はじめに
今年も残すところあとわずかとなりました。 理学療法士の皆さま、1年間本当にお疲れ様でした。 日々の臨床、終わらないカルテ記載、後輩指導、委員会活動、そして日々の勉強会…。
気がつけば「あれ、今年の初めに立てた目標、何ひとつ達成できていないかも?」と焦りを感じている方も多いのではないでしょうか。 「忙しいから仕方ない」で終わらせてしまうと、来年もまた同じ悩みを抱えることになります。
今回は、忙しくされてる理学療法士が年末にやるべき「7つの準備」について考え、解説します。 これは単なる大掃除の話ではありません。
来年こそ臨床家としてレベルアップし、プライベートも充実させるための**戦略的な年末の過ごし方**です。 ぜひ、白衣(ケーシー)を脱いでリラックスしながら読んでみてください。
まずは「余白」を作る:臨床脳をリセットする断捨離
新しい知識や技術を入れるためには、まずスペース(余白)を空ける必要があります。物理的にも精神的にも、不要なものを手放すことから始めましょう。
「いつか読む」文献と資料の断捨離
勉強熱心なPTほど、机の上やPCの中が資料で溢れかえっていませんか?
- 数年前の勉強会のレジュメ(資料)
- 「あとで読む」と思って印刷したままの論文
- ヨレヨレになったスクラブや履き潰したシューズ
勿体無いを捨てましょう!
医療情報は常にアップデートされています。数年前の資料にしがみつくより、スペースを空けて新しいエビデンスが入る余地を作ることが大切です。思い切って処分することで、思考もクリアになります。
成長を阻む人間関係の整理
職場や業界内の人間関係も見直しの対象です。
- 愚痴大会にしかならない同期との飲み会
- 気を遣うだけで学びのない集まり
これらは「時間」という最も貴重なリソースを奪います。 来年は、「自分にとって本当に大切な人」「刺激を与え合える同僚やメンター」との時間を最優先にしましょう。
不要な予定を断る勇気を持つことが、自己研鑽の時間を生み出します。
脳を休める「ホワイトタイム」を作る
私たちは常に「患者さんの動作分析」や「治療プログラム」で脳をフル回転させています。 年末の数日間だけでも、テレビもスマホも見ない「ホワイトタイム(空白の時間)」を意図的に作りましょう。
- リラックスできるカフェでぼーっとする
- デジタルデトックスをして瞑想する
- 自然に触れながら散歩する
脳の疲労が取れると、ふとした瞬間に臨床のアイデアが降りてきたり、本当にやりたいことが見えてきたりするものです。
今年の「やり残し」を「来年のミッション」へ昇華する 余白ができたら、そこに何を詰め込むかを考えます。
挫折は「再挑戦」のチャンスと捉える
「今年は英語論文を読みたかったけど無理だった」「認定理学療法士の申請に間に合わなかった」
など、やり残したことはありませんか?
それを「失敗」と捉えず、「再挑戦の機会」としてリストアップしましょう。
ポイントは、なぜできなかったのか?(時間がなかった?方法がわからなかった?) 誰かにサポートを頼めるか?(得意な同僚に聞く、有料セミナーを活用する) 改善策を見つけることで、来年こそは達成できるプランに変わります。
来年の目標は「3つの柱」で具体的に
ここでは「最低1つ、できれば3つのミッション」が推奨します。PTにおすすめなのは以下の3つの柱で目標を立てることです。
- スキルの目標
- 腰痛に対する徒手療法コースを修了する
- 心臓リハビリテーション指導士を取得する
- 急性期(緩和)ケア専門士などの専門資格を取得する
- 認定・専門理学療法士を取得する
- キャリア・資産の目標
- 学会発表を1回行う
- 副業を始める(月3万円稼ぐ)
- 資産運用を始める
- プライベート・健康の目標
- 週2回ジムに通って腰痛予防をする
- 長期休暇で海外旅行へ行き異文化に触れる
- 大切な人と過ごす時間を増やす
ポイントは「認定理学療法士になるために月に1回症例検討会に参加する」のように、行動レベルまで具体化することです。
激務なPTでも達成できる「計画」と「投資」 目標が決まったら、それを絵に描いた餅にしないための実行フェーズです。
将来の自分への投資を惜しまない
給与が上がりにくいと言われる理学療法業界。だからこそ、年末は「自分という資産」への投資を真剣に考えましょう。
- スキルへの投資 : 高額な講習会費も、臨床能力が上がり信頼されるセラピストになれば回収できます。
- 健康への投資 : 私たちの体は資本です。自分が腰痛で動けなくなれば終わりです。メンテナンス費用はケチってはいけません。
- 金融への投資 : 将来の不安を減らすために、NISAやiDeCoなどの資産運用について学ぶことも、立派なPTの生存戦略です。
臨床と並走できる「スモールステップ」計画
1日18単位〜20単位をこなしながら目標を達成するには、計画を細分化するしかありません。
- 「毎日論文を1本読む」は挫折のもと。
- →「毎日アブストラクトだけ読む」
- 「毎日1時間運動する」は無理。
- →「仕事が終わってからスクワットを5回行う」
目標を「疲れて帰ってきた夜でもできるレベル」まで小さく分解し、スケジュールに落とし込みましょう。
そして、定期的に進捗を確認する日を手帳に書き込んでください。
まとめ:来年の自分が笑っているために
理学療法士の仕事は、他者の人生を支える素晴らしい仕事です。 しかし、まずはあなた自身の人生とキャリアを大切にメンテナンスする必要があります。 今回ご紹介した内容は、年末という節目だからこそ取り組める内容です。
- 1. 目標設定
- 2. 断捨離
- 3. 再チャレンジ
- 4. 計画実行
- 5. 人間関係の整理
- 6. ホワイトタイム
- 7. 将来への投資
まずは、机の上の不要な書類を一枚捨てるところから始めてみませんか? この年末のアクションが、来年のあなたの臨床を変え、患者さんの笑顔を増やし、そして何より「目標を達成した自信に満ちたあなた」を作ります。 来年こそ、飛躍の年にしましょう!

