【理学療法士の転職を考えるあなたへ】6年目PTが語る急性期からのキャリアの選び方

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**「臨床理学Lab」**は、理学療法における基本的な知識の向上に加え、評価と臨床推論の強化を目的としたメンバーシップです。 「なぜこの評価をするのか?」 「その結果から何がわかり、どう治療に活かせるのか?」 深く掘り下げ、現場で実践できる力を養います。 単に評価の方法を学ぶだけでなく、**「考える力」**を鍛えるこ...

✅この記事でわかること

  • 理学療法士が転職を考えるタイミングと背景
  • 急性期で働くやりがいや限界についてのリアルな体験談
  • キャリアの方向性に迷った6年目PTの実際の転職プロセスと気づき
  • 「転職して良かったこと/後悔したこと」から学ぶ、後悔しない転職の考え方

はじめに:理学療法士として働きながら、ふと思うこと

理学療法士として6年目。周囲からは「そろそろ中堅」と見られることも増え、後輩育成や業務の中核も担うようになってきました。

日々の臨床にやりがいを感じる一方で、こんな疑問が心に浮かぶことがありました。

「このまま、急性期で働き続けていいのだろうか?」

「理学療法士として、10年後の自分はどうなっているんだろう?」

僕はこれまでに急性期病院を2施設経験してきました。1施設目では新卒から2年間勤め、学びと成長に集中する毎日。そして転職し、2施設目の急性期病院で現在も勤務しています。

この記事では、そんな僕が転職を考えているのか、感じた葛藤と気づき、転職後のリアルな変化についてお伝えします。今まさにキャリアに迷っている理学療法士の方へ、少しでも参考になる情報を届けられたら嬉しいです。

理学療法士の転職理由で多い4つのパターン

1. 成長の限界を感じる

入職して1〜3年目までは、右も左もわからない状態から必死で学び、毎日が発見とチャレンジの連続でした。臨床推論、病態理解、介入の引き出し、指導…とにかく吸収することに夢中でした。

でも4年目、5年目を過ぎたころ、「このままここにいて、自分はどこまで成長できるのだろうか?」と疑問を持つように。経験が積み重なると、似たような症例が続いたり、上司の圧に負けて業務もルーチン化していきます。

自分の知識や技術が「伸びていない」と感じた時、そのまま現場に居続けるのが怖くなる時もあります。

2. 職場の人間関係や価値観の違い

「リハビリはこうあるべき」と思っていても、職場全体の方針や文化が合わなければ、それを実現するのは難しくなります。

僕が現在以前勤めている職場では、完全実績主義の文化が強い状態です。若手の意見が反映される場がほとんどありません。カンファレンスでは形だけ意見を聞かれても、結局は上層部が決定。どこか冷めた空気があり、「もっと患者さんの背景に寄り添いたい」と思っても、現実は違いました。

やりたいことができないもどかしさ、理想と現実のギャップに苦しむ日々が続いています。

3. ワークライフバランスの崩れ

急性期はスピードと変化が激しい領域です。日々の業務はタスク量が多く、ICや緊急入院対応、記録・カンファレンスに加えて委員会活動など、「時間が足りない」と感じることがよくありました。

毎日遅くまで残業して、帰って寝るだけ。そうと思えば、上司からは「残業が多いから減らしていこう。カルテを書きすぎている。」等々。求められることが増える一方で、残業が増えると注意されることも多い。

「残業せず早く帰れよ。」と言わんばかりのプレッシャーを感じることも少なくありませんでした。休日も疲労回復で終わってしまう。そんな生活が続くと、心も体も徐々に消耗していきます。

「患者さんのために働きたい」という気持ちはあるものの、自分の生活とのバランスを考えると、この働き方を一生続けるのは難しいかもしれない──そう思うようになったのです。

4. 給与・待遇面への不満

転職理由として意外と多いのが、「収入が思ったより上がらない」という悩みです。

僕も6年目になって、段階的に昇給はあったものの、**年収はまだ500万円前後。労働時間や責任の重さに見合っていないのでは?**と疑問を感じることもあまります。

リハビリ職は、医療現場では不可欠な存在であるにも関わらず、制度的に収益が上がりづらい仕組みの中で働いています。ボーナスや手当も施設ごとに差が大きく、将来を見据えた時に「このままでいいのか」という不安が生まれました。

