はじめに
理学療法士の最初の職場、どこがいいか悩んでいませんか?急性期病院、回復期病院、クリニック、介護施設の違いを、メリット・デメリット、給与、働き方の観点から徹底解説。現役PTが語る、自分の軸に合った職場の選び方で、最高のキャリアスタートを切りましょう。
最初の職場選びは「理学療法士人生の土台」を作る大切な一歩
国家試験、本当にお疲れ様でした!
理学療法士としての希望に胸を膨らませている一方で、
「最初の職場って、一体どこを選べばいいんだろう…?」
「急性期と回復期、病院とクリニック、何がどう違うの?」
こんな不安や疑問を抱えていませんか?
何を隠そう、現在、急性期病院で働く僕自身も、学生時代は同じ悩みを抱えていました。最初の職場選びは、あなたの理- 想とする理学療法士像に近づくための**「土台作り」**であり、今後のキャリアを左右する非常に重要な決断です。
この記事では、代表的な4つの職場(急性期・回復期・クリニック・介護施設)のリアルな違いを徹底比較し、あなたが後悔しない職場を選ぶための具体的なステップを解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたの進むべき道がきっとクリアになっているはずです。最高のスタートを切るために、一緒に考えていきましょう!
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4つの代表的な職場を徹底解説!あなたに合うのはどこ?
理学療法士の働く場所は多岐にわたりますが、まずは代表的な4つのフィールドの特徴を掴むことが重要です。それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
【どんな場所?(急性期病院)】
手術直後や発症直後の患者さんが入院する、まさに医療の最前線です。刻一刻と状態が変化する中で、リスク管理を徹底しながらリハビリを行います。
【メリット】
- 最先端・幅広い知識が身につく:脳卒中、骨折、心疾患、呼吸器疾患、がんなど、あらゆる疾患に触れる機会があります。医師や看護師とのカンファレンスも多く、チーム医療のど真ん中で全身管理を学べます。
- 教育体制が手厚い:新人教育プログラムが整備されている病院が多く、同期の仲間と切磋琢磨しながら成長できる環境です。
- キャリアの選択肢が広がる:急性期での経験は、将来どんな分野に進むにしても必ず役立つ「基礎体力」となります。
【デメリット】
- 患者さんと深く関わる時間は短い:在院日数が短いため、機能回復の過程を最後まで見届けるのは難しいかもしれません。
- 精神的・体力的にハード:緊急対応も多く、常に緊張感があります。勉強量も多く、自己研鑽が欠かせません。
【こんな人におすすめ】
- 知的好奇心が旺盛で、幅広く深く学びたい人
- チーム医療の中心で活躍したい人
- 将来、専門性を高めたり、どんな分野にも対応できるPTになりたい人
【筆者の体験談】僕が最初に急性期を選んだワケ僕がファーストキャリアに急性期病院を選んだ理由は、まさに「理学療法士としての揺るぎない土台を作りたかったから」です。
- 病気や怪我がなぜ起こり、医師がどんな治療をするのか、その医学的背景を深く理解したかった。
- 治療の早い段階からリハビリがどう関わるのか、リスク管理を含めて学びたかった。
- 将来、回復期や訪問リハビリの道に進む可能性も考えて「どんな疾患の患者さんでも、自信を持って対応できるPTになりたい」という想いが強かったのです。
確かに忙しい毎日ですが、ここで得られる知識と経験は、何物にも代えがたい財産だと感じています。
【どんな場所?(回復期病院)】
急性期を乗り越え、自宅や社会への復帰を目指す患者さんが、集中的にリハビリを行う場所です。まさに「リハビリテーションの主役」として活躍できます。
【メリット】
- 患者さんとじっくり向き合える:入院期間が長いため、一人の患者さんと信頼関係を築きながら、目標達成に向けて伴走できます。
- 劇的な回復に立ち会える:できなかったことができるようになる、あの感動的な瞬間に立ち会える機会が多く、大きなやりがいを感じられます。
- 在宅復帰支援のプロに:家屋調査や福祉用具の選定など、退院後の「生活」を見据えた具体的なアプローチを深く学べます。
【デメリット】
- 対象疾患が偏る傾向:病院の方針にもよりますが、脳卒中や大腿骨骨折の患者さんが中心になることが多いです。
- 急性期のような医療知識は得にくい:状態が安定している患者さんが多いため、最先端の医療に触れる機会は少なくなります。
【こんな人におすすめ】
- 患者さんと深く関わり、生活に寄り添った支援がしたい人
- 「人が回復していく過程」にやりがいを感じる人
- 在宅復帰支援のプロフェッショナルを目指したい人
【どんな場所?(クリニック)】
腰痛や肩こり、スポーツ障害など、地域に住む外来の患者さんが中心です。より生活に密着した身近な存在と言えるでしょう。
【メリット】
- 特定分野のスペシャリストを目指せる:整形外科やスポーツ分野に特化していることが多く、専門スキルを磨くには最適な環境です。
