心臓リハビリ指導士試験対策:運動療法に関すること

運動療法におけるリスクの層別化について誤っているものはどれか。

  • 運動負荷試験によって得られた運動耐容能が7METs以上の場合は、低リスクとする。
  • 運動負荷漸増に伴う収縮期血圧の上昇がみられた場合は、低リスクとする。
  • 血行再建後における狭心痛、息切れ、めまいなどの自覚症状が出現する場合は、低リスクとする。
  • 運動負荷試験結果がない場合、左室駆出率が40%未満は高リスクとする。
  • 臨床的うつ病が認められる場合、高リスクとする。
かず
かず

さぁ、解説していきますよ。

どれが正解かわかりましたか?

心疾患に対する運動療法におけるリスクの層別化についての問題。これはAACVPRのガイドラインに記載されており、心肺運動負荷試験に基づく指標と、心肺運動負荷試験結果がない場合の指標に分けて記載されています。

低リス
  • 運動中ならびに運動終了後に重篤な不整脈が出現しない
  • 運動中ならびに運動終了後に狭心痛や他の症状(息切れ・めまい等)が出現しない
  • 運動中ならびに運動終了後に血行動態が正常である(運動負荷漸増に伴う心拍数、収縮期血圧の上昇がみられる)
  • 運動耐容能>7METs

【心肺運動負荷試験結果がない場合】

  • 安静時左室駆出率≧50%
  • 合併症を伴わない心筋梗塞、血行再建術後
  • 心臓イベント後ならびに血行再建術後
  • 心不全がない
  • 臨床的うつ病がない
中等度リスク
  • 高強度(7METs以上)の運動において、狭心痛や他の症状(息切れ・めまい等)が出現する
  • 運動中および運動終了後に、軽度または中等度の無症候性心筋虚血が出現する
  • 運動耐容能≧5METs

心肺運動負荷試験結果がない場合】

  • 安静時左室駆出率=40%〜49%
高リスク
  • 運動中ならびに運動終了後に重篤な不整脈が出現する
  • 低強度(5METs以下)の運動において、狭心痛や他の症状(息切れ・めまい等)が出現する
  • 運動中および運動終了後に高度の無症候性心筋虚血が出現する
  • 運動時に以上な血行動態を示すもの(運動負荷漸増に伴う収縮期血圧の上昇がみられない、あるいは低下する場合)

心肺運動負荷試験結果がない場合】

  • 安静時左室駆出率<40%
  • 臨床的心停止の履歴があるもの
  • 安静時に重篤な不整脈が出現する
  • 合併症を伴う心筋梗塞ならびに血行再建術後
  • 心臓イベント後ならびに血行再建術後に徴候が出現する
  • 臨床的うつ病がある

運動処方の構成要素として、疾患や年齢、運動能力を問わず必要なものはどれか。

  • 運動の頻度の決定
  • 運動の強度の決定
  • 身体活動量の変化に伴う再処方
  • 運動の種類の決定
  • 運動の継続時間の決定
かず
かず

さぁ、解説してきますよ。

正解はどれでしょうか。

全部かな?

運動処方の目的・構成要素は?

運動処方の目的は、身体運動能力の向上と冠危険因子の是正によって、より健康な身体的状態に近づけることであり、安全でかつ効果的な内容が求められる。このため運動処方は画一的なものではなく、対象者の身体状況や目的によって異なる場合が多いです。しかしながら、基本的には運動を処方する上では一般原則的な考えがあるため抑えておく必要があります。

運動処方を構成する基本的要素は、

  • ① 運動の頻度 (Frequency)
  • ② 運動の強度 (Intensity)
  • ③ 運動の時間 (Time)
  • ④ 運動の種類 (Type)

この要素になります。この頭文字をとってFIITと呼ばれます。

また、この要素に⑤身体活動の増加に伴う再処方が追加され考えれることもあります。個々の健康体状態、危険因子の内容、行動様式、運動の目的や運動の好き嫌いや向き不向きなどを考慮したうえで運動処方を検討していく必要があります。

心リハにおける運動処方の基本
はじめに運動処方の基本はFITT!🏃かずPT心臓リハビリテーションは、心臓疾患を持つ人々が健康な生活を送るための重要なプログラムです。その中でも、運動処方は特に重要であり、患者さんの心臓機能を改善し、リスクを...

心疾患患者が実施する有酸素運動について、推奨される中等度負荷に相当する運動処方内容はどれですか?

  • 最高酸素摂取量の(peakVO2)の40〜60%の強度
  • Karvonenの係数(k値)が0.4〜0.6の強度
  • 1週あたり1〜2回の頻度
  • 60分以上行う運動時間
  • 自覚的運動強度(Borg指数)が10〜12未満の強度
かず
かず

運動強度に関する問題になります。

どれが正しいでしょうか🤔

有酸素運動の運動強度の設定について

日本循環器学会が推奨する有酸素運動における強度には軽度、中等度、高度負荷の設定に分けられます。高リスクな症例と判断された場合や運動能力が低いと判断される場合、また、デコンディショニングを強く認める場合などでは運動強度は軽度もしくは中等度程度の負荷の運動を処方する必要があります。そこで、どれぐらいの運動が軽度、中等度高度負荷なのかしっかり理解しておく必要があります。

有酸素運動の運動強度設定
  • 最高酸素摂取量(PeakVO2)の40〜60%
  • 嫌気性代謝閾値(AT)による運動処方
    • AT時の心拍数(ATの1分前の心拍数という意見もある。)
    • ATの1分前のワット数(ATはPeak VO2の45〜55%程度であるため、AT時のワット数がAT1分前のワット数の10%増し程度と考えると、AT時ワット数はPeakVO2の50〜60%程度の強度となり結果的に間違った運動強度ではないという意見もある。
  • 心拍予備能(HRR)を用いたKarvonen法による処方
    • HRR=最大心拍数から安静時心拍数を除した値
    • 【(最高HRー安静時HR)×k+安静時HR】(kは通常0.4〜0.6を用いる。)
  • ボルグスケールによる処方
    • 11〜13ぐらいに感じる程度の運動強度を選択
    • 13程度の運動強度がおおよそATレベルの運動強度に相当すると言われている。
  • 簡便法:安静時HR+30bpm(β遮断薬の内服がある場合は安静時HR+20bpm)
  • 心拍数の推移を連続的にモニタリングして設定する方法
    • 心拍数が漸増しなければその運動強度はAT以下と判断される。
    • ただし、β遮断薬などの運動時に脈拍の上昇を妨げる薬剤が処方されている時には注意する必要がある。
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