【結論】退院後8週間が鍵!急性心筋梗塞患者の行動変容を促す包括的心臓リハの秘訣

心不全療養指導士

はじめに

最新の研究では、AMI(急性心筋梗塞)退院後に**8週間の「フェーズ2(外来)心臓リハビリ**に参加した群と、参加しなかった群では、1年後に驚くべき差が出ることが明らかになりました。

評価項目リハビリ参加群非参加群
疾患・危険因子の理解100%45.3%
行動変容の必要性認識100%20.0%

特筆すべきは、リハビリに参加しなかった患者さんのわずか2割しか「生活を変えなければならない」と思っていないという現実です。退院時に同じ説明を受けていても、これほどの差が生まれてしまいます。

なぜ「知識」があっても「行動」が変わらないのか?

AMIの平均入院期間は約15日。この短期間で疾患を理解し、食事・運動・禁煙・ストレス管理のすべてを習慣化するのは至難の業です。

行動変容理論(トランスセオレティカルモデル)において、退院直後はもっとも習慣が崩れやすい**「実行期」**にあたります。この時期に専門家による8週間の伴走があるかどうかが、その後の「維持期」へ移行できるかの分かれ道となります。

臨床で今日から使える!5つの実践戦略

私たちが日々の臨床(特に退院支援や外来リハ)で意識すべきポイントは5つです。

1. 退院を「スタート」と位置づける

「退院おめでとうございます」で終わらせず、**「ここから新しい生活を一緒に作っていきましょう。外来リハビリは、そのためのレベルアップの場です」**と伝え、継続の動機づけを行います。

2. 「知識の提供」から「実践の支援」へ

「運動しましょう」という一般論ではなく、**「Aさんの生活リズムだと、どこに10分の散歩を組み込めますか?」**と、患者さんの生活に落とし込んだ提案をします。

3. 動機づけ面接の活用

「面倒くさい」という言葉の裏には、不安や迷いが隠れています。

• 「心臓の病気になって、一番不安なことは何ですか?」

• 「これからどんな生活を送りたいですか?」

といった問いかけで、患者さん自身の内発的動機を引き出します。

4. チームでのメッセージ統一

医師、看護師、理学療法士、栄養士、薬剤師が同じ目標を共有し、一貫した励ましを送ることで、患者さんの自己効力感(自分ならできるという自信)が高まります。

5. システムとしてのフォロー

個人のスキルに頼らず、外来リハビリへの移行率を高める仕組みや、電話・メール等でのフォロー体制を院内で提案していくことも重要です。

まとめ:8週間の投資が未来を変える

心臓リハビリテーションは単なる運動ではありません。患者さんが「第二の人生」をより良く生きるための包括的な支援です。

退院後のたった8週間、私たちがどのように関わるかで、患者さんの5年後、10年後のQOL(生活の質)が決まります。まずは明日の回診やリハビリで、**「退院したら、まず何をしたいですか?」**と、患者さんの人生の文脈に触れる一言から始めてみませんか。

さらに詳しく学びたい方へ

本記事のフルバージョンでは、具体的な声掛けのテンプレートや、行動変容を促すためのより詳細なエビデンスを解説しています。

また、その他臨床に活かせる知識や臨床推論をベースにした記事を掲載しています。メンバーシップ記事もチェックしてみてください。

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