はじめに
「日々の臨床に追われる中で、自分の専門性って何だろう?」
「将来のキャリアを考えると、何か強みになる資格が欲しいな…」
こんにちは!本日も記事を読んでいただきありがとうございます。
キャリアを重ねるにつれて、あなたも一度はこんな風に考えたことがあるのではないでしょうか?
私は正直、沢山考えてました。
そんな理学療法士のキャリア戦略において、強力な武器のひとつとなるのが「認定理学療法士」の資格です。
しかし、いざ調べてみると…
「種類が多すぎて、どれが自分に合うか分からない」
「専門理学療法士との違いって何?」
「取得するのは大変そう…」
といった疑問が次々と湧いてきますよね。
ご安心ください!この記事では、そんなあなたの悩みをすべて解決する手助けをさせていただきます。
- 認定理学療法士の全21種類を分野別に分かりやすく一覧解説
- 専門理学療法士との明確な違い
- 取得するリアルなメリット・デメリット
- 取得までの具体的なロードマップ
- 自分に合った分野の見つけ方
この記事を読み終える頃には、認定理学療法士の全体像がスッキリと理解でき、あなたのキャリアプランを描くための具体的なヒントが得られるはずです。ぜひ最後まで読んでみてください。
※私自身、まだ認定資格は持ってきません。今後取得を視野に入れたいと思う過程で情報を整理した記事になっていることをご了承ください。
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そもそも認定理学療法士とは?理学療法士のキャリアにおける位置づけ
まずは基本からおさらいしましょう。
認定理学療法士がどのような資格なのか、その位置づけを解説します。
認定理学療法士は「特定の分野に精通したスペシャリスト」の証明
認定理学療法士とは、日本理学療法士協会が定める制度で、「新人教育プログラムを修了した理学療法士が、より専門的な知識と技術を習得していること」を証明する資格です。
簡単に言えば、「私はこの分野の理学療法において、高いレベルの実践ができます!」と客観的に示せる、いわば臨床実践のスペシャリストの証です。
【図解】専門理学療法士との違いは?どっちを目指すべき?
キャリアを考える上で、必ず疑問になるのが「専門理学療法士」との違いです。
この2つは目指す方向性が異なります。
認定理学療法士 | 専門理学療法士 | |
役割 | 臨床実践のエキスパート | 臨床に加え、研究・教育も担う指導者 |
位置づけ | 特定分野で質の高い理学療法を提供 | 認定PTを指導・育成するリーダー的存在 |
取得要件 | 比較的、多くの人が目指せる | 非常に厳しい(学会発表、論文など) |
目指す人 | 特定分野の臨床能力を高めたいPT | 学術活動や後進育成にも貢献したいPT |
キャリアのステップとしては、まず「認定理学療法士」を取得して臨床の専門性を高め、その後、さらに研究や教育分野にも貢献したい方が「専門理学療法士」を目指す、という流れが一般的です。
まずは、あなたの興味がある分野の「認定理学療法士」を目指すのが現実的な目標と言えるでしょう。
理学療法士が認定資格を取得する5つのメリット
時間も費用もかかる認定資格ですが、それに見合うだけの大きなメリットがあります。
- 専門性の客観的な証明と臨床での自信
「脳卒中リハビリなら任せてください」と自信を持って言えるようになります。患者さんや他職種からの信頼も格段にアップします。 - 転職やキャリアアップ(役職)で有利に
履歴書に書ける公的な資格なので、転職市場で大きなアピールポイントになります。特に専門性を重視する病院や施設では高く評価され、主任などの役職に就く際にも有利に働くことがあります。 - 資格手当による給与アップの可能性
施設によっては、月数千円~1万円程度の資格手当が支給される場合があります。給与アップに直結するのは大きなモチベーションになりますよね。 - 同じ志を持つ仲間との人脈形成
研修会や学会を通じて、同じ分野に高い志を持つ全国の理学療法士と繋がることができます。この人脈は、情報交換や臨床での相談など、一生の財産になります。 - 学会発表や研修会講師への道が開ける
専門性が認められることで、学会での発表や、地域の勉強会で講師を依頼される機会が増えます。アウトプットすることで、さらに知識が深まるという好循環が生まれます。
知っておくべきデメリットと注意点
もちろん、良いことばかりではありません。取得を目指す前に、現実的な注意点も知っておきましょう。
- 取得にかかる費用と時間
研修会の受講料や受験料などで、総額10万円~20万円程度の費用がかかります。また、休日に研修を受けたり、レポートを作成したりと、プライベートな時間も必要になります。 - 5年ごとの資格更新が必要
資格は取りっぱなしではありません。5年ごとに更新が必要で、そのためには学会参加や研修会受講などのポイントを貯めなければなりません。常に学び続ける姿勢が求められます。 - 資格取得が必ずしも給与に直結するわけではない
メリットとして給与アップを挙げましたが、残念ながら全ての職場で手当が付くわけではありません。事前に勤務先の就業規則を確認しておくことが大切です。
【保存版】認定理学療法士の全21種類 分野別一覧
お待たせしました!ここがこの記事のメインパートです。
認定理学療法士は、大きく7つの専門分野の中に、合計21の認定分野が設定されています。
あなたが興味を持てる分野がきっと見つかるはずです!
