈
    • 頻脈性不整脈(心室細動・心室頻拍)
      • 【対処法】電気的除細動、アミオダロン静脈投与。
    • 徐脈性不整脈(房室ブロック)
      • 【対処法】一時ペーシング
  • 心不全・心原性ショック:ポンプ機能障害により心不全・ショック状態になる。
  • 心破裂
    • 危険因子 → 高齢・女性・高血圧・1枝病変
    • 左室自由壁破裂
      • 左室自由壁壊死部に穴が開き、心タンポナーデを生じ心拍出が低下する。
      • 【対処法】緊手術により破裂部を閉鎖
      • 心室中隔穿孔
        • 心室中隔壊死部に穴が開き、血液が左室→右室を逆流(左→右シャント)
        • 【対処法】手術で穿孔部を閉鎖
      • 乳頭筋断裂・腱索断裂
        • 僧帽弁を支持する乳頭筋もしくは腱索が断裂し、高度な僧帽弁閉鎖不全を呈する。
        • 【対処法】手術により僧帽弁の再建(人工弁または僧帽弁形成術)
  • 心室瘤
    • 梗塞部位が伸展拡大し形成される。心機能低下や不整脈、心尖部血栓による塞栓症を合併する。
  • 左室内血栓
    • 壁運動低下部位に血栓を生じ、塞栓症(脳梗塞など)のリスクになる。
  • 右室梗塞
    • 右冠動脈の近位部閉塞によって、右室枝の血流低下により右室の収縮異常と血行動態異常を伴う。右側胸部誘導のST上昇が診断に有用である。
    • 【対処法】十分な補液と強心薬投与。

問題2の解説

解答 

うっ血性心不全の診断基準に関する問題。

大項目を2項目、または大項目を1、小項目を2項目要するもの
  • 大項目
    • 発作性夜間呼吸困難あるいは起座呼吸
    • 頸静脈怒張
    • ラ音聴取
    • 心拡大
    • 急性肺水腫
    • 静脈圧上昇(>16cmH2O)
    • 循環時間(≧25秒)
    • 肝頸静脈逆流
  • 小項目
    • 下肢浮腫
    • 夜間の咳
    • 労作性呼吸困難
    • 肝腫大
    • 胸水貯留
    • 頻脈(≧120拍/分)
    • 肺活量最大量の50%以上の低下

問題3の解説

解答 

心不全の原因疾患について問われている問題。

心不全の原因疾患には虚血性心疾患をはじめ心筋症、心毒性物質、感染性、免疫疾患、代謝性疾患、妊娠、筋ジストロフィーなどの筋疾患、高血圧や心内外膜の異常、不整脈などによるものがある。ここの問題では腎不全や輸送量過多による体液量増加が心不全の原因となる。

問題4の解説

解答 3 5

弁膜症についての知識を問われる問題。弁膜症では三尖弁疾患も近年増加傾向にある。肺動脈弁狭窄症や肺動脈弁閉鎖不全症はほとんどが先天性である。三尖弁疾患は他の弁膜症に合併した連合弁膜症として見られることが多い。

問題5の解説

解答 

NYHA分類に関する問題である。

  • NYHA I度
    • 心疾患はあるが身体活動に制限はない。日常的な身体活動では著しい疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じない。
  • NYHA II度
    • 軽度ないし中等度の身体活動の制限があるが、安静時には症状はない。日常的な身体活動で疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じる。
  • NYHA III度
    • 高度な身体活動の制限はあるが、安静時には症状は出ない。通常以下の身体活動で疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じる。
  • NYHA IV度
    • 心疾患のため、いかなる身体活動も制限される。安静時にも心不全症状や狭心痛があり、わずかな労作でこれらの症状が増悪する。

問題6の解説

解答 

新しい可能性の心不全治療薬についての問題である。

新しい心不全治療薬
  • イバブラジン
    • 房室結節に作用して心拍数を低下さえる洞結節にある過分極活性化環状ヌクレオチド依存性(HCN)チャネルを阻害する薬剤。イバブラジンは現在ガイドラインに基づく標準的な薬物療法(β遮断薬を含む)を受けているにも関わらず、またはβ遮断薬使用不可能例の症候性心不全に対して、洞調律ながら心拍数75拍/分を超えているHFrEF症例へ使用が勝承認されている。HFpEF症例に対しての死亡や入院を観察した臨床研究はまだない。
  • SGLT2阻害薬
    • SGLT2阻害薬は腎臓の糸球体で血管から尿管に移行した糖(グルコース)が再度血管にナトリウム(Na)と一緒に再吸収されるのを抑制することで血糖を低下させる薬剤。したがって、浸透圧利尿とナトリウム利尿作用による心負荷軽減作用がある。ガイドラインにてHFrEF症例に対する使用が承認されている。
  • ARNI(アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬)
    • ARNIは欧米のガイドラインではHFrEF症例に対する標準的な治療薬の一つとして推奨されている。実際の使用にあたってはサクビトリルバルサルタン開始36時間前にACE阻害薬を中止するように勧告されており、ACE阻害薬とサクビトリルバルサルタンの併用は禁忌とされている。ガイドラインに基づく標準的な薬物療法としてHFrEF症例に使用が承認されている。

