はじめに:臨床に出てすぐぶつかる“見えない壁”
新人理学療法士として、いざ臨床現場に立ってみると、学生時代には想像もつかなかった“モヤモヤ”に包まれる瞬間が訪れます。
- 先輩に「考えて」と言われるけど、何を考えればいいか分からない
- 「この患者さんには何が必要なの?」と毎日悩む
- 教科書は読んでいるのに、実践にどう活かすのか分からない
そして、最も厄介なのがこの状態──
「そもそも、自分は何がわかっていないのかがわからない」
これは、新人・若手PTの“あるある”かつ、成長を阻む最初のハードルです。
この記事では、この悩みの「正体」を明らかにしながら、具体的な抜け出し方や、学び方のポイント、そして臨床で成長するための“環境づくり”まで網羅的にお伝えします。

なぜ「何がわからないのか分からない」状態になるのか?
❶ 頭の中が“断片的な知識”でいっぱいになっている
新人PTは、学校で多くの知識を学んできたはずです。関節可動域、筋力評価、動作観察、脳画像の読み方…。しかし臨床では、それらが「断片的」に浮かぶばかりで、“統合して判断する”という力がまだ育っていない状態です。
知識はあるけど、どう使えばいいのかわからない。
患者を前にすると、学んだことが全部飛んでしまう。このギャップこそが、「わからなさ」の正体のひとつです。
❷ 教科書と実際の患者の“差”が大きすぎる
実際の臨床では、教科書のように「○○麻痺=△△の治療」という単純な構造はほとんどありません。
- 複数の疾患を併せ持つ高齢患者
- 認知機能の影響で評価が難しいケース
- そもそも何が一番の課題なのか分からない状態の患者
つまり、「理論を現場にどう落とし込むか」が新人にとって最大の課題であり、最も混乱するポイントなのです。
❸ “自分で考える”という経験が足りない
実習では「指導者に言われた通りにやる」ことが多かった方も少なくないはず。臨床に出ると急に「考えて」と言われ、自分で評価して判断しなければならない環境に置かれます。
判断の“軸”が自分の中にないまま、考えることを求められている。
このギャップが、「考え方がわからない」「何を見ればいいか分からない」という混乱につながっています。
その悩み、あなただけじゃない ― 臨床1~3年目の“あるある”悩みベスト10
- 何から評価すればいいか分からない
- プログラムの立て方がわからない
- そもそも問題点がよく分からない
- 治療の引き出しが少なすぎて焦る
- 先輩に相談しても“考えて”しか返ってこない
- 自分の考えに自信が持てない
- 情報収集に時間がかかりすぎて疲弊
- 「その治療、何のため?」と聞かれて言葉に詰まる
- 失敗を恐れて積極的に行動できない
- SNSや周囲の同僚と比較して落ち込む
「迷い」を整理する3ステップ:ここから抜け出そう
STEP1:「どこで詰まっているか」を具体的に書き出す
まずは自分の頭の中を“見える化”することから始めましょう。
例:
- 評価したけど、何のためか分かっていない
- 情報は集めたけど、どう判断していいか分からない
- 治療の根拠を説明できない
頭の中の混乱は、書き出して整理するだけでもかなりスッキリします。
STEP2:「行動の目的」を考えるクセをつける
- なぜこの評価を選んだのか?
- この治療で何を変えたいのか?
- それは患者さんの何に繋がるのか?
評価も治療も、すべては「ゴール」に向けたプロセス。そこに“目的意識”が加わると、行動が整理され、自信にも繋がります。
STEP3:「正解を探す」のをやめて、「自分の仮説」を立ててみる
- この人はこういう姿勢だから、バランスに影響してるのかも?
- ADLのどの場面が最も支障になっている?
- この動きはどの筋や関節の問題だろう?
正解かどうかは二の次。「まず仮説を立ててみる → 検証する →修正する」
このサイクルを繰り返すことで、思考の筋トレになります。
成長には“環境”が必要。仲間と一緒に悩もう。
1人で悩むことに限界を感じている方へ。
あなたが「なんとなく不安」「何が正しいか分からない」と感じているのは、環境のせいかもしれません。
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まとめ:迷うあなたは、すでに前に進んでいる
「わからない」という気持ちは、成長の“芽”です。
自分の中で言葉にできないことが多くても、それを整理しようとするだけで、確実にあなたは前に進んでいます。
迷って、悩んで、それでも一歩ずつ考え続けることでしか、本物の臨床力は育ちません。
一人で抱え込まず、ぜひ仲間と一緒にこの道を歩いていきましょう。
最後に:あなたの悩みを聞かせてください
この記事を読んで、共感したこと、気づきがあったこと、
「自分もこんなことで悩んでいる」という声があれば、ぜひコメントやSNSで教えてください。
あなたの声が、同じように悩んでいる誰かの支えになるかもしれません。
そして、この記事がその第一歩になれたなら、心から嬉しく思います。