「座らせた瞬間に血圧がストン…」あの恐怖、どう防ぐ?
病棟でのリハビリ中、こんな経験はありませんか?
長期臥床の患者さんを「そろそろ離床しましょう」と端座位にした瞬間。 患者さんの顔がサーッと青ざめ、返事が遅くなる。
慌てて血圧を測ると、収縮期血圧が80mmHg台まで急降下…。
「先生、ちょっと気持ち悪い…」
理学療法士なら誰しも一度は経験する、「起立性低血圧(Orthostatic Hypotension:OH)」の冷や汗が出る瞬間です。
特に脳卒中急性期や、廃用が進んだ高齢者の離床では、常にこのリスクと隣り合わせですよね。 そんな時、リスク管理として私たちがよく行うのが「ギャッジアップ(長座位)」です。
「いきなり端座位は怖いから、まずはベッドアップから始めよう」
「とりあえず60度くらいで様子を見よう」
臨床では当たり前に行われているこの手順。
ですが、ここで一つ、専門職として考えてみたいことがあります。
「なぜ、ギャッジアップなら安全だと言い切れるのでしょうか?」
「なんとなく安全そうだから」ではなく、その生理学的なメカニズムや、具体的な実施基準を後輩や他職種に説明できますか?
今回は、離床の第一歩である「ギャッジアップ長座位」の本当の効果と、明日から使える科学的なリスク管理のヒントをお伝えします。
「とりあえずギャッジアップ」は気休めなのか?
結論から言うと、ギャッジアップは単なる「気休め」や「楽な姿勢」ではありません。
世界中の研究論文において、循環動態を整えるための「立派なトレーニング」であることが示唆されています。 しかし、そのメカニズムを正しく理解していないと、効果は半減してしまいます。
例えば… 端座位とギャッジアップ、心臓への負担はどう違うのか?
角度は「30度」から刻むべきか、「60度」へ行くべきか?何分経てば「循環が安定した」と判断できるのか?
これらを知らずに「なんとなく」ベッドを起こしているだけでは、いつかまた患者さんを危険な状態(失神や転倒)に合わせてしまうかもしれません。
逆に言えば、この根拠さえ押さえておけば、ギャッジアップは「最強のリスク管理ツール」に変わります。
「Sit-up Test」という考え方
実は海外の研究では、「Sit-up Test」として、ベッド上での座位変換を使った循環評価が注目されています。 端座位(足を下ろす座位)は、重力により血液が一気に下肢へ移動するため、循環系に大きな負荷がかかります。
一方で、ギャッジアップ長座位(足を下ろさない座位)は、「ある特殊な循環反応」を利用して、血圧を維持しやすくしているのです。 この「差」を理解し、使い分けることが、安全な離床への鍵となります。
離床を「賭け」にしないために
「今日の患者さん、起こしても大丈夫かな…」
そんな不安を抱えたまま介入するのは、セラピストにとっても患者さんにとっても不幸なことです。
そこで、今回メンバーシップ限定記事として公開したのが、『ギャッジアップ長座位は起立性低血圧に効果があるのか? ― 理学療法士が押さえておきたい“段階的体位調整”の科学』です。
この記事では、複数の論文レビューをもとに、「臨床直結の離床戦略」を体系化しました。
【メンバーシップ記事で得られる知識とツール】
✅ 科学的根拠の解剖 : なぜギャッジアップは「血圧を保ちやすい」のか?生理学的メカニズムを解説します。
✅エビデンスの紹介 : 若年者と高齢者、長期臥床者では反応がどう違うのか?論文データをもとに解説。
✅ 明日使える「実践チェックリスト」: 開始基準・中止基準・次のステップへの移行判断をフローチャート化。「何度で何分キープすべきか?」の具体的なプロトコルも掲載しています。
✅ ケーススタディで現場を想定した勉強 : 端座位で血圧が急低下した症例に対し、どうギャッジアップを活用して離床を成功させたか、実際の臨床推論を公開。
明日の臨床から「根拠のある離床」を始めよう
離床は、患者さんの生活を取り戻すための第一歩。 だからこそ、その一歩を「運任せ」にしてはいけません。
この記事を読めば、あなたの行うベッド操作の一つひとつに明確な意図が生まれ、「血圧低下が怖い」という不安が「これなら管理できる」という自信に変わるはずです。
新人指導に悩む中堅・ベテランの方や、リスク管理に自信を持ちたいPTの方は、ぜひ本編をご覧ください。
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