はじめに
「リハビリ」と聞くと、ケガや病気の後に病院で行うもの、というイメージがありませんか?
「おじいちゃんが骨折したときにお世話になったな…」
「スポーツ選手がケガから復帰するドキュメンタリーで見たことがあるかも…」
実はそのリハビリの現場には、それぞれ専門分野を持つプロフェッショナルたちがいます。それが「理学療法士(PT)」「作業療法士(OT)」「言語聴覚士(ST)」です。
この記事では、リハビリを支える3つの専門職について、
- それぞれの仕事内容や役割の違いは?
- どんな人が向いているの?
- この仕事のやりがいって何?
といった疑問を、誰にでも分かりやすく徹底解説します!リハビリの仕事に興味がある学生さんや、キャリアチェンジを考えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
お知らせ
現在、理学療法士・作業療法士向けに、臨床で使える知識を“根拠付き”で深掘りするメンバーシップをしています。
• 📌 論文ベース × 現場感のある解釈
• 📌 ケーススタディで臨床推論を鍛える
• 📌 教科書には載っていない「実際どうする?」に答える実用記事
全コンテンツが読み放題になります!

そもそも「リハビリスタッフ」とは?チームで支える専門家たち
リハビリテーション(リハビリ)の目的は、単に身体の機能を元に戻すことだけではありません。
その最終的なゴールは、病気やケガをした方が**「その人らしい、豊かな生活を取り戻す」**ことです。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、医師や看護師などと連携する「チーム医療」の一員として、患者さん一人ひとりの「できるようになりたい」という想いに寄り添い、目標達成をサポートする国家資格を持った専門家なのです。
【職種別】ここが違う!PT・OT・STの仕事内容を徹底解説
では、3つの職種はそれぞれどんな役割を担っているのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
① 理学療法士(PT)~身体の動きのプロフェッショナル~

理学療法士(Physical Therapist: PT)は、「立つ」「歩く」「座る」といった、生活を送る上での基本的な動作の専門家です。
- 一言でいうと?
身体の「基本動作」の回復をサポートする専門家。 - どんなことをするの?
運動療法(筋力トレーニングや関節を動かす訓練)や、物理療法(電気や温熱で痛みを和らげる)を用いて、ケガや病気で損なわれた身体機能の回復・維持を目指します。 - 活躍のシーン
- 骨折した後の歩行訓練
- 脳卒中による麻痺のリハビリ
- スポーツ選手の競技復帰に向けたトレーニング
- 主な職場
病院、クリニック、介護老人保健施設、訪問リハビリステーション、スポーツ分野など
身体の構造や動きの仕組みを熟知し、人々が再び自分の足で歩き出すための「土台」を作る、まさに“身体の動きのプロフェッショナル”です。
② 作業療法士(OT)~生活に彩りを取り戻す応援団長~

作業療法士(Occupational Therapist: OT)は、その人らしい「生活」や「生きがい」を取り戻すための専門家です。
「作業」と聞くと仕事をイメージするかもしれませんが、作業療法における「作業」とは、食事や着替え、家事、仕事、趣味など、人が行う生活に関わるすべての活動を指します。
- 一言でいうと?
「やりたいこと」を「できること」に変える、応用動作と心の専門家。 - どんなことをするの?
料理や手芸、園芸といった具体的な作業活動を通して、心と身体の機能回復を促します。また、生活しやすいように福祉用具を選んだり、自宅の環境を調整したりするのも大切な仕事です。 - 活躍のシーン
- 脳卒中後の料理練習や、利き手交換の訓練
- うつ病の方の社会復帰支援
- 発達障害の子どもへの遊びを通した療育
- 主な職場
病院、介護老人保健施設、精神科病院、発達支援センター、就労支援施設など
身体のリハビリだけでなく、心のケアにも深く関わるのが作業療法士の特徴。「もう一度、趣味の釣りがしたい」そんな願いを叶えるための“生活の応援団長”です。
③ 言語聴覚士(ST)~「話す・聞く・食べる」コミュニケーションの専門家~