問題7の解説

解答 1 2

弁膜症における聴診に関する問題である。

  • 大動脈弁狭窄症 ー 収縮期駆出性雑音
  • 大動脈弁閉鎖不全症 ー 拡張早期灌水性雑音・拡張中期雑音(Austin Flint雑音)
  • 僧帽弁狭窄症 ー 拡張中期ランブル音
  • 僧帽弁閉鎖不全症 ー 全収縮期逆流性雑音・拡張中期ランブル音
  • 三尖弁狭窄症 ー 拡張中期ランブル音(Rivero・Carvallo徴候:吸気時に増強)
  • 三尖弁閉鎖不全症 ー 全収縮期逆流性雑音

問題8の解説

解答 1 4

チアノーゼとは、血液中の酸素濃度が低下し、皮膚や粘膜が白色〜青紫色になる状態である。還元ヘモグロビン(酸素と結合していないヘモグロビン)が5g/dL以上で出現するため、ヘモグロビンの量自体が少ない貧血症例では出現しにくい。

チアノーゼが出現する疾患
  • 循環器疾患
    • 心臓の右ー左シャントのある疾患や先天性心疾患(Fallot4徴候症、Eisenmenger症候群、完全大血管転位など)で静脈血が動脈血に流入する場合に起こる。重要心不全、ショックや閉塞性動脈硬化症などの末梢循環障害でも起こる。
  • 循環器疾患以外の主な疾患
    • 急性・慢性肺疾患、一酸化中毒、赤血球増加症、異常ヘモグロビン結晶でも起こる。寒冷などで誘発される末梢血管収縮によってもおこる。(レイノー現象)。

問題9の解説

解答 

拡張型心筋症(DCM)と肥大型心筋症(HCM)に関する知識を問われる問題である。

  • 拡張型心筋症(DCM)
    • 拡張型心筋症は二次性心筋症を除外した特発性心筋症の中で①心筋収縮不全と②左室内腔の拡大を特徴とする疾患群と定義されている。
    • 慢性心不全症状を特徴とし、急性増悪を繰り返す予後不良の進行性疾患であり、致死性不整脈による突然死や動脈の血栓塞栓症を生じることもある。
    • 拡張型心筋症の病因は長らく不明とされていたが、遺伝性(家族性)と非遺伝性(非家族性)に分けて分析されるようになり、特に成人で発症する拡張型心筋症の多くは両成因が関与した症候群という考えが主流になっている。
  • 肥大型心筋症(HCM)
    • 心筋症診療ガイドラインでは、肥大型心筋症を①左室ないし右室心筋の肥大と②心肥大に基づく左室拡張機能の低下を特徴とする疾患群と定義されている。
    • 診断の確定には15mm以上(家族歴がある場合は13mm以上)あり、基礎疾患がないし全身性の異常に続発し類似した病態を示す二次性心筋症を除外する必要がある。
    • 肥大型心筋症の約60%が常染色体顕性遺伝に従う家族歴を有し、そのうち約40〜60%の症例が心筋の収縮単位であるサルコメアなどの心筋構成蛋白をコードする遺伝子の変異によって発症するとされる。

問題10の解説

解答 3 5

大動脈疾患に対する手術適応について問われている問題。

局所的に通常径の1.5倍以上になったものを大動脈瘤と呼ぶ。

大動脈壁3層(内膜・中膜・外膜)全てが拡張した真性動脈瘤、大動脈内膜に亀裂が入り入り込んできた血液によって中膜が2層に解離したものが大動脈解離、血管壁が破れて内膜・中膜から漏れ出した血液が血管周囲に血栓を作り瘤を形成する仮性動脈瘤がある。

仮性動脈瘤は破裂の危険性が高いため、瘤のサイズによらず手術適応となる。真性動脈瘤については胸部なら最大直径6cm以上、腹部であれば5cm以上が手術適応である。その以下のサイズであれば十分ん降圧療法と外来での定期的なフォローを行う。瘤直径が1cm/年以上の増加を示す場合も破裂の危険性が高いため手術の適応と考える。

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