はじめに
レジスタンストレーニングとは
レジスタンストレーニングは、筋力を高めることで相対的な負荷強度を低下させ結果的に身体活動を増加させることができるため、回復期の運動療法でも重要な構成要素となります。さらに、心疾患患者に対するレジスタンストレーニングは、女性・高齢・フレイル患者ほどその重要性は大きくなります。
レジスタンストレーニングの基本
- レジスタンストレーニング導入の目的を明確にする。
- 心疾患系疾患・筋骨格筋の異常を起こさないように注意する。
- 適応基準を明確に把握し、評価すること。
レジスタンストレーニングの導入に重要なことは、レジスタンストレーニングを導入する目的を明確にすることです。何のためにどんな効果を求めて実施するのか。さらに、心血管系や筋骨格系の異常を招かないようにその施行方法を十分に検討、注意することが重要となります。
レジスタンストレーニングの適応基準はこちらの記事を参考にしてみてください。
レジスタンストレーニング導入時期について
レジスタンストレーニングの導入時期は、心筋梗塞発症または心臓外科術後は最低でも5週間経過していることが目安とされています。ただし、基本的なADL動作獲得のための筋力トレーニングで運動開始初期のデコンディショニング目的で行う場合は例外となります。
筋力増強を目的としたレジスタンストレーニングでは、最大1回(1RM)の50%以上の強度で行うことが求められてきます。
介入時期によって目的は異なります。心不全患者に対する運動療法についてまとめたESCのPosition Statementでは、レジスタンストレーニングを3相に分けており、Step1〜Step3まである。Step1では正しい運動方法の学習や筋協調性の改善が目的とされ、Step3になると筋量の増大や肥大へと目的が変化する。当然ながら強度も違えば頻度も変わっていきます。
負荷量の漸増方法は?
負荷量の漸増方法については、有酸素運動と同様にレジスタンストレーニングも頻度、回数、強度の順に漸増していくことが良いとされます。
例えば、重錘の重さを1kgからいきなり5kgに増やすのではなく、実施回数を10回から15回に増やすなど2セットを3セットに増やすといったことから始めるのが望ましいです。
通常、ウエイトトレーニングマシンやゴムチューブ、ダンベルなどが使用されます。
まとめ
- レジスタンストレーニングは相対的な負荷強度を低下させる。
- 結果的に身体活動を増加させることができ、回復期の運動療法でも重要な構成要素です。
- レジスタンストレーニングは、女性・高齢・フレイル患者ほどその重要性は大きくなる。
- レジスタンストレーニング導入の目的を明確にする。
- 心疾患系疾患・筋骨格筋の異常を起こさないように注意する。
- 適応基準を明確に把握し、評価すること。
- レジスタンストレーニングの導入時期は、心筋梗塞発症または心臓外科術後は最低でも5週間経過していることが目安。
- 負荷量の漸増方法は頻度、回数、強度の順に漸増していくことがよい。
レジスタンストレーニングの効果は心疾患患者に対しても有効な手段です。ここまで記事をお読み頂きありがとうございました。
日々の臨床の一助となりますように。