はじめに
令和8年度(2026年度)の診療報酬改定に向けた議論がいよいよ大詰めを迎えています。日本病院協議会(日病協)の第254回代表者会議では、今回の改定による入院医療の再編や、現場が直面する切実な課題が浮き彫りとなりました。
本記事では、資料をもとに今回の改定の重要ポイントを分かりやすく解説します。
入院医療の再編:急性期機能の集約と「包括期」の確立
今回の改定で最も注目すべきは、「急性期病院一般入院基本料A・B」の新設です。
- 急性期病院A・Bの誕生: 救急搬送実績や手術実績といった病院単位の機能が評価され、これまでの急性期一般入院料1〜6を上回る上位区分として位置づけられました。
- DPC対象が必須: A・Bの届出にはDPC対象病院であることが必須要件となり、将来的に急性期機能はこれら上位区分へ集約される可能性があります。
- 「包括期」の明確化: 地域包括医療病棟が、高齢者救急を中心とした「包括期」の病棟として制度上、正式に確立されました。
リハビリ現場の激震:365日提供体制の要件化
リハビリテーション部門にとって、今回の改定は極めて大きな転換点となります。
- 回復期リハ1〜4で「全日提供」が義務に: 土日・祝日を含む365日のリハビリ提供体制が、回復期リハビリテーション病棟1〜4のすべてで施設基準として要件化されました。 [3]
- 深刻な人材確保の懸念: この要件化に対し、日病協からは「リハ職の確保が非常に厳しい」との懸念が強く示されています。 [1], [3]
- 緩和措置の導入: 負担軽減策として、言語聴覚士(ST)の専従要件が専任へ緩和されるほか、「みなし単位」の導入など人員配置の柔軟化も図られています。 [3]
看護必要度の見直しと地域での「救急車取り合い」
看護必要度の基準値は、急性期一般入院料1で7ポイント引き上げ(20%→27%など)が行われました。
ただし、評価項目に内科系評価が追加されるなどの調整が入っているため、実質的には現状維持に近い設計とされています。
一方で、評価指標に救急搬送台数が加わったことで、地方において「救急車の取り合い」が発生し、不要な競争を招くのではないかという懸念も共有されています。
医療DXと医師の働き方改革
- 電子カルテ標準化のロードマップ: 政府は2028年度以降を本格的な実施フェーズとしていますが、現場からは「本当に完了できるのか」と慎重な見方も出ており、現在はまだ土台づくりの段階です。 [3], [5]
- 医師の裁量労働制: 導入による労働時間制限の厳格化が現場に与える影響について、各団体で継続的な議論が必要とされています。 [5]
まとめ:2026年6月施行に向けた準備を
令和8年度診療報酬改定の施行は 2026年6月1日 です。
今回の改定は、医療機能の分化を加速させる一方で、365日リハ体制の維持といった「人材の確保・定着」が病院経営の成否を分ける大きな要因となります。
最新の告示・通知は3月上旬に予定されています。現場の体制整備を今のうちから検討しておくことが重要です。 [
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