理学療法士のあなたへ。SNSを開くたび、疲れていませんか?
- 「この手技も知らないの?」
- 「そんな介入根拠がない」
- 「その解釈はエビデンスが古い」
- 「自意識過剰な自己満PTだね」
X(旧Twitter)を開くと、タイムラインに流れてくる理学療法士同士のマウント合戦。キラキラした学会発表や勉強会の報告を見ては、「自分はまだまだだな…」と落ち込んでしまう。
SNSでの過剰な発信に触れるたび、「自分も何か発信しなきゃ」と焦りを感じる一方で、正直「もう見たくない…」と思ってしまう。
この記事は、そんな「理学療法士のSNS疲れ」を感じているあなたのために書きました。
なぜSNSではマウントが起きてしまうのか、その心理的な原因を分析し、あなたの心を軽くするための具体的な5つの対処法をご紹介します。
なぜ理学療法士のSNSはマウント合戦になりやすいのか?3つの原因
そもそも、なぜ知識や技術を共有するはずの場で、お互いを攻撃するようなマウントが生まれてしまうのでしょうか。そこには、専門職ならではの心理とSNSの特性が関係しているのではないかと考えます。
原因1:過剰な承認欲求と自己顕示欲
理学療法士は、専門的な知識や技術が自身の価値に直結しやすい職業です。「デキる療法士だと思われたい」「自分の臨床は正しいと認められたい」という承認欲求が、SNS上での過剰なアピールや他者への批判的な発信につながることがあります。
原因2:専門職ゆえの「正しさ」のぶつかり合い
私たちは日々、患者さんのために最善を尽くそうと学び続けています。だからこそ、自分の臨床理論や手技に自信とプライドを持っています。その強い思いが、自分と異なる意見を「間違い」と断定してしまい、SNS上で「正しさのぶつかり合い」という名のマウントを引き起こすのではないでしょうか。
原因3:「いいね」がもたらす競争意識
SNSでは、あなたの発信への評価が「いいね」やフォロワー数として可視化されます。この数字が他者との比較を生み、「もっと評価されたい」という競争意識を刺激します。結果として、より過激で注目を集めるような発信が増えてしまうのです。
SNSでのマウントは「自分の不安」の裏返しと知る
他人のマウント的な投稿に心がザワつくのは、あなたの心の中にある「自分はまだ足りていないんじゃないか」という不安を刺激されるからです。
- 「情報発信しないと、勉強してないと思われるかも…」
- 「同期は活躍しているのに、自分は成長できていない…」
実は、声高に何かを主張している人ほど、同じように強い不安を抱えているケースは少なくありません。発信という行為で自分を武装し、「自分はすごいんだ」と確認することで、内なる不安から心を守っているのです。
マウントしてくる相手も、あなたと同じように悩める一人の理学療法士なのかもしれません。
もう疲れない!理学療法士のためのSNSとの上手な距離のとり方【5つの対処法】
では、どうすればSNSのマウント合戦に心をすり減らさず、上手に付き合っていけるのでしょうか。今日から実践できる5つの対処法をご紹介します。
SNSを開く「目的」を明確にする
「なんとなく」でタイムラインを眺めるのはやめましょう。「勉強会の情報を探す」「〇〇先生の投稿だけチェックする」など、アプリを開く目的を具体的に決めるのです。目的を達成したらすぐに閉じる習慣をつけるだけで、不要な情報に心を乱される時間が劇的に減ります。
「比較」ではなく「発見」のツールとして使う
すごい発信を見ても、「自分はダメだ…」と比較する必要はありません。「なるほど、こんな視点もあるのか」「この論文は面白そうだな」と、自分の知識を広げるための「発見」として受け止めましょう。SNSは、あなたを苦しめる評価ツールではなく、臨床のヒント集なのです。
心がザワつくアカウントは迷わず「ミュート」する
マウント的な投稿が多い人、批判的なコメントばかりする人。見ていて不快に感じるアカウントは、罪悪感なくミュート機能やブロック機能を使いましょう。あなたのタイムラインは、あなた自身が心地よく過ごすための空間です。人間関係のストレスと同じように、SNSでも心の平穏を最優先して問題ありません。
発信は「自分のため」のアウトプットと割り切る
もしあなたが何か発信するなら、他人の評価のためではなく「自分の学びを整理するための記録」と割り切りましょう。学んだことを言語化するアウトプットは、知識の定着に非常に効果的です。「いいね」の数を気にせず、未来の自分が見返すための臨床ノートとしてSNSを活用すれば、気持ちがずっと楽になります。
物理的に距離を置く(デジタルデトックス)
最もシンプルで効果的なのが、物理的にSNSから離れる時間を作ることです。
- 仕事が終わったら通知をオフにする
- 寝る前の1時間はスマホを見ない
- 休日はアプリを開かないと決める
情報過多な現代だからこそ、意識的にデジタルデトックスを行い、頭と心を休ませてあげることが重要です。
まとめ:SNSは「戦う場」ではない。あなたの臨床を豊かにする「つながる場」へ
理学療法士がSNSでマウントを取り合ってしまう背景には、承認欲求や専門職としてのプライド、そして常に誰かと比べられてしまう文化があります。
しかし、SNSでの評価があなたの価値を決めるわけではありません。あなたの本当の価値は、日々向き合っている患者さんとの関係の中にあります。
SNSは、誰かと戦うためのリングではなく、知識を共有し、仲間とつながり、励まし合うための広場です。マウントに疲れたら、一度アプリを閉じてみましょう。そして、目の前の患者さんの笑顔を思い出してください。
あなたの価値は、フォロワーの数ではなく、その笑顔の数で決まるのですから。
