はじめに
皆さん、こんにちは!
この記事をご覧いただきありがとうございます。
健康的な生活を送るためには、適切な運動が欠かせません。しかし、運動を行う際には、環境条件も重要な要素の一つとなります。また、リハビリに携わるものとしてはより専門的に、具体的にどんな影響があるのかを理解しておくことは非常に重要となります。
例えば、
なぜ高温・多湿だと息切れ・疲労が生じやすいかわかりますか?
今回は、運動耐容能に影響を与える環境条件について探ってみたいと思います。
影響与える要因には何があるか。
運動耐容能は、個々人の身体的な能力とは切り離せないものです。環境条件もまた、私たちの運動パフォーマンスに大きな影響を与えます。その中でも特に重要なのが、以下の3つの要素です。
- 気候条件
気温や湿度は、運動中の身体への負荷に大きく影響します。高温多湿な環境では、体温調節が難しくなり、熱中症のリスクが高まります。逆に、寒冷な環境では筋肉が硬直しやすくなり、怪我のリスクが上がります。適切な気候条件の下で運動を行うことが重要です。 - 大気の状態
運動中に吸入する空気の質や大気中の酸素濃度も運動耐容能に影響を与えます。大気汚染がひどい場所では、酸素の取り込みが十分でなくなり、運動パフォーマンスが低下します。清浄な空気の下で運動を行うことが望ましいです。 - 地形と地勢
地面の硬さや傾斜、風景の変化など、地形と地勢も運動に影響を与えます。不均一な地面ではバランス感覚が求められ、筋力や持久力の消耗が激しくなります。適切なトレーニングを行うためには、地形と地勢に適応できる能力も重要です。
リハビリ職ならより詳しく理解してみよう。
前述した問いには答えられたでしょうか。正解としては、体温調節機能が働きにくくなるためです。
詳細は後ほど解説しますが、このように「高温多湿な環境では疲労しやすい!」で終わってしまうのは勿体無いです。リハビリに従事するものであればより運動生理学的に理解しておくことも重要です。
1:高温・多湿
- 熱放散のため皮膚血流量が増加し、1回拍出量が低下する。
- さらに皮膚血流量の増加は骨格筋への血流減少を招き作業能力の低下する。
- また、高音に多湿が加わると汗が蒸発せず体温が低下しない。
- 作業能力が低下し熱中症などのリスクが高くなる。
運動に伴う体温上昇は、最大酸素摂取量に対する相対的運動強度に依存されます。運動によって産生さえる熱は、主として発汗により体外へ放出され、汗の蒸発により体温を一定に保つように生理機能が働きます。
比較的高負荷な運動を行うと、多い時で1時間に1000mL〜2000mLもの汗が出て、体重が6〜10%も低下することもあると言われています。しかしながら、高温に多湿が加わると汗が出ても蒸発されにくくなり、効果的な熱放散ができなくなってしまいます。
暑熱環境下での運動は循環器系に影響を及ぼします。産生された熱放散のため皮膚血流量が増加し、これにより心臓への血液循環量が減少し1回拍出量が低下します。また、皮膚血流量の増加は骨格筋への血流減少を招き作業能力の低下につながります。
多量の発汗に伴う脱水や体温過上昇による熱中症などの発症リスクが高くなります。そのため、運動前・中には水分補給を行うことが発汗の促進、効果的な体温調節を行うことにつながります。
2:寒冷
- 皮膚血管血流量の減少
- 筋の震え(シバリング等)
- 代謝亢進
- 上記の様な働きにより体温低下を予防する。
身体の大きい者の方が小さい者よりも熱を放出しにくく、寒冷環境下では特に体脂肪の多いものの方が体温が低下しにくいと言われます。
また、寒冷環境下では体温の上昇はしにくくなり、体温低下を防ぐために筋の震えが起こります。しかしながら、その筋の振えが酸素を必要とし同じ運動をしていても寒冷環境下ではより酸素摂取量は高くなります。
そのため、寒冷環境下での激しい運動は心循環系に大きな負荷となるため避けることが望ましくなります。
3:天候や傾斜路
当然ながら、向かい風や坂道などの環境があれば相対的運動強度は増加します。したがって、体力が極端に低下している者や心不全患者に対して屋外での運動を指導する時は、天候や坂道などの環境に留意しておく必要があります。
4:高所環境
- 換気量が安静時、運動時ともに上昇する。
- 心拍数(脈拍数)が上昇する。
- 最大酸素摂取量が低下する。
高所とは標高が高く気圧の低い環境となります。つまり低気圧環境を意味します。
高所で行う運動では相対的運動強度が高くなり、身体組織への低酸素状態を増強することになります。これは高所では最大酸素摂取量が標高に伴って低下することが関与しています。
お役に立てれば幸いです。