「理学療法士の給料で、結婚して家庭を養っていけるのだろうか」——日々の臨床業務に追われながら、ふとそんな不安を感じたことはありませんか。結婚や子育てはお金の話だけでは語れませんが、現実的な収入と将来の見通しを知っておくことは、安心してキャリアを積んでいくための土台になります。本記事では、厚生労働省や国の調査データをもとに、独身時代の生活感覚から結婚後の家計、子どもの数による違いまで、理学療法士のリアルな「養える力」を整理していきます。
理学療法士の年収のリアル——444万円という数字をどう見るか
厚生労働省「令和6年度賃金構造基本統計調査」によると、理学療法士(作業療法士・言語聴覚士を含む集計)の平均年収は約444万円。月収換算で約31.1万円、ボーナスは年間約70.4万円となっています。初任給の平均は24.6万円で、一般大卒の初任給平均を上回る水準です。
この数字を、よく比較対象になる看護師や、日本全体の給与所得者平均と並べてみると、ポジションがより見えてきます。
| 職種 | 平均年収 | 月収目安 |
|---|---|---|
| 理学療法士(PT) | 約444万円 | 約31.1万円 |
| 看護師 | 約520万円 | 約36.6万円 |
| 給与所得者全体(国税庁) | 約460万円 | — |
出典:厚生労働省「令和6・7年賃金構造基本統計調査」をもとに作成
PTの平均年齢は35.6歳と他職種に比べて若く、これが平均年収を下げて見せている一因でもあります。経験年数を重ねるごとに年収は伸びていく傾向があり、「今の数字=一生この水準」というわけではありません。
独身なら、正直「養う」の心配はいらない
まず大前提として、独身で一人暮らしをする分には、PTの平均月収(約31万円)でも生活は十分に成立します。住居費・食費・通信費などの固定費を払った上で、学会参加費や認定資格の受験料、趣味への投資にもお金を回せる水準です。「結婚できるかどうか」を年収だけで悩む必要は、独身のうちはほとんどないと言ってよいでしょう。
問題が現実味を帯びてくるのは、結婚し、さらに子どもを持つフェーズに入ったときです。
結婚相手の職業で「養える」のハードルは変わる
「養う」という発想そのものが、今の時代には少し古いかもしれません。国立社会保障・人口問題研究所の調査でも、女性が結婚相手に求める条件として男性の家事・育児への姿勢を重視する割合が大きく上昇しており、夫婦で支え合う世帯運営が前提になってきています。
とはいえ世帯年収のシミュレーションは重要です。たとえばパートナーが看護師であれば、世帯年収は444万円+520万円=約964万円。同じPT同士であれば約888万円。一般的な会社員(給与所得者平均460万円)であれば約904万円という計算になります。いずれのケースも、世帯としては十分にやっていける水準に収まります。
ただし医療従事者同士の結婚には、夜勤やシフトの調整、休みの取りやすさといった独自の論点もあります。この職業別の詳しい違いについては、後ほど触れるメンバーシップ記事でケース別に整理しています。
子どもは何人まで現実的か——お金の壁と理想のギャップ
子育てとなると、避けて通れないのが教育費です。文部科学省「子供の学習費調査」や日本政策金融公庫の調査をもとにすると、幼稚園から大学卒業まですべて国公立で進んだ場合の教育費総額は約1,000万円程度、私立中心になると2,000万円を超えるケースもあります。
一方で、国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」によると、夫婦が理想とする子どもの数は平均2.25人。しかし実際に生まれた子どもの数(完結出生児数)は1.81〜1.94人と、理想と現実の間にはっきりとした差があります。理想の数を持てない理由として最も多く挙げられているのが「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(52.6%)という、まさにお金の問題です。
「うちの世帯収入なら何人まで現実的か」は、住む地域・教育方針・パートナーの働き方によって大きく変わります。具体的な人数別シミュレーションは、この記事の後半にあたるメンバーシップ記事で詳しく解説しています。
収入を増やす選択肢を持っておく
認定理学療法士や専門理学療法士の資格取得、役職への昇進、訪問リハや自費リハ領域へのキャリア展開など、PTが収入を伸ばす方法は複数あります。それと同時に、今の職場の給与水準が市場相場と比べて適正かどうかを、一度棚卸ししてみることも現実的な選択肢です。
結婚や子育てのライフイベントを見据えるなら、20〜30代のうちに一度、転職サイトで自分の市場価値を確認しておくと、将来の選択肢が広がります。
「今すぐ転職する」というより、「自分の年収が今、市場でどう評価されるか」を知るだけでも、将来の家計プランの精度は大きく変わります。登録は無料なので、情報収集の一環として活用してみるのもひとつの手です。
まとめ
独身であればPTの収入で生活に困ることはほとんどなく、結婚しても世帯としての工夫次第で十分にやっていける——これが基本的な結論です。一方で、パートナーの職業別の詳しいシミュレーション、子どもの人数別の具体的な家計プラン、そして「趣味は本当に制限されるのか」というリアルな部分は、まだ語り尽くせていません。
これらの続きは、note会員記事「臨床理学Lab|リハの地図〜学びnote〜」で詳しく解説しています。初月無料で読めますので、自分たちの将来プランを考えるきっかけにしてみてください。
