診療報酬制度について勉強しよう!:心大血管リハビリ料

はじめに

診療報酬制度は、医療制度の中でも医療機関や医療従事者が提供する医療サービスに対する報酬を決定するものです。つまり、医療機関や医療従事者が提供する診療行為に対して支払われる報酬を決定する制度です。この制度は、厚生労働省が定めた診療報酬制度に基づいて運用されます。診療行為ごとに点数が設定されており、その点数に基づいて報酬額が決定されます。今回は、リハビリテーション料、心大血管疾患リハビリテーション料(I)(II)について勉強してみましょう。

心大血管疾患リハビリテーション料 点数

1 心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)(1単位)
 イ 理学療法士による場合 205点
 ロ 作業療法士による場合 205点
 ハ 医師による場合    205点
 ニ 看護師による場合   205点
 ホ 集団療法による場合  205点

2 心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅱ)(1単位)
 イ 理学療法士による場合 125点
 ロ 作業療法士による場合 125点
 ハ 医師による場合    125点
 ニ 看護師による場合   125点
 ホ 集団療法による場合  125点

 厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、厚生労働大臣が定める患者に対して個別療法又は集団療法であるリハビリテーションを行った場合に、当該基準に係る区分に従って、治療開始日から150日を限度として所定点数を算定する。ただし、厚生労働大臣が定める患者について、治療を継続することにより状態の改善が期待できると判断される場合には、150日を超えて所定点数を算定することができる。

早期リハビリテーション加算 

厚生労働大臣が定める患者であって入院中のものに対してリハビリテーションを行った場合は、発症、手術若しくは急性増悪から7日目又は治療開始日のいずれか早いものから起算して30日を限度として、早期リハビリテーション加算として、1単位につき25点を所定点数に加算する。

初期加算 

厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、厚生労働大臣が定める患者であって入院中のものに対してリハビリテーションを行った場合は、発症、手術若しくは急性増悪から7日目又は治療開始日のいずれか早いものから起算して14日を限度として、初期加算として、1単位につき45点を更に所定点数に加算する。

急性期リハビリテーション加算

厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、厚生労働大臣(入院中のものに限る。)であって、リハビリテーションを実施する日に厚生労働大臣が定める患者であるものに対してリハビリテーションを行った場合は、発症、手術若しくは急性増悪から7日目又は治療開始日のいずれか早いものから起算して14日を限度として、急性期リハビリテーション加算として、1単位につき50点を更に所定点数に加算する。


厚生労働大臣が定める患者に対して、必要があって治療開始日から150日を超えてリハビリテーションを行った場合は、1月13単位に限り算定できるものとする。

心血管疾患リハビリーションの対象

心大血管疾患リハビリテーション料の対象患者とは
  1. 急性心筋梗塞、狭心症発作その他の急性発症した心大血管疾患又はその手術後の患者
  2. 慢性心不全末梢動脈閉塞性疾患その他の慢性の心大血管疾患により、一定程度以上の呼吸循環機能の低下及び日常生活能力の低下を来している患者
  3. *急性発症した心大血管疾患又は心大血管疾患の手術後の患者とは
    心筋梗塞、狭心症、開心術後、経カテーテル大動脈弁置換術後、大血管疾患(大動脈解離、解離性大動脈瘤、大血管術後)のものをいう。なお、心大血管疾患リハビリテーション料(II)を算定する場合、急性心筋梗塞及び大血管疾患は発症後(手術を実施した場合は手術後)1月以上経過したものに限る。
  4. *慢性心不全、末梢動脈閉塞性疾患その他の慢性の心大血管の疾患により、一定程度以上の呼吸循環機能の低下及び日常生活能力の低下を来している患者とは
    以下のいずれかに該当するものをいう。
    (イ)慢性心不全であって、左室駆出率40%以下、最高酸素摂取量が基準値80%以下、脳性Na利尿ペプチド(BNP)が80pg/mL以上の状態のもの又は脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)が400pg/mL以上の状態のもの
    (ロ)末梢動脈閉塞性疾患であって、間欠性跛行を呈する状態のもの
    (ハ)肺高血圧症のうち肺動脈性肺高血圧症又は慢性血栓塞栓性肺高血圧症であって、WHO肺高血圧症機能分類がI~III度の状態のもの

心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)施設基準

心大血管リハ料I 施設基準

(1) 届出保険医療機関において、循環器内科又は心臓血管外科の医師が、心大血管疾患リハビリテーションを実施している時間帯において常時勤務しており、心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること。この場合において、心大血管疾患リハビリテーションを受ける患者の急変時等に連絡を受けるとともに、当該保険医療機関又は連携する保険医療機関において適切な対応ができるような体制を有すること。