言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist: ST)は、「話す」「聞く」「食べる」という、生きる喜びに直結する機能の専門家です。
言葉がうまく出てこない、声が出しづらい、食べ物がうまく飲み込めないといった悩みに、専門的なアプローチで向き合います。
- 一言でいうと?
コミュニケーションと食事のエキスパート。 - どんなことをするの?
言葉の訓練(失語症など)、発音や発声の練習、そして安全に食事をするための飲み込み(嚥下:えんげ)の訓練や指導を行います。 - 活躍のシーン
- 脳卒中後にうまく話せなくなった方の言語訓練
- 子どもの言葉の発達サポート
- 加齢により食事がむせやすくなった方への嚥下訓練
- 主な職場
病院(リハビリ科、耳鼻咽喉科、小児科)、介護施設、小児療育センター、特別支援学校など
「ありがとう」の一言をもう一度。家族との食事を楽しむ時間を取り戻す。人と人との繋がりを支える、かけがえのない存在です。


【一覧表で比較】PT・OT・STの違いはここ!
3つの職種の違いを、分かりやすく表にまとめました。
項目 | 理学療法士(PT) | 作業療法士(OT) | 言語聴覚士(ST) |
専門領域 | 基本的動作(座る、立つ、歩く) | 応用的動作・作業(食事、家事、仕事、趣味) | コミュニケーション・嚥下(話す、聞く、食べる) |
キーワード | 動作分析、運動療法、物理療法 | 作業活動、生活支援、精神、発達 | 発声、言語、聴覚、嚥下 |
アプローチ例 | 筋力トレーニング、歩行訓練 | 料理練習、自助具の提案 | 発音練習、言葉の訓練、食事指導 |
例えるなら | 身体の土台を作る建築家 | 暮らしをデザインする設計士 | 心をつなぐコミュニケーションの架け橋 |
あなたはどれ向き?タイプ別おすすめ診断

「自分はどの仕事に向いているんだろう?」と思った方のために、簡単なタイプ別診断をご用意しました。
- 理学療法士(PT)が向いているかも?
✅ 身体の仕組みや動きに興味がある
✅ 論理的に考え、目標達成までの計画を立てるのが好き
✅ 人と一緒になって汗を流し、目標に向かって頑張ることに喜びを感じる - 作業療法士(OT)が向いているかも?
✅ 人の生活やその人自身の歴史に寄り添いたい
✅ 観察力があり、工夫やアイデアを出すのが得意
✅ 身体だけでなく、心のケアにも関心がある - 言語聴覚士(ST)が向いているかも?
✅ 人と話したり、人の話を聞いたりするのが好き
✅ 根気強く、じっくりと人と向き合うことができる
✅ 子どもと関わることや、「食」に関心がある
リハビリ専門職の「やりがい」と「魅力」
この仕事の一番のやりがいは、何と言っても患者さんや利用者さんの回復を間近で支え、笑顔や「ありがとう」の言葉を直接もらえることです。
- 昨日まで立てなかった人が、今日一歩踏み出せた瞬間の感動
- 諦めかけていた趣味を、もう一度楽しめるようになった時の喜び
- うまく話せなかった方が、ご家族と笑い合っている姿
こうした瞬間に立ち会えるのは、この仕事ならではの大きな魅力です。また、国家資格を持つ専門職として、病院だけでなく介護、福祉、教育、スポーツと幅広い分野で活躍でき、キャリアの選択肢が多様なことも強みと言えるでしょう。
まとめ:あなたらしい働き方で、誰かの「希望」になろう
今回は、リハビリを支える3つの専門職「理学療法士(PT)」「作業療法士(OT)」「言語聴覚士(ST)」について解説しました。
- 理学療法士(PT):身体の基本的な動きを取り戻すプロ
- 作業療法士(OT):その人らしい生活と生きがいを取り戻すプロ
- 言語聴覚士(ST):話す・聞く・食べる喜びを取り戻すプロ
専門分野は違いますが、**「その人らしい生活を取り戻す」**という共通のゴールに向かって連携する、かけがえのないパートナーです。
この記事を読んで少しでも興味が湧いた方は、ぜひ各職種のより詳しい情報を調べてみたり、養成校のオープンキャンパスに参加したりしてみてください。
あなたの未来の選択肢の一つとして、誰かの希望を支えるリハビリの仕事を考えてみてはいかがでしょうか?
