心臓の刺激伝導系についての話。

心臓の筋肉について

  • 心臓は一定のリズムで収縮、弛緩を繰り返すことによって血液を全身に送り出します。
  • これは心筋の一部が刺激を発生する能力(自動能)を有することによるものです。
  • 心筋はこのように電気的刺激興奮を発生し、それを心臓の各部位に速やかに伝えます。(刺激伝導)
  • 心臓は特殊心筋(刺激伝導系)と、収縮という仕事を行う固有心筋とに分類されます。
  • 心筋のほとんどはこの固有心筋です。
  • 全ての心筋細胞はギャップ結合という細胞間の小さな穴で繋がれています。
  • これは機能的合胞体と呼ばれます。
  • このことにより正常な心臓では電極カテーテルによって心房のほんの一部を刺激するだけで心房、心室の全ての細胞に電気的刺激興奮が伝わり心房と心室の収縮が生じるのです。

心筋はなぜ動くのかをもう少し詳しく

  • 心筋細胞は電気的刺激興奮に引き続いて筋肉を収縮が生じます。
  • (骨格筋でもそうですが😅)これを生理学的に興奮ー収縮連関と呼びます。
  • 言い換えると、心筋は電気的に興奮しなければ収縮を生じない。
  • すなわち、心電図波形が出現しなければ、心臓の収縮は生じていないということになります。
  • 心房固有心筋と心室固有心筋に連続性はありません。
  • 線維性の房室輪によって境され、心筋の連続性はありません。
  • 虚血性心疾患では、心内膜下心筋(内腔側)、心外膜下心筋(心外膜側)という分類が用いられることがあります。(心内膜下虚血、心内膜下梗塞など)。
  • 左心室心内膜側心筋は、心内圧を直接受けるため心筋内張力が大きく、酸素需要が高いので心外膜側に比べて虚血に陥りやすいのです。
  • このため虚血や梗塞は心内膜側から心外膜に向かって拡大していくと言われています。

刺激伝導系

  • 刺激伝導系(特殊心筋)は右心房の上大静脈との接合部近傍に存在する洞(房)結節、心房筋と心室筋の唯一の連絡路である房室結節、それに引き続く、His束、左心室と右心室に分岐した左脚と右脚、そして、心室筋に網の目のように分布するPurkinje線維からなります。
  • ○洞房結節→○房室結節→○His束→○左脚・右脚→○Purkinje線維
  • 刺激伝導系のすべての細胞は、電気的興奮を繰り返して発生する能力、すなわち自動能を有しています。
  • 洞結節で100〜120/分と最も早いことから、正常では洞結節がペースメーカーとなってリズムを作ります。
  • これを正常洞調律と言います。
  • 上位の刺激伝導系が障害された場合には下位の伝導系がより遅いレート補充調律を形成する安全機構が備わっています(房室接合部調律:40〜50/分、固有心室調律:30〜40/分)。

心房筋と心室筋の筋線維の連結は房室結節のみであり、房室輪の線維組織のよって隔てられている。のし先天的に他の部に筋線維の繋がりがあると、副伝導路として発作性上室性頻拍症の原因となる(WPW症候群などの副伝導路症候群)。

洞結節と房室結節は動脈の二重支配を受け、動脈間吻合ができやすい。洞結節動脈は55%が右冠状動脈から、45%が房室結節動脈から分岐する。房室結節動脈は90%が右冠状動脈から10%が左回旋枝から分岐する。

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