(2) 心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する専従の常勤理学療法士及び専従の常勤看護師が合わせて2名以上勤務していること又は専従の常勤理学療法士若しくは専従の常勤看護師のいずれか一方が2名以上勤務していること。なお、いずれの組合せの場合であっても、うち1名は専任の従事者でも差し支えない。また、これらの者については、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、地域包括医療病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料及び地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟並びに回復期リハビリテーション入院医療管理料及び地域包括ケア入院医療管理料を算定する病室を有する病棟の配置従事者との兼任はできないが、心大血管疾患リハビリテーションを実施しない時間帯において、他の疾患別リハビリテーション、障害児(者)リハビリテーション及びがん患者リハビリテーションに従事することは差し支えない。加えて、心大血管疾患リハビリテーションとその他のリハビリテーションの実施日・時間が異なる場合にあっては、別のリハビリテーションの専従者として届け出ることは可能である。また、必要に応じて、心機能に応じた日常生活活動に関する訓練等の心大血管疾患リハビリテーションに係る経験を有する作業療法士が勤務していることが望ましい。

(3) 専用の機能訓練室(少なくとも、病院については、内法による測定で30平方メートル以上、診療所については、内法による測定で20平方メートル以上)を有していること。専用の機能訓練室は、当該療法を実施する時間帯以外の時間帯において、他の用途に使用することは差し支えない。また、当該療法を実施する時間帯に、他の疾患別リハビリテーション、障害児(者)リハビリテーション又はがん患者リハビリテーションを同一の機能訓練室で行う場合には、それぞれの施設基準を満たしていれば差し支えない。それぞれの施設基準を満たす場合とは、例えば、心大血管疾患リハビリテーションと脳血管疾患等リハビリテーションを同一の時間帯に実施する場合には、機能訓練室の面積は、それぞれのリハビリテーションの施設基準で定める面積を合計したもの以上である必要があり、必要な器械・器具についても、兼用ではなく、それぞれのリハビリテーション専用のものとして備える必要があること。

(4) 平成26年3月31日において、現に当該リハビリテーション料の届出を行っている保険医療機関については、当該機能訓練室の増築又は全面的な改築を行うまでの間は、(3)の内法の規定を満たしているものとする。

(5) 専用の機能訓練室には、当該療法を行うために必要な以下の器械・器具を備えていること。

ア 酸素供給装置
イ 除細動器
ウ 心電図モニター装置
エ トレッドミル又はエルゴメータ
オ 血圧計
カ 救急カート

また、当該保険医療機関内に以下の器械を備えていること。
運動負荷試験装置

(6) リハビリテーションに関する記録(医師の指示、運動処方、実施時間、訓練内容、担当者等)は患者ごとに一元的に保管され、常に医療従事者により閲覧が可能であること。

(7) 定期的に担当の多職種が参加するカンファレンスが開催されていること。

(8) 届出保険医療機関又は連携する別の保険医療機関(循環器内科又は心臓血管外科を標榜するものに限る。以下この項において同じ。)において、緊急手術や、緊急の血管造影検査を行うことができる体制が確保されていること。

(9) 届出保険医療機関又は連携する別の保険医療機関において、救命救急入院料又は特定集中治療室管理料の届出がされており、当該治療室が心大血管疾患リハビリテーションの実施上生じた患者の緊急事態に使用できること。

(10) 心大血管疾患リハビリテーションを実施した患者であって、他の保険医療機関でリハビリテーションが継続される予定であるものについて、当該患者の同意を得た上で、当該他の保険医療機関に対して、リハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計画書等を文書により提供できる体制を整備していること。

(11) (1)の専任の常勤医師について、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師を2名以上組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該医師の実労働時間を常勤換算し常勤医師数に算入することができる。ただし、この項において、心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する非常勤医師に限る。

(12) (2)の専従の常勤理学療法士及び専従の常勤看護師について、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている専従の非常勤理学療法士又は専従の非常勤看護師をそれぞれ2名以上組み合わせることにより、常勤理学療法士又は常勤看護師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤理学療法士又は非常勤看護師がそれぞれ配置されている場合には、これらの非常勤理学療法士又は非常勤看護師の実労働時間を常勤換算し常勤理学療法士数又は常勤看護師数にそれぞれ算入することができる。ただし、この項において、常勤換算し常勤理学療法士数又は常勤看護師数に算入することができるのは、心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する理学療法士又は看護師であって、それぞれ常勤配置のうち1名までに限る。

心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅱ)施設基準

施設基準

・届出保険医療機関において、心大血管疾患リハビリテーションを実施する時間帯に循環器内科又は心臓血管外科を担当する医師(非常勤を含む。)及び心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する医師(非常勤を含む。)が1名以上勤務していること。

・心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する専従の理学療法士又は看護師のいずれか1名以上が勤務していること。兼任の取扱いについては心大血管疾患リハビリテーション料Iと同様である。また、必要に応じて、心機能に応じた日常生活活動にする訓練等の心大血管疾患リハビリテーションに係る経験を有する作業療法士が勤務していることが望ましい。

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