はじめに
「毎日同じことの繰り返しに感じる…」
「学生時代に思い描いていた理想の理学療法士とは、なんだか違う…」
「目の前の患者さんのために全力を尽くしているはずなのに、心が動かなくなってしまった…」
かつての私がそうだったように、ふと理学療法士としての「やりがい」を見失ってしまう瞬間は、多くの人が経験する道かと思っています。
決して、あなたの熱意が足りないわけでも、能力がないわけでもありません。あなただけが特別に悩んでいるわけではないのです。
この記事では、まだまだ未熟ながら理学療法士として働く中で僕自身も経験した「燃え尽き」の正体と、そこから抜け出し、再び仕事の価値や楽しさを見つけるための具体的な5つのヒントをご紹介していきたいと思います。
明日からの臨床が、少しだけ違って見えるきっかけになれば嬉しいです。
考える力を磨き、“つなげる臨床力”を育てる
臨床推論スキルを実践的に高めるメンバーシップ、始まります。ただ評価を学ぶだけでは、臨床の壁は越えられない。
大切なのは、「なぜこの評価をするのか?」「どう結果を解釈し、治療に活かすのか?」という“考える力”。
このメンバーシップでは、そんな臨床のリアルな思考プロセス**をケーススタディを通して深掘りし、現場で本当に役立つ力を育みます。
■ このプランで得られること
- ✅ 評価の本質と臨床での活かし方を、わかりやすく解説
- ✅ ケーススタディで、思考プロセスをトレース
- ✅ 結果の“読み取り”と“介入へのつなげ方”を徹底考察
- ✅ メンバー同士で学び合い、成長できる実践コミュニティ
■ こんな方におすすめ
- 「評価はできるけど、その意味や活かし方に自信がない」
- 「現場で本当に使える“臨床思考”を学びたい」
- 「迷ったとき、相談できる仲間がほしい」
- 「目の前の患者にもっと貢献できる力をつけたい」
■ 臨床に“確かな軸”を。
一緒に、悩みながらも前に進む仲間と出会い、
思考を深め、臨床力を育てていきましょう。

なぜ、私たちは「理学療法士のやりがい」を見失うのか?
まず、なぜ心が疲れてしまうのか、その原因を一緒に考えてみましょう。「ああ、これだ」と思い当たることが、きっと一つはあるはずです。
- ① 理想と現実のギャップ
「患者さんを劇的に改善させる!」という高い理想とは裏腹に、日々の臨床は地道なリハビリの連続。思うような結果が出ず、無力感に苛まれてしまう。 - ② 業務のルーティン化
毎日同じような疾患、同じような評価、同じようなプログラム。いつしか創造性が失われ、自分が「作業員」のように感じてしまう。 - ③ 報われない努力とプレッシャー
頑張りが給与や役職に反映されにくいと感じたり、患者さんや他職種との人間関係に疲弊したり。「頑張っているのに…」という気持ちが心をすり減らします。 - ④ 「治す」ことへのこだわりすぎ
良くならない患者さんを前に、「自分のせいで治せない」「もっと良いアプローチがあったのでは」と自分を責めてしまい、仕事が辛いと感じてしまう。
これらの悩みは、真面目に患者さんと向き合っている証拠でもあります。だからこそ、まずは自分を責めるのをやめて、少しだけ視点を変えてみませんか?


【やりがい再発見】仕事が再び輝き出す5つのヒント
ここからは、僕が実際に試して効果があった、思考の転換法と具体的なアクションをご紹介します。
ヒント1:「大きな改善」より「小さな一歩」にフォーカスする
私たちはつい「歩行自立」「ADL全介助からの脱却」といった大きなゴールばかりを見てしまいがちです。しかし、やりがいの種はもっと足元に転がっています。
- 昨日より5m長く歩けた
- 痛みの表情がほんの少し和らいだ
- リハビリ中に笑顔が見られた
- 「ありがとう」の言葉
こんな「小さな一歩」にこそ、私たちの仕事の価値が詰まっていると思います。今日の臨床での「小さなグッジョブ」を探すゲームだと思って、患者さんを観察してみてください。
ヒント2:「治す人」から「支える伴走者」へ視点を変える
理学療法士の仕事は、疾患を完治させることだけではありません。その人らしい生活を取り戻す、あるいは維持することを「支える」伴走者です。
機能が改善しなくても、あなたが関わることで、その人の孤独が和らいだり、1日の楽しみになったりしているかもしれません。私たちは、患者さんの人生の物語に深く関われる、本当に尊い仕事をしています。
ヒント3:患者さんを「物語」で見る
「大腿骨頸部骨折の〇〇さん」と機能で見るのではなく、「お孫さんに会うのが楽しみな〇〇さん」「畑仕事が生きがいだった〇〇さん」と、その人の持つ「物語」に興味を持ってみましょう。
「最近、お孫さんから連絡はありましたか?」
「昔やっていた畑の話、また聞かせてください」
リハビリ以外の何気ない会話が、相手の本当の目標や希望を引き出し、あなたのモチベーションに火をつけてくれることがあります。


ヒント4:他人ではなく「1年前の自分」と比べる
SNSを開けば、学会で発表する同期や、難しい手技を使いこなす先輩が目に入り、焦ってしまうかもしれません。
でも、比べるべきは他人ではありません。「1年前の自分」です。ここでは1年前と言ってますが、3年前、5年前、なんなら半年前とかでもかまわないと思います。
1年前には分からなかった知識、できなかった評価、うまく伝えられなかった指導。振り返れば、あなたも着実に成長しているはずです。その成長こそが、あなただけのやりがいの源泉です。
ヒント5:「インプット」より「アウトプット」を意識する
勉強会に参加して知識をインプットし続けることに疲れたら、一度「アウトプット」に切り替えてみましょう。
- 後輩や学生に、自分が知っていることを教えてみる
- カンファレンスで、自分の考えを勇気を出して発言してみる
- 簡単な資料を作って、チームに共有してみる
人に教えることは、最大の学びです。自分の知識が整理され、「自分も誰かの役に立てている」という実感は、大きな自信とやりがいにつながります。
まとめ:あなたの仕事は、間違いなく誰かの希望になっています
理学療法士のやりがいは、ドラマチックな奇跡の中にあるとは限りません。むしろ、日々の地道な関わりの中に、静かに存在しているのかなと思います。
私も5年目の頃、すべてが嫌になり本気で転職を考えた時期がありました。しかし、担当していたある患者さんから退院時に「先生と話すのが、入院中の一番の楽しみだったよ。先生が担当でよかった。ありがとう」と言われた一言で、この仕事の価値を再発見できたのです。
完璧な理学療法士なんてどこにもいません。迷い、悩み、立ち止まりながら進んでいくのが普通です。
もしあなたが今、「もう辞めたい」と思うほど追い詰められているなら、この記事で紹介したヒントを一つでも試してみてください。
あなたのその手と知識、そして患者さんに寄り添う心は、今日も間違いなく、誰かにとっての希望になっています。どうか、その価値を忘れないでください。