急性期脳卒中片麻痺の理学療法とは?評価のポイントと臨床推論の基本

脳血管リハビリ

急性期病棟で脳卒中患者さんを担当したとき、「随意性がない」「共同運動が強い」と評価用紙に書いたものの、その先の治療プログラムにどうつなげるか悩んだ経験はありませんか。

脳卒中片麻痺の理学療法は、意識レベルの確認から始まり、麻痺の評価、そして動作獲得へと段階的に進めていく必要があります。この記事では、急性期における脳卒中片麻痺の理学療法について、評価の考え方から治療プログラムの組み立て方まで整理してご紹介します。

この記事でわかること
  • 脳梗塞・脳出血で理学療法の視点がどう変わるか
  • 急性期における片麻痺評価の正しい順序
  • Brunnstrom Recovery Stage(BRS)を治療プログラムに落とし込む考え方

脳梗塞と脳出血で理学療法の視点はどう変わる?

片麻痺を診る前に、まず病態理解が土台になります。脳梗塞と脳出血では、理学療法士が意識すべきポイントが異なるためです。

脳梗塞(アテローム血栓性など)

段階的に進行し、病巣の大きさが症状に影響します。離床や運動負荷の前に、血圧・血液データに加えて炎症や感染症の有無も確認が必要です。血栓溶解療法や血栓回収療法後は早期から理学療法を開始します。

脳出血

収縮期血圧140mmHg未満を7日間維持することが望ましく、脳浮腫対応として30°ヘッドアップが推奨されます。出血部位(被殻・視床・皮質下・脳幹・小脳)によって障害像が変わる点も押さえておきましょう。

心原性脳塞栓症では、心房細動や心筋梗塞を背景に持つケースが多く、意識障害を伴いやすいのが特徴です。運動負荷をかける際は、心疾患・心不全の病態理解も欠かせません。

片麻痺の評価はどの順番で進める?

片麻痺の評価は、いきなり麻痺側の運動を見るのではなく、次の順序で進めると整理しやすくなります。

1 意識障害の確認(GCS、RASSなど)と会話を通じた認知面の把握
2 遠位端の分離能確認(手指・足関節の運動)を遠位から近位へ
3 関節可動域と、運動による感覚フィードバック・良肢位保持の確認
4 バイタルサインを確認しながら、起き上がり→座位→立ち上がり→立位へと動作確認を進める

この過程で意識したいのが「視覚的フィードバック」です。患者さんが自分の動きを理解した上でパフォーマンスしているかどうかは、正しい運動学習にとって重要な要素になります。非麻痺側の動きと見比べながら判断するとよいでしょう。

BRS(Brunnstrom Recovery Stage)を治療にどう活かすか

BRSは重症度分類として使うだけでなく、治療のポイントを選ぶための地図として活用すると臨床に活きてきます。

📝 押さえておきたい3つの視点

①随意性はあるか(stage1〜3):急性期は随意性が乏しいことも多く、数日の変化を追う視点が大切です。乏しい場合は他動ROM運動と視覚・口頭刺激を組み合わせます。

②共同運動はあるか(stage3):意図した運動ができない病的共同運動の有無を、端座位での下肢挙上などで確認します。

③分離運動は行えるか(stage4〜6):膝関節・股関節の分離能を、座位・立位という重力条件の違いで判定していきます。

ポイントは、ステージそのものに当てはめて満足するのではなく、「分離と動作のつながり」を掴むことです。随意性・共同運動・分離運動という軸で捉えると、次に何を促通すべきかが見えやすくなります。

では、実際の症例ではこの評価と推論がどのようにつながっていくのでしょうか。ここからは、脳梗塞・脳出血それぞれの急性期症例をもとに、評価から治療プログラム立案までの臨床推論プロセスを詳しく解説します。

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随意性の見極め方、共同運動から分離運動への促通、麻痺側荷重の改善アプローチまで、明日からの臨床に活かせる視点をまとめました。

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📚 参考文献

中山恭秀:急性期における脳卒中片麻痺の理学療法.PTジャーナル 2025;59:667-672.

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