【1. 運動器】
整形外科領域で働くPTに最も人気のある分野です。
- 認定理学療法士(運動器):肩・膝・腰など全身の運動器疾患を幅広くカバー。
- 認定理学療法士(切断):義肢装具の適合やリハビリの専門家。
- 認定理学療法士(スポーツ理学療法):アスリートの傷害予防、治療、パフォーマンス向上を支援。
- 認定理学療法士(徒手理学療法):関節モビライゼーションなど、手を用いた治療技術の専門家。
【2. 神経】
脳卒中や神経難病など、中枢・末梢神経疾患に関わる分野です。
- 認定理学療法士(脳卒中):急性期から生活期まで、脳卒中リハビリのスペシャリスト。
- 認定理学療法士(神経筋障害):パーキンソン病や脊髄小脳変性症などの神経難病が対象。
- 認定理学療法士(脊髄損傷):脊髄損傷患者のADL向上や社会復帰を支援。
- 認定理学療法士(発達障害):脳性麻痺など、小児の発達に関わる理学療法。
【3. 内部障害】
呼吸器・循環器・代謝など、身体の内部機能に関わる分野です。
- 認定理学療法士(循環):心筋梗塞や心不全後の心大血管疾患リハビリテーションが専門。
- 認定理学療法士(呼吸):COPDや術後の呼吸リハビリテーションの専門家。
- 認定理学療法士(糖尿病):運動療法を中心とした糖尿病の療養指導。
【4. 生活環境支援】
病院や施設だけでなく、地域や在宅での生活を支える分野です。
- 認定理学療法士(地域理学療法):訪問リハや通所リハ、介護予防のプロフェッショナル。
- 認定理学療法士(健康増進・予防):生活習慣病予防やメタボ対策、ロコモ予防など。
- 認定理学療法士(介護予防):高齢者が自立した生活を送るための支援に特化。
- 認定理学療法士(補装具):車椅子や各種装具の適合、製作に関わる専門家。
- 認定理学療法士(物理療法):電気刺激や超音波など物理療法の適切な活用。
【5. 物理療法】
※2022年度より「生活環境支援」分野に統合されました。
【6. 教育】
後進の育成や臨床教育に関わる分野です。
- 認定理学療法士(臨床教育):臨床実習指導者の育成や教育手法の専門家。
【7. 管理・運営】
組織のマネジメントや運営に関わる分野です。
- 認定理学療法士(管理・運営):リハビリテーション部門の運営や人材管理。
- 認定理学療法士(フレイル):近年注目される高齢者の虚弱「フレイル」の予防・対策。
- 認定理学療法士(疼痛管理):慢性的な痛みに対する多角的なアプローチ。
- 認定理学療法士(褥瘡・創傷ケア):褥瘡(床ずれ)の予防やケア。

自分に合った認定分野はどれ?失敗しない選び方 3ステップ
「種類は分かったけど、結局どれを選べばいいの?」という方のために、選び方のヒントを3つのステップでご紹介します。
- Step1:これまでの臨床経験と「面白い」と感じる領域を棚卸しする
あなたが今までに担当してきた患者さんで、特に「もっと良くしたい!」と熱中したケースは何でしたか? 整形外科疾患ですか? それとも脳卒中の患者さんでしたか? あなたの「知的好奇心」が向かう先が、最も良い選択肢です。 - Step2:5年後、10年後の理想の働き方を想像する
将来、あなたはどこで、どんな理学療法士になっていたいですか?
