その「いつもの肩こり」、諦めていませんか?
「デスクワークで肩がガチガチ…」
「揉んでもらっても、すぐに元に戻ってしまう」
「ひどい時には頭痛や吐き気まで…」
多くの方が悩まされている「肩こり」。もはや国民病とも言えるこの症状を、「いつものことだから」と諦めていませんか?
実は、あなたが感じているそのツラい肩こりは、原因を正しく理解し、適切な対策をとることで、根本から改善できる可能性があります。
お知らせ
この記事では、なぜ肩こりが起きるのかという「正体」から、ご自身でできる簡単な解消法まで、理学療法士の視点から解説していきたいと思います。
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そもそも「肩こり」の正体とは?
多くの方が「肩こり」と呼んでいる症状ですが、実はこれは正式な病名ではありません。では、あの重だるい不快感の正体は何なのでしょうか?
簡単に言うと、肩こりとは「首から肩にかけての筋肉が硬くなり、血の流れが悪くなっている状態」のことです。
もう少し詳しく見てみると、体の中では以下の3つのことが起こっています。
- 筋肉の過緊張:筋肉がずっと力を入れたまま、縮んでカチカチになっている状態。
- 血行不良:硬くなった筋肉が血管を圧迫し、血液の流れが悪くなる。
- 発痛物質の蓄積:血流が悪いと、酸素や栄養が筋肉に届かず、代わりに乳酸などの痛みやだるさを引き起こす物質(発痛物質)が溜まってしまいます。
この悪循環が、あのジーンとした重さや痛みを引き起こしているのです。
なぜ?理学療法士が分析する「肩こりの原因」
「でも、どうして私の肩はこってしまうの?」
その原因は、日常生活の何気ない習慣に隠されています。ご自身の生活と照らし合わせてチェックしてみましょう。
これが最も多い原因です。人の頭の重さは、体重の約10%、ボーリングの球ほどの重さがあります。
- 正しい姿勢:背骨がキレイなS字カーブを描き、頭が体の真上にある状態。この時、首や肩の筋肉への負担は最小限です。
- 悪い姿勢:パソコンやスマホを見る時のように頭が前に突き出ると(ストレートネック)、重い頭を支えるために首や肩の筋肉が常に頑張り続け、過緊張状態になります。これが肩こりの最大の原因です。
肩周りには多くの筋肉がありますが、特に重要なのが「肩甲骨」を動かす筋肉です。
デスクワークなどで長時間同じ姿勢でいると、この肩甲骨周りの筋肉が全く動かされません。筋肉は動かさないと硬くなり、血流を送り出すポンプ作用も弱まるため、血行不良に陥りやすくなります。
「目と肩?」と意外に思うかもしれませんが、密接に関係しています。
細かい文字を見続けたり、PC画面を長時間見たりすると、目の周りの筋肉が緊張します。その緊張が、神経を通じて首や肩の筋肉にも伝わり、こりを引き起こすことがあります。
イライラしたり、プレッシャーを感じたりすると、体は無意識に戦闘モードに入ります。
すると、自律神経のうちの交感神経が活発になり、血管を収縮させて血圧を上げ、筋肉を緊張させます。この状態が続くと、常に肩に力が入った状態になり、血行が悪化してしまいます。
特に女性に多い原因です。体が冷えると、体温を逃さまいとして血管が収縮します。血行が悪くなるだけでなく、筋肉そのものも寒さで硬直しやすくなり、肩こりを悪化させる原因となります。夏場のクーラーにも注意が必要です。
要注意!こんな症状はまず病院へ
ほとんどの肩こりは生活習慣に起因しますが、中には病気が隠れているケースもあります。以下の症状がある場合は、セルフケアで様子を見ずに、まずは整形外科を受診してください。
- 腕や指先にしびれや力が入らない感じがある
- だんだん痛みが強くなる、夜も眠れないほど痛い
- 特定の動きで激痛が走る、腕が上がらない
- めまい、吐き気、ろれつが回らないなどの症状を伴う
これらは、頚椎椎間板ヘルニアや胸郭出口症候群、その他の内科的な病気のサインである可能性もあります。
理学療法士直伝!今日からできる肩こり解消セルフケア
原因がわかったら、さっそく対策を始めましょう!仕事の合間にもできる簡単なストレッチをご紹介します。
ポイントは「痛気持ちいい」範囲で、ゆっくり呼吸をしながら行うことです。
- 椅子に浅く座り、背筋を伸ばします。
- 右手で椅子の座面の左側を持ち、体を固定します。
- 左手で頭を優しく左側に倒し、首の右側が伸びるのを感じます。
- ゆっくり30秒キープし、反対側も同様に行います。
- 両手を背中の後ろで組みます。
- 肩甲骨を中央にグーッと寄せながら、胸を張ります。
- 組んだ手を少しずつ上に持ち上げ、胸の前の筋肉が伸びるのを感じます。
- ゆっくり30秒キープします。
- 両方の指先を肩につけます。
- 肘で大きな円を描くように、ゆっくりと後ろに10回まわします。
- 同様に、前に10回まわします。
【まとめ】「いつものこと」と諦めずに、根本改善を目指そう!
今回は、しつこい肩こりの正体と原因、そして自分でできる対策について解説しました。
- 肩こりの正体は、筋肉の過緊張と血行不良の悪循環。
- 主な原因は、不良姿勢、運動不足、ストレスなど日常生活の中に潜んでいる。
- 解消の鍵は、原因を理解し、こまめなストレッチや姿勢の見直しで悪循環を断ち切ること。
今回ご紹介したセルフケアを続けても改善しない、または自分だけではどうしていいか分からないという場合は、私たち理学療法士のような体の専門家にご相談ください。
一人ひとりの体の状態を評価し、あなたに合った最適なアプローチで、長年の悩みを解決するお手伝いができます。
もう「いつもの肩こり」と諦めるのはやめて、軽やかで快適な毎日を取り戻しましょう!

