やりたいことを見つけるのに悩んでいませんか?
「日々の臨床や書類業務に追われ、あっという間に1日が終わる…」
「同期は専門分野を見つけて輝いているのに、自分は一体何がしたいんだろう…」
理学療法士として数年が経ち、ふと立ち止まった時に、こんな漠然とした不安を感じていませんか?
学生時代に描いていた理想と、目の前の現実とのギャップに悩み、「私の本当にやりたいことって何だろう?」という問いが頭をよぎるのは、あなただけではありません。多くの理学療法士が通る道です。
この記事では、そんなキャリアの岐路に立つあなたのために、「やりたいこと」が見つからない原因をについて考え、あなただけのキャリアを見つけるための具体的な5つのステップを、現役理学療法士の視点から徹底解説します。
この記事がモヤモヤした気持ちが晴れ、明日からの臨床が少し楽しみになるヒントが見つかる助けとなれば幸いです。
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なぜ理学療法士は「やりたいこと」を見失いがちなのか?
まず、なぜ私たちはキャリアに悩んでしまうのでしょうか。その原因を知ることで、解決への第一歩が見えてきます。
日々の業務に追われ、自分と向き合う時間がない
目の前の患者さんへの責任感、膨大なカルテや書類作成、多職種との連携…。
理学療法士の仕事は多忙となることも多く日々の業務をこなすだけで精一杯で、自分のキャリアについてじっくり考える時間と心の余裕が持てないのが現実です。
キャリアの選択肢が多すぎる
整形外科、脳血管疾患、スポーツ、小児、地域リハ、訪問、介護予防、教育、研究、そして起業…。理学療法士の活躍の場は驚くほど多様です。しかし、選択肢が多すぎるが故に、「どれを選べば正解なのか分からない」と、かえって一歩を踏み出せなくなってしまうこともあります。
「すごい理学療法士」にならなければというプレッシャー
学会で発表する先輩、認定資格を次々と取得する同僚。周りの活躍を目にすると、「自分も何か特別な専門性を持たなければ」と焦りを感じてしまうことがあります。このプレッシャーが、「本当に好きなこと」よりも「評価されそうなこと」を選ぼうとさせてしまう原因にもなります。
【5ステップで実践】理学療法士が「やりたいこと」を見つける自己分析術
では、具体的にどうすれば「やりたいこと」を見つけられるのでしょうか。難しく考える必要はありません。以下の5つのステップを、ゲーム感覚で試してみてください。
ステップ1:徹底的に自分を掘り下げる(自己分析)
まずは、あなたの「原点」を探る作業から始めましょう。紙とペンを用意して、以下の質問に正直に答えてみてください。
- 過去の臨床経験の棚卸し
- 今までで一番「よっしゃ!」と心の中でガッツポーズをした症例は? それはなぜ?
- 時間を忘れて没頭できた手技やアプローチはありますか?
- どんな患者さんとの会話が一番楽しかったですか?
- 逆につらかった、苦手だと感じた臨床場面はどんな時でしたか?
- 「好き・得意・大事」の3つの円で考える
あなたの「やりたいこと」は、この3つの円が重なる部分に隠されています。- 好き(興味): 給料が出なくても学びたい、つい調べてしまう分野は?(例:スポーツ選手のコンディショニング、認知症ケア、痛みのメカニズム)
- 得意(強み): 周りから「〇〇さん、これ上手だよね」と言われることは?(例:患者さんとすぐ打ち解ける、動作分析が鋭い、資料作りが丁寧)
- 大事(価値観): 仕事をする上で絶対に譲れないことは?(例:深く感謝される、専門性を追求できる、ワークライフバランス)
この3つが重なる領域こそ、あなたが心から情熱を注げる「やりたいこと」の有力候補です。
ステップ2:小さな「やってみたい」を試してみる
自己分析で興味の方向性が見えたら、いきなり大きな目標を立てる必要はありません。「ちょっと気になる」を試してみるのが重要です。
- 興味のある分野のオンラインセミナーに1つだけ参加してみる
- 気になったテーマの本を1冊読んでみる
- 職場の先輩に頼んで、違う分野の患者さんを1ヶ月だけ担当させてもらう
この「お試し期間」で、本当にワクワクするのか、自分の肌感覚を確かめてみましょう。
ステップ3:外の世界にアンテナを張る(情報収集)
今の職場の中だけで考えていると、視野が狭くなってしまいます。積極的に外の世界に目を向けましょう。
- 学会や研修会に参加する: 最新の知見だけでなく、熱意ある他のセラピストとの出会いが刺激になります。
- SNSを活用する: Twitterなどで活躍している理学療法士をフォローすると、病院勤務以外の多様な働き方を知ることができます。
- 異分野に触れる: コーチング、マーケティング、プログラミングなど、一見関係ない分野の知識が、新しい視点を与えてくれることもあります。
ステップ4:人に話して思考を整理する
頭の中で考えているだけでは、堂々巡りになりがちです。信頼できる人に話してみることで、思考が驚くほど整理されます。
- 信頼できる先輩や上司に相談する: 客観的なフィードバックや、あなたも気づいていない強みを教えてくれるかもしれません。
- 同期とキャリアについて語り合う: 同じ立場の仲間と話すことで、「悩んでいるのは自分だけじゃない」と安心でき、良い情報交換ができます。
アウトプットすることで、自分の考えが明確になり、次の一歩が見えやすくなります。
ステップ5:「仮決め」で走り出してみる
完璧な「やりたいこと」が見つかるまで待つ必要はありません。
「よし、まずは半年間、スポーツ分野の勉強を重点的にやってみよう」
「来年の認定理学療法士(運動器)の試験を目標にしてみよう」
このように期間や目標を「仮決め」して走り出してみるのです。もしやってみて「何か違うな」と感じたら、また別の道を探せばいいだけ。行動し、検証するサイクルを繰り返す中で、本当に進みたい道が少しずつ明確になっていきます。
視野を広げよう!理学療法士の多様なキャリアパス事例
最後に、あなたの可能性を広げるために、理学療法士の多様なキャリアパスをご紹介します。「こんな道もあるんだ!」と知るだけで、心が少し軽くなるはずです。
- 臨床を極めるスペシャリストの道: 認定/専門理学療法士を取得し、特定の分野でトップランナーを目指す。
- 組織を動かすマネジメントの道: 主任や科長となり、リハビリテーション部門全体の質向上や人材育成に貢献する。
- 未来を育てる教育・研究の道: 養成校の教員や大学院への進学を通して、後進の育成や新たなエビデンスの創出に携わる。
- 新たな価値を創る挑戦の道: 介護予防事業の企画、企業の健康経営サポート、医療機器開発への協力、フリーランスとしての活動、整体院やピラティススタジオの開業など。
あなたの可能性は、病院や施設の中だけにとどまりません。
まとめ:焦らず、あなただけの「やりたいこと」を見つけよう
理学療法士としての「やりたいこと」は、ある日突然空から降ってくるものではありません。
①自分を掘り下げ、②小さく試し、③情報を集め、④人と話し、⑤仮決めで行動する。
このサイクルを繰り返す中で、少しずつ見えてくるものです。
周りと比べる必要は全くありません。あなたのペースで、あなただけの臨床経験を積み重ねてきたからこそ見つかる「やりがい」が必ずあります。
まずはこの記事を参考に、あなたが一番ワクワクした臨床場面を一つ、紙に書き出してみませんか?
そこから、あなたの新しいキャリアが始まります。