はじめに
不整脈に対する薬物療法に関することは年々変化しております。例えば、最近の大規模試験では生命予後の改善が証明された主な抗不整脈薬はアミオダロン等に限られています。また、植込み式除細動器(ICD)を含む植込み型心臓電気デバイスやカテーテルアブレーション術といった非薬物両方の出現も相まって、不整脈治療には慎重に治療選択がされるようになっております。
僕は医師や薬剤師ではないですが、こういった理学療法以外の分野も勉強するようにしています。(もちろん基本的なことでですが・・・)
なぜ専門分野以外の勉強もするの?
心臓リハビリに携わるものとして、患者さんがどんな治療をしているのか、医師はどんな考えを持って今の治療をしているのか、運動療法を提供する上で何に注意してどんな運動処方が最適か、それを知りたいからです。
不整脈の薬物療法の基本事項
不整脈治療をする際には、当然目的があります。
大きく4種類と考えています。
- 抗不整脈療法:不整脈そのものを抑え込む治療
- 心拍数調整療法:不整脈は認めるものの、症状を改善させる治療
- 抗凝固療法:不整脈による血栓・塞栓を予防する治療
- 心機能改善・保護:不整脈の発現を抑える治療
心房細動の薬物療法
レートコントロール、リズムコントロール、塞栓予防などがあります。
塞栓予防にCHADS2スコアが用いられます。
レートコントロール治療は主にβ遮断薬、ジゴキシン、カルシウム拮抗薬を選択使用されることが多いようです。また、リズムコントロール治療に際して、カテーテルアブレーション治療も視野に入れた治療、薬物選択がされます。
要点
- 主にβ遮断薬、ジゴキシン、カルシウム拮抗薬が選択されることが多い。
心房細動における心拍数調整方法に使用される薬剤は、β遮断薬、ジギタリス製剤、非ジヒドロピロジン系、カルシウム拮抗薬があります。しかしながら、頻脈を示さない心房細動、徐脈傾向にあるものに対するβ遮断薬はガイドライン上禁忌とされています。また、ジギタリス製剤は持続的に頻脈性心房細動に使用していると予後の悪化、心臓死の増加が認められるとする報告がされています。
心房細動のレートコントロール治療の安静時目標心拍数の値としては110拍/分未満とされています。通常80拍/分が望ましいとされています。
要点
- β遮断薬、ジギタリス製剤、非ジヒドロピロジン系、カルシウム拮抗薬が使用される。
- 徐脈性心房細動にはβ遮断薬はガイドライン上禁忌となる。
- 長期的なジギタリス製剤の使用は予後の悪化が報告されている。
心室頻拍の薬物療法
最近では、特発性心室性頻拍にはカテーテルアブレーションが第一選択となっている傾向にあるようです。抗不整脈に際しては、左脚ブロックに右軸偏位型の心室頻拍にはβ遮断薬、右脚ブロックに左軸偏位型の心室頻拍にはベルパミルが有効であることが多くなっています。
器質的心疾患に伴う心室性頻拍については、血行動態が不安定な場合おいては電気ショックが適応となります。また、再発および心臓突然死予防のための植込み型除細動器(ICD)の使用が推奨されています。虚血性心疾患に伴う心室性頻拍ではカテーテルアブレーションが有効とされ推奨されています。
要点
- 特発性心室性頻拍にはカテーテルアブレーションが第一選択
- 血行動態が不安定な場合おいては電気ショックが適応
- 心臓突然死予防には植込み型除細動器(ICD)の使用が推奨
心室細動の薬物療法
心室細動については心肺蘇生(CPR)が必要であるが、CPR時の注射薬については基本的にはアドレナリンを使用する。マグネシウムやアトロピンのルーチン使用は禁忌とされています。
最後に
この記事をお読みいただき、ありがとうございます。不整脈治療に関する知識を深めることに繋がれば幸いです。