「急性期の理学療法士って実際どれくらい忙しいの?」「365日体制の病院で働くってどんな感じ?」——学生時代や転職を考えているときに、一度は気になったことがあるのではないでしょうか。
この記事では、365日体制を導入している急性期病院で働く理学療法士のリアルな1日と、その体制を支える数字を包み隠さずお伝えします。
もちろん、ここに書く内容がすべての急性期病院に当てはまるわけではありません。施設によって体制も文化も大きく異なります。それでも「急性期のリアル」の一例として、これから急性期を目指す学生や、他院の実情を知りたいセラピストの参考になれば幸いです。
📌 この記事でわかること
- 365日体制を支える急性期病院リハビリ部門の組織構造
- 休日・平日の人員配置と「代行患者」の仕組み
- 出勤から午前業務までのリアルなタイムスケジュール
- 数字で見る急性期理学療法士の業務負担
365日体制を支える組織構造
まず、この病院のリハビリ部門(理学療法士)の体制を整理してみます。理学療法士は管理職を含めて26名。産婦人科以外のほぼ全診療科を対象に、救命救急・ICU・CCU・SCUといった集中治療室でのリハビリから各疾患別の急性期リハビリまでを幅広くカバーしています。
| 役職 | 人数 | 1日の単位ノルマ |
|---|---|---|
| 士長 | 1名 | なし(管理業務専任) |
| 副士長 | 1名 | なし(管理業務専任) |
| 中間管理職 | 5名 | 18単位 |
| 一般職員 | 19名(新人3名・時短1名含む) | 19単位 |
この規模の診療領域を、実質19名(一般職員)+中間管理職5名で回している点が、この病院の急性期リハビリの特徴です。
土日祝もお盆も年末年始も関係ない、365日体制の裏側
この病院では、リハビリ体制が完全365日制です。土日祝日、お盆休み、年末年始であっても、患者の状態に合わせてリハビリが提供されます。急性期における廃用予防や早期離床の重要性を考えれば当然の体制ではありますが、それを支える人員配置にはリアルなしわ寄せがあります。
8名
休日出勤体制
(中間管理職1+一般7)
5名
平日に常時不在
(振替休日のため)
約70名
毎日「担当未定」
からスタートする患者数
休日(土日祝・大型連休)の出勤体制は、中間管理職1名+一般職員7名の合計8名。休日に出勤したセラピストは代わりに平日のどこかで休みを取るため、平日は常に理学療法士5名が休みの状態になります。士長・副士長を除いた19名で平日を回す体制のうち常時5名が休み、さらに3名は新人、1名は時短勤務です。
平均担当患者数14名 × 休みの理学療法士5名 = 毎日およそ70名の患者のリハビリが「その日の担当未定」の状態からスタートします。この70名は「代行リスト」として、出勤しているセラピストに振り分けられます。誰か1人が休めば、その担当患者は残りのメンバーで分担して診る。これが365日体制を維持するための、いわば見えない支え合いの仕組みです。
出勤からお昼まで、理学療法士のリアルな1日
出勤直後
白紙のスケジュールを埋める作業
自分がもともと担当している患者に加え、その日割り振られた代行患者も確認し、1日の予定に組み込んでいきます。この時点でまだ実際の診療は始まっていません。
朝礼前
情報収集とリスク管理
担当する全患者(代行患者も含む)の状態チェックと情報収集を行います。血液データやバイタル、医師・看護師からの申し送りなど、前日から状態が変化している可能性を常に念頭に置きます。
朝礼後
診療開始
病棟またはリハビリ室での診療がスタート。集中治療室のベッドサイドから一般病棟まで、患者の状態や治療フェーズに応じて場所を移動しながらの臨床が続きます。
12:00
昼休憩、されど10〜15分
休憩時間にはなりますが、実際にお弁当を食べられる時間は10〜15分程度。食べ終わればすぐに業務に戻ります。
午後
再スケジューリング
その日新たに担当することになった患者を確認。入院や転棟、リハビリオーダーの追加が日中も次々と発生するため、それを新たにスケジュールへ組み込み、1日の予定を再調整していきます。
それでも、この仕事を選ぶ意味
ここまで読むと「大変そう」「きつそう」という印象を持つ方が多いかもしれません。実際、担当患者数の変動、代行の仕組み、10分程度の昼休憩——数字だけを見れば、負荷の高い環境であることは間違いありません。
それでも急性期という場所には、他のフィールドでは得がたい経験があります。集中治療室で人工呼吸器や複数のラインが繋がった患者に、初めて座位をとってもらう瞬間。昨日まで会話もままならなかった患者が、リハビリを重ねる中で少しずつ言葉を取り戻していく過程。生命の危機を脱したばかりの患者の「動く」という当たり前を、医療チームの一員として最初に支える立場にいられること。これは急性期でしか味わえない臨床の手応えです。
また、365日体制という厳しい環境だからこそ身につく力もあります。限られた時間の中で優先順位をつける判断力、代行という形で普段関わらない患者にも即座に対応する臨床推論の引き出し、そしてチーム全体で「今日1日を回す」という当事者意識。これらは急性期以外の領域に進んだとしても、理学療法士としての土台になる経験だと感じています。
💡 学生・若手PTへ
もし急性期を目指すなら、就職活動の際に「1日の担当患者数」「休日体制」「代行の仕組み」を具体的に質問してみてください。それだけで、入職後のギャップをかなり減らせるはずです。
まとめ
- 理学療法士26名(管理職2名・中間管理職5名・一般職員19名)で365日体制を運用
- 休日出勤者は平日に振替休日を取るため、平日は常時5名が不在
- その結果、毎日約70名分の患者のリハビリが「担当未定」からスタートする
- 出勤後はスケジュール作成→情報収集→朝礼→診療→10分程度の昼休憩→午後の再調整という流れ
- 過酷さの裏には、急性期でしか得られない臨床経験と成長がある
次回は、この続きとして午後から夜勤帯にかけてのリアルな業務内容や、こうした環境で働き続けるためのメンタル管理についても掘り下げていく予定です。
こうした現場のリアルをもとに、臨床推論やケースの深掘りをじっくり行いたい方は、
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