「スポーツチームで働きたい」→ スポーツ理学療法
「地域で頼られる存在になりたい」→ 地域理学療法、介護予防
「病院で管理職を目指したい」→ 管理・運営
このように、未来の自分から逆算すると考えやすくなります。 - Step3:興味のある分野の研修会や勉強会にまず参加してみる
いきなり認定を目指すのではなく、まずは気になる分野の研修会に足を運んでみましょう。そこで得られる情報や出会いが、あなたの決意を固めるきっかけになるはずです。
認定理学療法士になるには?取得までの完全ロードマップ
取得までの道のりを具体的に見ていきましょう。
【前提】まずは新人教育プログラムの修了を
認定理学療法士の受験資格を得るには、日本理学療法士協会が定める「新人教育プログラム」を修了していることが大前提となります。
※現在、新人教育プログラムの形式が以前より複雑になっています。登録理学療法士になるまでに前期研修、後期研修と分けられており、計5年間の時間が必要になっています。
取得までの4ステップ
- 受験資格の確認
- 日本理学療法士協会の会員であること
- 新人教育プログラムを修了していること
- 各認定分野が定める臨床経験年数を満たしていること
- 指定研修カリキュラムの受講
目指す認定分野ごとに定められた、必須の研修会(e-ラーニングや集合研修)を受講し、単位を取得します。 - 症例報告・レポートの準備
定められた形式に沿って、10例程度の症例報告を作成します。ここが一番大変な作業ですが、自分の臨床を見つめ直す良い機会になります。 - 認定試験の受験
全ての要件を満たしたら、年に1回実施される認定試験(筆記)に臨みます。
【重要】制度は随時更新される可能性があるため、最新かつ正確な情報は、必ず日本理学療法士協会の公式サイトで確認してください。(ここに公式サイトへのリンクを設置してください)
認定理学療法士に関するQ&A
最後に、よくある質問にお答えします。
Q1. 取得までにかかる総費用はどれくらい?
A. 受講する研修会などにもよりますが、合計で15万円前後を見ておくと良いでしょう。(内訳:指定研修受講料 約7万円、症例指導料 約1万円、受験料 約2万円、その他諸経費など)
Q2. 働きながらでも取得できますか?勉強時間は?
A. ほとんどの方が働きながら取得しています。ただし、休日に研修を受けたり、仕事終わりにレポートを作成したりする必要があるため、計画的な時間管理が不可欠です。
Q3. 認定試験の合格率はどのくらいですか?
A. 分野にもよりますが、おおむね70%~80%程度と言われています。しっかりと準備すれば、十分に合格を狙える試験です。
Q4. 履歴書にはどのように記載すればアピールできますか?
A. 資格欄に「認定理学療法士(〇〇)」と正式名称で記載します。自己PR欄では、その資格を活かして**「貴院の〇〇領域でどのように貢献できるか」**を具体的に書くと、採用担当者に熱意が伝わります。
まとめ
今回は、理学療法士のキャリアを考える上で欠かせない「認定理学療法士」について、網羅的に解説しました。
- 認定理学療法士は、臨床実践能力を証明するスペシャリストの証
- 専門理学療法士は、認定PTを指導するリーダー・研究者
- 全21分野から、自分の興味と将来像に合ったものを選ぶことが重要
- 取得には費用と時間がかかるが、キャリアアップや自信に繋がる大きなメリットがある
- 取得には計画的な準備が必要。まずは情報収集から始めよう
認定理学療法士の資格は、あなたの努力と専門性を形にし、キャリアを切り拓くための強力なパスポートになります。
この記事が、あなたの次の一歩を踏み出すきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
まずは日本理学療法士協会のサイトを覗いて、あなたが「面白そう!」と感じる分野のカリキュラムをチェックすることから始めてみませんか?
ここまで読んでいただきありがとうございました。