はじめに:令和7年「賃金構造基本統計調査」が公表
リハビリテーション職として働く皆さんが最も気になるトピックの一つ、それは「自分たちの給与が今後どうなっていくのか」ではないでしょうか。
厚生労働省は先日、令和7年(2025年)の「賃金構造基本統計調査」の結果を公表しました。この調査は、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、視能訓練士の4職種を合算した給与実態を明らかにするものです。
今回の調査結果を一言で表すと、「処遇の踊り場」。これまで緩やかに上昇してきたリハ職の年収が、ついに足踏みを始めました。今回の記事では、最新の統計データからリハ職の給与の現在地を詳しく解説し、私たちが今後どのようなキャリアを歩むべきなのか考えていきます。
令和7年リハ職の推定年収は443.6万円
最新の調査結果によると、リハビリ4職種の平均的な給与水準は以下の通りとなりました。
- 推定年収:約443.6万円
- 月額給与(きまって支給する現金給与額):30.99万円
- 年間賞与:71.72万円
前年(令和6年)の推定年収が444.1万円であったことから、前年比でほぼ横ばい、微減という結果になっています。
令和2年以降で初めて「前年割れ」を記録
注目すべきは、年収の推移です。令和2年以降、リハ職の年収は緩やかな上昇傾向にありましたが、令和7年は令和2年以降で初めて前年を下回る結果となりました。
これは、リハ職の労働者数が約28万人に達し、需給のバランスが変化していることや、診療報酬改定の影響などが背景にあると考えられます。まさに、給与の伸びが停滞する「踊り場」に差し掛かっていると言えるでしょう。
男女別の給与格差と働き方の実態
データを男女別に細かく見ていくと、リハ職の労働実態がより鮮明に見えてきます。
男女の年収差は49.5万円
令和7年調査における男女別の推定年収は以下の通りです。
- 男性:466.8万円(平均年齢36.7歳、勤続9.2年)
- 女性:417.3万円(平均年齢35.5歳、勤続7.6年)
男女間には49.5万円の開きがあるようです。この格差の内訳を見ると、月額給与の差が3.24万円(年間で約38.8万円)、賞与の差が約10.6万円となっています。勤続年数に1.6年の開きがあることも、この年収差に影響を与えている重要な要因です。
職種別のデータに関する注意点
なお、この「賃金構造基本統計調査」はPT・OT・ST・視能訓練士の4職種合算値であることに注意が必要です。理学療法士や作業療法士個別のより詳細なデータについては、人事院の「職種別民間給与実態調査」など、他の統計資料も併せて参照することをお勧めします。
迫りくる「頭打ち」への懸念と将来の不安
令和2年から6年間の推移を振り返ると、推定年収の伸びは明らかに鈍化しており、令和7年で「頭打ち」の傾向が強まっています。
こうした背景もあり、現場で働くセラピストの間では将来に対する危機感が高まっています。ある調査では、療法士の75%が「将来に不安を感じている」と回答しているという衝撃的なデータもあります。

一生、今の職場で働き続けて給与は上がっていくの?

今のスキルだけで10年後、20年後も通用するのか?
というような不安は、もはや他人事ではありません。
私たちが取るべき「第3の選択肢」とは?
給与が横ばい、あるいは減少傾向にある中で、私たちはどのように自身の価値を高めていくべきでしょうか。現場の傾向からいくつかのヒントが見えてきます。
専門性の深化と最新情報のキャッチアップ
診療報酬改定などの制度変化に柔軟に対応するためには、常に最新の情報を得て、自らの専門性を磨き続けることが不可欠です。
例えば、2026年度(令和8年度)の診療報酬改定の動向を把握したり、特定疾患(前庭リハビリテーションや顎関節症など)への対応力を高めたりすることは、職場での評価や処遇改善に直結します。
転職ではない「副業・独立」という選択肢
これまでのキャリア形成は「今の職場で頑張る」か「条件の良い職場へ転職する」かの二択が主流でした。しかし現在、「副業・独立」という“第3の選択肢”を選ぶ療法士が増えています。
週1回・1時間から始められるリハビリの仕事や、自身の専門性を活かした副収入の確保(月15万円程度を稼ぐ事例も)など、働き方は多様化しています。職場に依存せず、自らの力で稼ぐスキルを身につけることは、将来への不安を払拭する大きな一歩となるはずです。
まとめ:現状を直視し、自律的なキャリア形成を
令和7年の統計データは、リハビリ職にとって決して楽観視できるものではありませんでした。年収443.6万円という数字は、これまでの「当たり前に給与が上がる時代」が終わったことを示唆しています [1]。
しかし、これは同時に、自分のキャリアを自分自身でコントロールする時代が来たとも言えます。
- 最新の統計データや診療報酬の動向を常にチェックする
- セミナーや勉強会を通じて、代わりのきかない専門スキルを磨く
- 副業や独立を視野に入れ、収入源の多角化を検討する
まずは現状を正しく理解し、5年後、10年後の自分を想像してみてください。今、小さな一歩を踏み出すことが、将来の安心へと繋がります。
出典
厚生労働省「令和7年(2025年)賃金構造基本統計調査」
リハビリテーション専門職の求人・セミナー情報サイト「POST」記事より
※本記事は2026年3月時点の情報を基に作成しています。最新の統計や制度については、必ず公的機関の一次情報を確認してください。
