【PT向け超解説】もう迷わない!2024年度診療報酬改定、理学療法士が押さえるべき3つの重要ポイント

【導入】「改定、複雑すぎ…」と感じている、あなたへ

2024年6月、新しい診療報酬がスタートしましたね。
現場で働く理学療法士(PT)の皆さんの中には、

「分厚い資料は見たけど、結局何が変わったの?」
「日々の臨床に追われて、情報をキャッチアップしきれていない…」
「で、明日から私の仕事はどうすればいいの?」

こんな風に感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、今回の「2024年度診療報酬改定」で、私たち理学療法士が絶対に押さえておくべき最重要ポイントを3つに絞って、現役PTの目線でどこよりも分かりやすく解説します。

この記事を読み終える頃には、頭の中がスッキリ整理され、明日からの臨床で何を意識すべきかが明確になっていることでしょう。

臨床理学Lab|リハの地図~学びnote~
**「臨床理学Lab」**は、理学療法における基本的な知識の向上に加え、評価と臨床推論の強化を目的としたメンバーシップです。「なぜこの評価をするのか?」「その結果から何がわかり、どう治療に活かせるのか?」深く掘り下げ、現場で実践できる力を養...

【本論①】最重要トピック!「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」って結局なに?

今回の改定で最も注目されているのが、この「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」です。名前が長くて難しそうですが、目的はとてもシンプル。

ズバリ、「リハビリの効果を最大化するために、栄養(管理栄養士)と口腔(歯科衛生士やST)の専門家と、もっとガッチリ連携しよう!」ということですね。

Q. PTとして、具体的に何をすればいいの?

この加算を算定するため、私たち理学療法士に求められるアクションは主に3つです。

  1. 積極的な情報共有
    今まで以上に、リハビリ中の気づきを他職種に伝えることが重要になります。
    「最近、この患者さん、運動中に息切れが強いんです…(→栄養状態は?)」
    「食事中にむせることが増えたみたいで…(→口腔機能は?)」
    こうした情報をカンファレンスや日々の会話で、管理栄養士や歯科衛生士、言語聴覚士(ST)に積極的に共有しましょう。
  2. 計画書の「共同作成」
    これからは、リハビリテーション実施計画書を私たちだけで完結させるのではなく、「共同で作成する」という視点が不可欠です。例えば、「栄養状態が改善したら、歩行訓練の距離を〇mまで伸ばす」「嚥下機能が安定したら、座位保持訓練の時間を増やす」といった、連携を前提とした計画が求められます。
  3. 評価の共有と活用
    私たちが行うADL評価(FIMなど)は、リハビリの効果を示すだけでなく、栄養指導や口腔ケア介入による効果指標にもなります。「食事が摂れるようになった結果、FIMのセルフケア項目が改善した」というように、私たちの評価がチーム全体の成果を示すデータになるのです。

【現場目線のコツ】まずは担当患者さんのカルテで、血液データのアルブミン値(ALB)や体重の変化をチェックするクセをつけてみましょう。栄養状態を意識するだけで、リハビリの視点がグッと広がりますよ。

【本論②】急性期PTは必見!「急性期リハビリテーション加算」で求められること

次に、特に急性期病院で働くPTにとって重要な変更点です。この加算のメッセージも明確。

それは、「入院直後から超積極的にリハビリをして、早期離床・早期回復を実現しよう!」ということです。

具体的には、入院後早期(3日以内など)に一定量以上のリハビリ(4単位以上/日など)を実施することが、より高く評価されるようになりました。

PTに求められる“スピード感”と“連携力”

この流れの中で、私たち急性期PTに求められるのは以下の3つです。

  • 指示待ちからの脱却: 医師からのリハビリ指示を待つだけでなく、「この患者さんは明日から介入可能ですか?」と、主治医や病棟に積極的に働きかける主体性がカギになります。
  • 密な情報収集: 入院直後の不安定な状態を把握するため、バイタルサインやドレーンの状態など、看護師との情報連携がこれまで以上に重要です。
  • 攻めと守りのリスク管理: 早期から積極的に介入する「攻め」のリハビリと、安全を確保する「守り」のリスク管理。この両立が腕の見せ所です。

【現場目線のコツ】朝の病棟ミーティングは情報収集の宝庫です。新入院患者の情報をいち早くキャッチし、その場で「リハビリ、いつから開始できそうか」を主治医やリーダー看護師と相談する習慣をつけるのがおすすめです。

【本論③】すべてのPTに関わる!「アウトカム評価」重視の流れ

最後のポイントは、急性期・回復期・生活期を問わず、すべての理学療法士に関わる大きな流れです。

国が私たちに何を求めているかというと、それは「あなたのリハビリで、患者さんがどれだけ良くなったのかを“数値”(アウトカム)でしっかり示してください」ということです。

“なんとなく”のリハビリから、“根拠ある”リハビリへ

この「アウトカム評価」重視の流れを受けて、私たちが意識すべきことは以下の通りです。

  1. FIM等の評価を「ゴール設定」に活かす
    FIMを入院時と退院時に測定して終わり、ではもったいない。「この患者さんのFIMの更衣(上)を3点から5点に上げる」という目標を立て、そのために「どんな肩関節の可動域訓練や座位バランス練習が必要か」を逆算してプログラムを立案する思考が大切です。
  2. リハビリテーション実施計画書の質を高める
    計画書は単なる書類ではありません。「なぜこの訓練を行うのか」「この介入で本当に目標が達成できるのか」という科学的根拠を明確に示す、私たちの思考プロセスそのものです。質の高い計画書こそが、質の高いリハビリの証明になります。
  3. 「FIM利得」を意識する
    「FIM利得(退院時FIM点数-入院時FIM点数)」という言葉を聞いたことがありますか?自分の関わった患者さんがどれだけ改善したかをデータで意識するだけでも、臨床の質は変わってきます。

【現場目線のコツ】リハビリテーション実施計画書を作成するとき、「もしこの計画書を、全く知らない他のPTが見ても、同じように質の高いリハビリができるだろうか?」と自問自答してみてください。誰が見ても納得できる、客観的で具体的な記述を心がけることが、アウトカムを出すための第一歩です。

【まとめ】変化はチャンス!明日からの臨床で私たちができること

今回の「2024年度診療報酬改定」、ポイントをまとめると以下の3つです。

  • 多職種連携の強化: 栄養士や歯科衛生士と積極的にコミュニケーションを取ろう。
  • 早期介入の徹底: 特に急性期では、スピード感を持った介入を意識しよう。
  • 成果の可視化: アウトカム(FIMなど)を意識した計画と実践で、リハビリの質を示そう。

一見、複雑で「また仕事が増える…」と感じるかもしれません。しかし、これらの変化は、私たち理学療法士の専門性をさらに発揮し、チーム医療の中でより替えの効かない重要な存在になるための大きなチャンスです。

変化を前向きに捉え、患者さんのより良い未来のため、そして自分自身の成長のために、明日からの臨床に活かしていきましょう!


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