【PT必見】末梢神経障害のリハビリは「時期」が9割!回復期間の目安と介入戦略を徹底解説

最新のトレンド・トピック

こんな疑問を持ったことはありませんか?

末梢神経障害の症例を担当した際、多くの理学療法士が一度はこのような壁にぶつかります。

「いつまで回復を期待していいのか、見通しが立たない」

「筋力が戻らないのは、神経がまだ届いていないから?それとも廃用?」

「今やっている筋トレは、逆に回復を邪魔していないだろうか?」

末梢神経は中枢神経と異なり「再生」の可能性があります。しかし、「再生すること」と「機能が元に戻ること」はイコールではありません。

本記事では、国内の論文や最新の知見に基づき、末梢神経障害のリハビリにおける「回復期間の目安」と、時期に応じた「介入戦略」を整理して考え、解説していきます。

末梢神経障害の分類を「予後予測」に活かす

教科書で学ぶSeddonやSutherlandの分類ですが、大事なのは名前を暗記することではありません。「今、何が壊れていて、再生の余地がどれだけあるか」を判断することです。

臨床で押さえるべき3つのフェーズ

  • 神経伝導障害(Neurapraxia):軸索は無事。数週〜数ヶ月で「戻る」可能性が高い。
  • 軸索損傷(Axonotmesis):軸索が断裂。1日1mmの再生を「距離と時間」で計算する必要がある。
  • 神経断裂(Neurotmesis):自然回復は困難。手術を前提とした戦略が必要。

理学療法士に求められるのは、評価を通じて「この症例はどの段階にいるのか」という仮説を立てる力です。

【論文から考える】末梢神経の回復期間と時間軸

「神経は1日1mmで伸びる」という言葉を鵜呑みにしてはいけません。実際には、再生が始まるまでの「待機期間」や、筋肉に到達した後の「再支配(Re-innervation)」のプロセスが存在します。

回復のタイムライン目安

急性期〜数週間: 炎症とワーラー変性の時期。リハビリの主役は「保護」と「二次的障害の予防」。

  • 1〜3ヶ月:再生が始まる時期。微細な感覚変化やTinel徴候の変化を見逃さない「評価の解像度」が問われます。
  • 3〜6ヶ月:回復の方向性が決まる分岐点。筋収縮が明確になり始める時期。
  • 6ヶ月〜1年:神経再生は落ち着き、機能改善の主役は「再学習・適応」へとシフトします。

時期別・理学療法の介入戦略:攻めるべきか、待つべきか

「とりあえず動かす」リハビリは、時期によっては逆効果になることすらあります。

  • ① 急性期・脱神経期:【守る】 神経再生の環境を整える時期です。過度な伸張や圧迫は避け、拘縮を作らないポジショニングを徹底します。
  • ② 再生開始期:【育てる】 低負荷・高頻度の随意収縮促通と、**知覚再教育**を開始します。脳へのフィードバックを絶やさないことが、後の巧緻性回復に繋がります。
  • ③ 回復進行期:【使う】 単関節の動きを、実用的な動作へと統合します。代償動作が出やすい時期でもあるため、課題志向型トレーニングで質の高い運動を学習させます。

症例で考える:なぜリハビリの結果に差が出るのか?

同じ腓骨神経麻痺や橈骨神経麻痺でも、順調に回復する症例と、停滞する症例があります。その差はどこにあるのでしょうか?

  • 回復した症例: 障害型を早期に見極め、「待つ時期」と「促通する時期」を明確に分けていた。
  • 停滞した症例:「いつか戻るはず」と漠然とした刺激を続け、神経が届いた頃には筋の線維化や代償パターンの固定化が進んでいた。

理学療法士の価値は、「今、この介入に意味があるか」を論理的に説明できることにあります。

まとめ:根拠を持って「待てる」セラピストへ

末梢神経障害のリハビリは、派手なテクニック以上に「時期の判断」が臨床結果を左右します。

  • いま、神経に何が起きているのか?
  • その介入は、再生を助けているか、邪魔しているか?

この視点を持つだけで、あなたの臨床推論は劇的に変わります。

さらに深い「臨床判断の軸」を学びたい方へ

今回の記事では末梢神経障害リハビリの全体像を解説しましたが、実際の臨床現場では、 「Tinel徴候が移動しない場合は?」「感覚再教育の具体的な段階付けは?」「医師との連携はどうすべき?」など、より深い悩みが出てくるはずです。

私が運用しているnoteメンバーシップでは、この記事のフルバージョン(全7章・約1万字)に加え、国内論文をベースにしたさらに踏み込んだ介入プロトコルや、症例の詳細な臨床推論プロセスを公開しています。

**月額はスタバ1杯分ほどの価格**で、末梢神経障害だけでなく、臨床で即活用できる専門記事がすべて読み放題になります。

「何となく様子を見る」リハビリから卒業し、根拠を持って「攻め・守り」を判断できるセラピストを目指しませんか?

👇 よろしければ詳細はこちらからチェックしてください

【Day 19】末梢神経障害のリハビリは“時期”で決まる ― 論文から考える回復期間と介入戦略|リハの地図~学びnote~
第1章|はじめに― なぜ「末梢神経障害の回復期間」と理学療法は難しいのか 末梢神経障害の症例を担当したとき、多くの理学療法士が一度はこんな疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。 • 「この人、いつまで回復を期待していいのだろう?」 •...
臨床理学Lab|リハの地図~学びnote~
**「臨床理学Lab」**は、理学療法における基本的な知識の向上に加え、評価と臨床推論の強化を目的としたメンバーシップです。「なぜこの評価をするのか?」「その結果から何がわかり、どう治療に活かせるのか?」深く掘り下げ、現場で実践できる力を養...
タイトルとURLをコピーしました