- ワークライフバランスが良い:日曜・祝日休みなど、カレンダー通りに休みやすい傾向にあり、プライベートとの両立がしやすいです。
- 独立開業のヒントが得られる:院長の近くで働くことで、クリニックの経営や集客のノウハウを間近で学べます。
【デメリット】
- 教育体制は病院に劣る場合も:PTが少人数のことが多く、手厚い指導を受けられない可能性もあります。自主的な学習意欲が不可欠です。
- 経験できる疾患の幅が狭い:全身管理や内部疾患の知識を深める機会は限られます。
【こんな人におすすめ】
- 整形外科やスポーツ分野に強い興味がある人
- プライベートの時間を大切にしたい人
- 将来的に独立開業を視野に入れている人
【どんな場所?(介護施設)】
在宅生活を送る高齢者や施設で暮らす高齢者の「生活の質」を支える場所です。「治療」よりも「生活」に焦点を当てた関わりが中心となります。
【メリット】
- 「生活」を支えるプロに:機能訓練だけでなく、レクリエーションや生活環境の調整など、その人らしい生活を支えるための幅広い視点が身につきます。
- 利用者さんと長期的な関係を築ける:人生の先輩である利用者さんと長く関わり、深く寄り添うことができます。
【デメリット】
- 「機能回復」が目標になりにくい:「機能維持」や「緩やかな低下の予防」が主な目的となるため、劇的な改善を目指したい人には物足りないかもしれません。
- 医療知識を磨く機会は少ない:医療的な介入よりも介護的な側面が強くなります。
【こんな人におすすめ】
- 高齢者と関わるのが好きな人
- 「治療」よりも「その人らしい生活を支えること」に興味がある人
- 将来、ケアマネジャーなど介護分野でのキャリアも考えている人
一目でわかる!職場別メリット・デメリット比較表
職場 | 主な対象 | 学べること | 給与傾向 | ワークライフバランス | こんな人におすすめ |
急性期病院 | 手術直後・発症直後の患者 | 全身管理、リスク管理、チーム医療 | やや高め | △(多忙な傾向) | ジェネラリスト、キャリア志向 |
回復期病院 | 状態安定〜在宅復帰を目指す患者 | 在宅復帰支援、ADL向上アプローチ | 標準的 | ◯(比較的安定) | 患者さんと深く関わりたい人 |
クリニック | 外来患者(整形外科、スポーツ障害) | 特定分野の専門技術、外来リハ | 標準〜やや高め | ◎(休みやすい) | スペシャリスト、WLB重視 |
介護施設 | 高齢者(機能維持、生活支援) | 生活支援、介護保険制度 | やや低め〜標準 | ◯(比較的安定) | 高齢者支援、生活重視 |
※給与やWLBは施設によって大きく異なりますので、あくまで一般的な傾向です。
【結論】後悔しない職場選びの3ステップ
さて、ここまで各職場の特徴を見てきました。最後に、自分に合った職場を見つけるための具体的な3つのステップをご紹介します。
まずは自分自身に問いかけてみましょう。答えは一つではありません。
- 知識・技術:幅広く学びたい(ジェネラリスト)? 特定分野を極めたい(スペシャリスト)?
- 働き方:仕事とプライベート、どちらを優先したい? チームで働くのと、少人数で働くの、どっちが好き?
- やりがい:どんな瞬間に「理学療法士になってよかった!」と感じそう?(人の命を救う、生活を取り戻す、痛みを和らげる…)
- 将来像:5年後、10年後、どんな理学療法士になっていたい?
自己分析で見えてきた自分の軸と、各職場の特徴を照らし合わせてみましょう。
- バリバリ学んで成長したい「成長志向タイプ」 → 急性期病院で土台を作るのが王道。
- 一人ひとりに寄り添いたい「伴走タイプ」 → 回復期病院や介護施設がフィット。
- 専門技術を磨きたい「職人タイプ」 → 整形外科やスポーツに強いクリニックが最適。
- プライベートも大切にしたい「WLB重視タイプ」 → クリニックやデイケアが候補。
情報収集だけで終わらせず、必ず行動に移しましょう。
- 必ず「職場見学」に行く:パンフレットだけではわからない、職場の「空気感」を感じてください。働いているスタッフの表情はイキイキしていますか?
- 具体的な質問を用意する:「新人教育の具体的なプログラムは?」「1日のリハビリ単位数の平均は?」「残業はどのくらいありますか?」など、遠慮せずに聞きましょう。
- OB・OG訪問が最強:もし可能なら、その職場で働く先輩から「本音」を聞くのが一番です。
【まとめ】あなたの理学療法士人生は、始まったばかり
最初の職場選びは、確かに重要です。しかし、それがあなたの理学療法士人生のすべてを決めるわけではありません。
どの職場を選んでも、そこでしか得られない貴重な経験があります。大切なのは、「なぜここを選んだのか」という自分なりの理由を持ち、納得してキャリアをスタートさせることです。
そして、もし将来「違う分野も見てみたい」と思ったら、いつでもキャリアチェンジは可能です。むしろ、最初の職場で得た経験が、次のステップで必ず強力な武器になります。
この記事が、あなたの素晴らしい理療法士人生の第一歩を踏み出す、心強いコンパスになれば幸いです。あなたの活躍を心から応援しています!