給与面をしっかり比較したり、将来設計の一部として捉えることは、転職を考えるうえで大切な視点のひとつだと思います。

転職してわかった「急性期病院ごとの違い」

「急性期」と名のつく病院はたくさんありますが、その中身は本当にバラバラと感じています。

僕が経験した2施設でも、患者層・リハビリ体制・他職種連携のスタイル・教育文化…あらゆる面で違いがありました。

1施設目は症例数は今の施設よりも少ないものの、教育体制も整っており、「育てる風土」がありました。若手でも相談しやすく、安心して臨床に取り組める雰囲気でした。

若手
若手

あの患者さんで今悩んでて…

可能な範囲で結構ですので、一緒にリハビリに付き添って頂けませんか?

先輩
先輩

もちろんいいよ!

いこうか!

ちなみにどんな患者さんかな?

一方で2施設目は、いわゆる「実績重視」。症例数は非常に多く、色んな症例、リハビリを経験できるためスキルアップにはもってこいです。ただし、単位数のノルマは厳格に管理されており、診療報酬にのっとって、点数が高い順にリハビリの優先度を決めることが多いです。そのため、1日のスケジュールは役職者から指示されることがほとんどであるため、その分負担は少なくなります。

しかしながら、自分がしてあげたい患者さんに必要なリハビリを実施できないことも少なくありません。

一般
一般

あの患者さん、少しずつ動けるようになってきてこれからがリハビリ頑張りどきだと思うんです。

なので2単位でスケジュール予定組んでます!

役職
役職

もう入院してきて3週間?

加算がきれてるから優先度は低くなるよ。他の人に2単位増やしたいから1単位でスケジュール組んで!

また、組織全体で研鑽し合うよりは個人の裁量が大きく、人によっては「放任」と感じるかもしれません。

どちらが良い悪いではなく、「自分の成長に合った環境かどうか」が一番大切なのだと痛感しました。

転職して良かったこと/後悔したこと

◉ 良かったこと

一番の変化は「視野が広がった」ことです。転職を通じて別の職場文化や考え方に触れることで、「理学療法の可能性はもっと広い」と実感できました。

また、自己分析を徹底的に行ったことで、「自分は何を大切にして働きたいのか」「何を避けたいのか」といった軸をはっきりさせることができました。これは今後のキャリア選択にも大きく役立つ財産です。

さらに、副業やフリーランスといった働き方に関心を持ち、理学療法士としての“外の世界”にも目を向けるようになったのも転職がきっかけでした。

◉ 後悔したこと

転職して「すべてが理想通りになる」と思っていたのは、少し楽観的だったかもしれません。

たとえば、僕が大切にしている「自分がやりたいリハビリ」ができないこと。個人的には点数が高いから優先度が高い、点数が低ければADLの自立度は関係なく優先度が低い。

僕はこんな考えは嫌いです。

新しい職場での人間関係や業務のルールになじむまでには、それなりにエネルギーが必要です。

転職は「すべてを変えてくれる魔法」ではありません。けれど、「自分を変えるきっかけ」にはなり得ると感じています。

キャリアの“軸”を定めるということ

転職を考えるうえで一番大事なのは、自分なりの「軸」を明確にすることです。

  • とにかく収入を増やしたい
  • 臨床力を伸ばしたい
  • ワークライフバランスを重視したい
  • 在宅や地域など別のフィールドに挑戦したい

このように、何を優先するかによって「合う職場」はまったく変わってきます。

僕の場合は、「急性期でスキルを伸ばしたい」という気持ちは強く残りつつも、「自分の時間も大切にしたい」「自分のやりたいリハビリを大切にしたい」という想いも出てきました。そこから副業や情報発信にも関心を持ち、徐々にキャリアの選択肢が広がってきています。

まとめ:急性期理学療法士としてのキャリアに悩むあなたへ

「今のままでいいのだろうか」「もっと自分に合った働き方があるのでは?」

そんなふうに思い始めたら、それはあなた自身が成長しようとしているサインです。

転職は勇気のいる決断です。

でも、その決断があなたの人生を大きく変えるきっかけになる可能性もあるのです。

今の働き方に違和感があるなら、一度立ち止まって、自分の「軸」を見つめ直してみてください。そして、必要であれば一歩踏み出してみてください。

この記事が、あなたのキャリアを考えるヒントになれば嬉しいです。

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