2026年の理学療法士を取り巻く現状:なぜ「今」目標が必要なのか
2026年、リハビリテーションを取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。
少子高齢化がさらに加速する中で、私たちの役割は「病院の中での機能回復」から、「地域の中での生活支援」「予防リハビリテーション」、さらには「テクノロジーを活用した効率的な介入」へと急速に広がっています。
“現状維持”=”衰退”と同じなのです。
このような変化の中で、ただ漫然と日々の業務をこなすだけでは、「セラピストとしての市場価値」を維持することが難しくなっています。例えば、
- 専門性の深化: 特定の疾患や手技に対する深い知識
- スキルの掛け合わせ: リハ×IT、リハ×経営、リハ×心理学
- 働き方の多様化: 組織に依存しない個人の発信力や副業
「今年はどんな一年にしたいか」を考えることは、単なる新年の恒例行事ではありません。激動の時代を生き抜くための「航海図」を描く作業なのです。
目標設定の前に:「やりたいこと」が見つからないあなたへ
「目標を立てよう!」と言われても、すぐに思いつかない方も多いはずです。特に、日々の臨床が忙しく、疲弊している時には「現状維持で精一杯」と感じるのが自然な反応です。
やりたいことを見つけるためには、以下の3つのアプローチを試してみてください。
①「やりたくないことリスト」を書き出す
「やりたいこと」は分からなくても、「これは嫌だ」という不満は誰にでもあるはずです。
• 残業続きで自分の時間が持てないのは嫌だ
• エビデンスに基づかない介入を続けるのは苦痛だ
• 給料が上がらない現状に不安を感じる
これらの「嫌なこと」を裏返すと、それがあなたの**「本当の願望」**になります。「残業を減らしたい」→「効率的な業務遂行能力を身につける」という目標が見えてきます。
② 過去の「心が動いた瞬間」を振り返る
これまでの臨床で、患者さんから言われて一番嬉しかった言葉は何ですか?
• 「歩けるようになって孫に会いに行けた」と言われた
• 自分の評価で疾患の根本原因が見つかった時の高揚感
あなたが価値を感じた瞬間に、大切にすべき「キャリアの核」が隠されています。
③ 憧れの人や「嫉妬する相手」を分析する
SNSや学会で活躍している人を見て、「いいな」「自分もあんなふうになれたら」と感じる相手はいますか? 嫉妬は、自分の**「なりたい姿」を映し出す鏡**です。その人が持っていて自分が持っていないものは何かを分析してみましょう。
理学療法士のための「4つのカテゴリー別」目標設定例
目標は1つに絞る必要はありません。バランス良く設定することで、人生の満足度が高まります。
A. 臨床スキル・専門性
理学療法士の本分です。
• 例: 認定理学療法士(運動器・脳卒中など)の取得、英語の論文を月に2本読む、特定の評価指標(FIMやGMFMなど)の精度を上げる。
• ポイント: 「勉強する」だけでなく、「〇〇の症例に対して改善率を〇%上げる」といったアウトカムを意識しましょう。
B. キャリア・ビジネス・収入
働き方に関する目標です。
• 例: 昇進試験に合格する、副業で月5万円稼ぐ、転職エージェントに登録して自分の市場価値を知る。
• ポイント: PTの給与体系は硬直化しがちですが、加算の取得状況や業務改善など、病院の経営に貢献する視点を持つと評価に繋がります。
C. 自己研鑽・情報発信
アウトプットの習慣化です。
• 例: noteを毎週1記事更新する、学会発表を1回行う、Twitter(X)で専門的な知見を毎日1回発信する。
• ポイント: 「教えることは二度学ぶこと」です。発信を前提にすると、学びの質が劇的に変わります。
D. プライベート・健康
長く働き続けるための土台です。
• 例: 体脂肪率を5%落とす、家族とのキャンプを年4回計画する、週に2回は定時で帰る。
• ポイント: セラピスト自身が不健康では、患者さんに説得力のある指導はできません。
挫折を防ぐ!科学的な目標設定フレームワーク
多くの人が三日坊主で終わってしまうのは、意志が弱いからではなく**「目標の立て方」**が間違っているからです。
SMARTの法則を活用する
目標を以下の5つの要素に当てはめてブラッシュアップしましょう。
1. Specific(具体的に): 「もっと勉強する」ではなく「腰痛に関する文献を読む」。
2. Measurable(測定可能に): 「週に3本読む」。
3. Achievable(達成可能に): いきなり「毎日5時間」は無理。まずは「1日15分」から。
4. Relevant(価値観に沿った): その目標は、自分の将来の理想像に繋がっているか?
5. Time-bound(期限がある): 「3月末までに」「半年以内に」。
マンダラチャート(大谷翔平選手も活用)
3×3の9マスの中心にメイン目標を置き、周囲にそれを達成するための要素を書き込みます。視覚的に全体像を把握できるため、PTの多面的なスキルアップに最適です。
5. 目標を「習慣」に落とし込む具体的なステップ
目標を立てた直後はモチベーションが高いですが、脳は変化を嫌います。モチベーションに頼らず「仕組み」で解決しましょう。
① 「If-Thenプランニング」
「もし〇〇したら、××する」と決めておく手法です。
• 「朝、コーヒーを淹れたら、参考書を1ページ開く」
• 「電子カルテの入力を終えたら、1つだけ手技の復習をする」
このように、既存の習慣に新しい目標をセットにすると、脳への負担が激減します。
② スモールステップの原則
目標を「これなら失敗しようがない」というレベルまで分解します。
「論文を書く」ではなく「パソコンの電源を入れる」を今日の目標にします。着手さえすれば、作業興奮によって意外と続くものです。
③ 定期的な振り返りの場を作る
月に一度、目標の進捗を確認する「自分会議」をスケジュールに入れましょう。noteやブログで月報を書くのも非常に有効です。
6. 私が2026年に達成したいこと
ここで少し、執筆者である私個人の目標もシェアさせてください。
1. 臨床とテクノロジーの融合: AIを活用した動作分析ツールを臨床現場に導入し、評価の客観性を高める。
2. コミュニティの活性化: 若手PTが悩みを共有し、切磋琢磨できるオンラインサロンを運営・拡大する。
3. ワークライフバランスの追求: 効率化によって捻出した時間で、新しい趣味(ボルダリング)に挑戦し、身体機能の限界を自ら体験する。
皆さんと一緒に、私も一歩ずつ歩んでいきたいと思っています。
7. おわりに:今日から始める一歩
2026年、私たちはこれまで以上に「個」の力が問われる時代を生きています。
しかし、それは同時に**「自分の意志でキャリアを切り拓ける自由」**があるということでもあります。
理学療法士としての技術を磨くこと。
誰かの役に立つ喜びを噛み締めること。
そして、自分自身の人生を豊かにすること。
これらはすべて、今日この瞬間の「決意」から始まります。
この記事を読み終えたら、まずは手近なノートやスマホのメモ帳に、「今年やりたいこと」を3つだけ書き出してみてください。それが、あなたの2026年を輝かせる第一歩になります。
共に最高の1年にしていきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事が皆さんの目標設定のヒントになれば幸いです。
