はじめに
「私たちの給料、これからどうなるの?」
「理学療法士の仕事は、もっと社会に貢献できるはずなのに…」
現役の理学療法士(PT)やリハビリ関連職の皆さん、そしてこの分野を目指す学生さんなら、一度はこんなことを考えたことがあるのではないでしょうか。
そんな私たちの未来を左右する、非常に重要な動きがありました。
先日、日本理学療法士協会が厚生労働省に対し、「令和8年度診療報酬改定」に向けた要望書を提出したのです。
この要望書は、単なるお願いではありません。理学療法士の「価値」を国に問い、私たちの働き方、給与、そしてリハビリテーション医療の未来を形作るための設計図です。
この記事では、難解な要望書の内容を5つの重要ポイントに絞り、「私たちの仕事にどう関わるのか?」という視点で、誰にでも分かりやすく解説します。
\臨床理学Labでは?/
現在、理学療法士・作業療法士向けに、臨床で使える知識を“根拠付き”で深掘りするメンバーシップをしています。
• 📌 論文ベース × 現場感のある解釈
• 📌 ケーススタディで臨床推論を鍛える
• 📌 教科書には載っていない「実際どうする?」に答える実用記事
全コンテンツが読み放題になります!

【最重要】「リハビリ専門職の処遇改善」
今回の要望で、誰もが最も注目しているのがこの項目でしょう。
- 要望項目:リハビリテーション専門職の処遇改善
一言でいえば**「専門性に見合った給料を!」**という、協会からの強いメッセージです。
【現状の課題】
私たち理学療法士は、国家資格を持つ高度な専門職です。しかし、その専門性や業務の重要性が、必ずしも給与に反映されているとは言えない状況があります。
【要望が実現すると?】
この要望が認められれば、診療報酬上でリハビリ専門職の技術料や人件費が正当に評価され、私たちの給与アップに直結する可能性があります。これは、モチベーション向上だけでなく、優秀な人材を確保し、業界全体の質を高める上でも不可欠な一歩です。
現場の負担を減らせ!「働き方改革」と「環境整備」への要望
日々の業務に追われる中で、「もっと患者さんと向き合う時間がほしい…」と感じることはありませんか?今回の要望には、そんな現場の声に応える項目も含まれています。
- 廃用症候群リハビリ開始時の書類作成を簡略化
- 現状:リハビリ開始までに必要な書類が多く、患者さんを待たせてしまうことも。
- → もっと早く、スムーズにリハビリを始められるように!
- 機能訓練室の面積要件を見直し
- 現状:厳しい面積要件が、リハビリ提供の場の柔軟性を妨げている。
- → より多様な環境で、効果的なリハビリを提供できるように!
これらの「業務効率化」は、私たちの日々の負担を軽減し、より質の高いリハビリを患者さんに提供するための重要な改善点です。



リハビリの質をさらに高める「切れ目のない医療」の推進剤
患者さんが急性期から在宅まで、安心してリハビリを受けられる体制づくりも重要なテーマです。
- 回復期リハビリ病棟での心臓リハビリを推進
- 外来患者が早期にリハビリを開始できる仕組み作り(初期加算等の制限撤廃)
- 二次性骨折予防への理学療法士の積極的な関与
これらは、特定の時期や疾患だけでなく、患者さんの人生全体を支えるという理学療法士の役割を、さらに強化しようという意図が込められています。
【未来への挑戦】理学療法の新たな地平!「未開拓分野」への本格参入
今回の要望で、特に未来への期待を感じさせるのが、これまで理学療法士の関わりが少なかった「未開拓分野」への挑戦です。
- 産後女性の腰痛など、運動器症状へのリハビリ
- 尿失禁に対する理学療法
これまで自費診療が中心だった「産後ケア」や「骨盤底筋トレーニング」などが、保険診療として評価される道が開かれるかもしれません。これは、多くの女性のQOLを改善するだけでなく、理学療法士の新たなキャリアパスにも繋がる、非常に大きな一歩です。
- 糖尿病・糖尿病性腎症の重症化予防
- 心臓手術前のフレイル高齢者への運動指導
- 循環器病の再発・重症化予防
高齢化社会が進む中で、病気になる前の「予防」や「重症化予防」の重要性はますます高まっています。理学療法士が持つ運動療法の知識と技術は、まさにこの分野で大きな力を発揮できます。
これらの要望は、理学療法士が「治療の専門家」から「国民の健康を守る専門家」へと進化していく未来を示しています。


まとめ:要望書から読み解く理学療法士の未来像
今回の日本理学療法士協会の要望書をまとめると、3つの大きな方向性が見えてきます。
- 価値の正当な評価: 専門性に見合った「処遇(給与)」の実現。
- 役割の深化: 急性期から在宅、予防まで、一貫して国民の健康を支える役割の明確化。
- 役割の拡大: 産後ケアや生活習慣病など、新たな社会課題に挑戦するフロンティア精神。
もちろん、これらはまだ「要望」の段階であり、実現に向けてはこれから国の審議を見守る必要があります。
しかし、この要望書は、私たち理学療法士が目指すべき未来を明確に示してくれました。
この未来を実現するために、私たち一人ひとりが日々の臨床で質の高いリハビリを提供し、理学療法の価値を社会に示していくことが何より重要です。
あなたはどう思いますか?
今回の要望の中で、あなたが最も期待する項目はどれですか?
ぜひ、下のコメント欄やSNSであなたの意見を聞かせてください。皆でこの動きを盛り上げ、より良いリハビリテーション医療の未来を創っていきましょう!